1372012 ランダム
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ヒロガルセカイ。

ヒロガルセカイ。

壁際に寝返り打って。(BL/関西弁/誘受)

壁際に寝返り打って。1

一人暮らしを始めてから、自分が寂しがりだと自覚した。
学校が終る16時。それからはコンビニのバイトを入れて、なるべくひとと一緒にいたかった。
真っ暗な部屋に帰るのは22時すぎ。
帰る途中の道なりのJRの駅前で、ギターを抱えるキッズがバンプオブチキンのコピーをしてる。
張り上げる声が人を呼びつけていて。
それでもひとはまばらで。
自分を見ているようで、寂しくなるけどひとりよりましだから黙ってみていたりする。

夕方から雨が降ったので、バイト先はお客様がまばらだった。
連日出勤の俺に、店長が気をきかせたつもりなのか・今日はあがっていいよ。と言う。
「大丈夫です。できますよ。」
そう言いたかったけど、店長ひとりでもこなせそうなくらい人が来ない。

店長に傘を借りて、急ぎたくも無い部屋に帰る。

黙りこくったマンションのドアに鍵を差し込む。
隣の部屋で どん と音がした。
結構、外に聞こえるものなんだな。
あまり気に留めずに、部屋に入った。

時計をみたら・まだ20時。
テレビでも見ようか。
この時間になにをやっているのか知らないけど。
リモコンを取ると・何か聞こえてきた。
・・・子猫の泣き声のような・・。
か細い声だった。
ぞっとした、俺は猫が好きじゃないから。
このマンションはペット禁止のはずなのに、誰か・・隣か?飼っているんだ。
嫌だなあ・・。
・・違う。
かすかに断続的に聞こえるのは、喘ぎ声だった。

う。
思わず聞き耳を立ててしまう。
声を殺すような、甘い・鼻をくすぐる声。

隣は女の人だったのか。
全然顔を見たことが無いから知らなかった。
このマンションの住人は、ほとんど知らない。
ごみ捨てのときに数人顔を見たことがあるけど、どこの部屋のひとか知らない。

げ。
困ったな。
感じてしまいそう。
壁が薄いのか、シーツをまさぐるような擦れる音、跳ねる音まで聞こえてきそう。
・・どんな人なんだろう。
美人かな。
俺は今年で21歳、一人暮らし暦半年。
彼女いない暦約1年。
セフレはいるから自分で処理するのと、セフレ処理で性欲は満たされているつもり・・・だけど。
この敏感すぎるところに、響いてくる。

吐息が壁から漏れてくる。


テレビをつけて、さりげなく隣にひとがいることをアピールする。
少しボリューム上げてみた。
・・もう聞こえない。
残念なような。でも、ほっとした。
あらぬことを妄想して眠れなくなるのもいや。
かちゃ。
隣の部屋から誰か出て行くようだ。
金属の音は響いて聞こえやすいのかな。
ばたばた。
足音がした。

静まり返る隣の部屋。
余計に気になりだした。
これでは眠れない。
夜風にあたろうかな、ベランダに出るとまだ雨の降る外は湿った風を乗せている。
「はあ。」
霧吹きで吹いたような雨が顔にかかる。

隣が気になる。
のぞこうとすればのぞける壁つたい。
どんなひとなんだろう。
男を連れ込んでよろしくしてるなんて、今の自分からしたらかなり羨ましい。
俺もセフレを呼びますか。
それとも自分で処理しますか、さっきの声なら耳に残ってる。

甘く。駆り立てるような。・・・触りたくなる声。

ざらっ。
隣の部屋の網戸が開けられた音がした。
誰か来る?
息を殺して、顔を見るチャンスに胸が躍る。
見れるかな?
どんな顔だ?
・・タバコの匂い。
白い煙が見えてきた。
雨の降る夜に、細い煙は雨粒に叩かれて思うように伸びない。
セックスのあとで煙草を吸う女は好きじゃない・・。
あ~やれやれ。みたいな感じで。義務を果たした顔をするセフレがいたのを思い出して、
ため息ついた。
冷めてきた。これなら自慰で済みそう。

ピンポーン。
うちかと思ったら隣だ。
がちゃがちゃ、どたどた・・あわただしい来客だな。・・・え?
開いたままの網戸から、駄々漏れするのは・・・喘ぎ声だった。

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画像提供/optimisuto様

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