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低酸素状態において酸素は不可欠ですが、高濃度酸素投与においては、酸素中毒、CO2ナルコーシス、無気肺などの副作用があります。
1.酸素中毒 ・高濃度の酸素投与することにより、活性酸素が増産され、生体組織・細胞が障害を受ける。特に肺は酸素中毒を受けやすく、一般には吸入酸素濃度(FiO2)が40%の酸素濃度では酸素中毒は起きにくいとされているが、個人差や日内変動が大きく、一概には酸素濃度だけでは中毒症状の出現の有無の判断はできない。 ・活性酸素は肺に直接、障害を起こしたり、マクロファージなどの炎症性細胞を介して、気管、血管内皮細胞、肺胞上皮などに障害を起こし、無気肺、肺水腫、肺胞出血、肺サーファークタントの減少、フィブリンの沈着、肺胞隔壁の肥厚、肺のコンプライアンスの低下、拡散能の低下、A-aDo2の増加の拡大を招くとされている。 ・100%酸素濃度の投与については、患者の呼吸状態と投与時間を考える必要がある。 ・一般的に、6~12時間は自覚症状はなく、胸部レントゲン所見、肺機能上も異常がないとされているが、気道の線毛運動の障害は6時間で発生するとこともある。そのため、酸素化が改善したら、早急に酸素濃度を低下させることが重要とされている。 ・高濃度の酸素投与の限界の推奨として、酸素濃度100%は6時間以内、80%は12時間以内、50%は48時間以内であるとされている。 2.CO2ナルコーシス ・呼吸中枢は酸素と二酸化炭素により刺激され、分時肺胞換気量を維持している。 ・酸素分圧が低くなると、末梢化学受容体を刺激して分時換気量が増加する。二酸化炭素分圧が高くなると、中枢化学受容体は刺激して分時換気量が増加する。 ・多くの慢性呼吸不全患者は、低酸素血症と軽度の高二酸化炭素血症を合併していることがある。すでに二酸化炭素が上昇しているため、呼吸中枢の刺激はなくなっており、酸素分圧が低いことのみが呼吸中枢を刺激し、血液ガスを正常に保とうとする。このよな状態で、高濃度の酸素投与を行い、酸素分圧を上昇させると、呼吸中枢への刺激がなくなり、分時換気量は低下し、高い二酸化炭素分圧はさらに高くなる。 ・このような状態になると、呼吸は抑制され、重症になると、呼吸停止を引き起こすこともある。 ・CO2ナルコーシス予防するために、患者さんが低酸素状態に陥っても、酸素を少量から慎重に投与していくことが重要とされている。 ・CO2ナルコーシスの臨床診断基準は、重度の呼吸性アシドーシス、意識障害、自発呼吸の減弱の3点を満たすことである。 3.無気肺 ・大気の吸入では、肺胞に酸素が入り毛細血管との間で拡散が行われても、肺胞内に窒素ガスが残り肺胞の虚脱は起こらない。 ・高濃度の酸素を投与すると、肺胞内の酸素は拡散によってすべて毛細血管に移動し、肺胞内ガスは完全になくなり、肺胞は虚脱して無気肺が発生する。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
February 15, 2013 02:16:20 PM
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