6。6。目の前の信号は赤です。 アヤの頭の中にも危険を知らせる赤信号点滅中です。 「くふっ・・!」 ざらざらした舌の感触がいや。 車の中でこんなことされてるのはもっといや。 ぐちゅっと音がします。やけの多い唾液がアヤの体の上で輝きます。 「・・・青になりますよ!」 離れろ~~! 「すこしは感じた?」 ようやく顔を上げた志信は唇を舐めます。 「感じません!」 「あ、そう?」 ふふっと笑う顔にはやはり見覚えがありますが・・。どこで会ったのでしょう。 体制を整えて、運転席に戻ってミラーで自分の顔を確認しているこの男性。志信。 ・・瀧本・・たきもと?? 「もしかして・・!弟いません?俺と同じ年の!!17の!」 青信号になったので徐々に動き出した車の中でアヤは跳ね起きました。 「・・ああ。いるよ?なんで。」 そんなことを聞かれても冷静にハンドルを持っています。 「ノブでしょう!!俺のツレですよ!あなた・・ノブの兄さんだ?」 「・・・あいつの連れか?へえ。奇遇だね?」 右手を頬に当てています。 さすがに、どうしたものか・・と思案している様子。 よかった。 解放されるでしょう。 べたっとする上半身が気になりますが、ここはお金を返してでも降ろしてもらいましょう。 友人の兄に体を舐められたのはショックですが、これで済むなら黙っていたい。 「面白いな。」 「はあ?」 「ここで解放されると想ってるんだ?私はさっきからアヤを抱くつもりで変更は一切無い。」 ホテルに吸い寄せられるように停車します。 「普通の・・ホテルですね。」 今の時間ならラウンジでデザートバイキングを行っている、ごく普通の街のホテルです。 若い女性が一口大のスイーツに群がる光景が遠くに見えます。 「さ。降りなさい。逃げても追いかけるからそのつもりで。」 こわーい。 いちいち怖い。 確かに20代前半を思わせえるからだなら、走りこめるでしょう。 まだ体は衰えていないんだから。 そっと車から降りるとベルボーイがすぐに寄っています。 「瀧本さま。いらっしゃいませ。」 「ああ。車を頼むよ。アヤ!こっちに来なさい。」 「・・はあ。」 「「なんだ?その膨れたツラは。いい加減に覚悟しなさい。」 「俺は・あなたの弟のツレですよ。」 「だからどーした。」 「・・抱くんですか。」 「一切変更はない。何度も言わせるな。こんな可愛い顔した生意気なアヤを今手放したら二度とやらせないだろう?どうせなら足腰立たないくらいまでにする。」 「・・さっきもそんな恐ろしいことを。」 「そう。だから一切変更はないんだ。アヤ。来なさい。」 腕は捕まれないけれど、逃げたらやばい。 でも逃げなきゃやばい。 携帯で誰かに助けを求めよう。 ・・・ない? 「携帯なら車の中においてきてあげた。」 「なんで!!」 「連絡でもされたら、うざいから。」 もうだめかも・・。 エレベーターに乗って上昇するからだと真逆に・・落ちていくこの気持ち。 「アヤ。私を見くびるなよ。」 ベルボーイがいるのになにか言い出しましたよ?? 7へ。 |