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ヒロガルセカイ。

ヒロガルセカイ。

15 *18禁

15.

志信さんはヤケになっているわけでも無さそうです。
なぜか上着を脱いで、ネクタイを緩めます。
他人事のようにアヤを見ているので、アヤは内心ムカッときました。
何か言おうとすると唇が克己の陰茎に触れそう。
志信さんに挑発されているからか、勢いのある陰茎がさらに腹立たしい。
先端から滲んでいる精液が匂います。
これ以上、克己を刺激しないで欲しいです。
匂う亀頭から、精液をかけられてしまいそうで。
そんなプレイはお断りしたいです。

アヤの願が届いているのか、志信さんは克己の持っているピストルを眺めて
「その9ミリパラベラムは至近距離で撃ったらおまえも衝撃を食らうぞ」
部屋に響く低い声です。
克己の額に汗が流れました。
「なにより弾倉が大きくて、おまえの指では撃てないもんな」
言い終えるとズカスカ近寄って

「撃てもしないくせに所持して、いきがってんじゃないぞ」
志信さんは上着をアヤの顔にかぶせました。
アヤは一瞬何も見えなくなりました。

ガゴン!と何かを砕く鈍い音が聞えました。
同時にアヤの体が軽くなりました。
圧し掛かっていたものが消えたようです。

何が起きたのでしょう、
アヤが上着を取り除こうとすると「見なくていい」
志信さんの声がしました。
「何を言ってるんです」
アヤが見上げると、志信さんの背中がありました。
いつもの香水の香りがしてきます。
時間の経過でウッディな香りに変化するそれは、汗をかくと香りがきつくなるのです。
その背中の向こうに、床に這い蹲る克己が見えました。
志信さんが蹴り飛ばしたのでしょうか。
顎を押さえてゲホッと大きく咽たような咳をしています。
股の間からは縮こまった陰茎が見えました。
いくら刺激を好物とした性癖でも、さすがに恐怖を感じたようです。

アヤは志信さんの上着を羽織りました。
タオルで下半身を覆うと立ち上がろうとして・・ぎょっとします。

見慣れた逞しい腕。その指の先に拳銃が握られていました。
まっすぐに克己の後頭部に向けられています。

「起きたのか」
志信さんは振り返りません。
「護身用だ。気にするな」
気にします。
「日本では拳銃の所持は違反でしょう」
「もっともなことを言うな。これは22口径で警察も使うリボルバーだよ。
至近距離で最も威力を発揮するタイプだ」

志信さんはトリガーに指をかけました。
「消音機能もつけてある」

映画ではドカンドカンと音を立てる発射音。
そのピストルの音を消せるんだ、
そんなことが出来るんだ、とアヤは初めて知りました。
「改造?」
プラモデルでは無いのですが。
アヤの思考には、現実がついていけません。

「・・特殊機能だ。
撃つたびにドカドカ音を立てていたら警察に通報されるだろう?」

怖い世界です。
賢いというのか、恐ろしい。
では、やけに異質に感じた廊下も防弾ガラスだったんですね。

「パラベラムのトリガーにレバーがついていて、これを下げると実弾が発射可能なんだ。
克己はこれを上げたままだった。使い方も知らないで、よく脅したもんだ。
何も知らない子供のアヤにしか通じないぞ」

トリガーを弾くと克己ではなく、床に落ちたパラベラムを撃ちました。
ドンとへこむような音が聞えました。
ばくっと銃身が割れて衝撃でくるりと回り、粉が辺りに飛散しています。
いくら消音機能があるとはいえ、衝撃音は100%消せないようです。
その音で、遠くから結構な人数の足音が近づいてきました。
この世界の住人は耳が遠くては成り立たないのです。

「克己。
おまえがセーフティ機能の無いトカレフを所持していたら、俺はおまえをさっさと撃った。
何も知識の無いおまえが、何処からパラベラムを手に入れたか知らないが・
おまえにそれを売った奴は利口だな。
まさに虎の衣を借る狐にうってつけのアイテムだ」
志信さんが煙を吐くピストルを持ったまま、克己に話しかけています。
舎弟の暴走に理解しがたいものがあるのでしょう。
しかし、志信さんはアヤの前で暴力を振るいませんでした。
見せたくない、という気持がありましたし・・
ここは大叔父の仕切る極西会です。
身内の揉め事なら尚更、頂点に君臨するものが始末をつけるのが筋です。

「欲しいのは親分と言う名前か。分家なんて大きなものを目指したな。
処罰は大叔父に任せる」
腰にぐいっとピストルをねじ込むと、アヤのほうを振り返りました。

「大叔父が腹をすかせてかなりの不機嫌だ。アヤがちっとも来ないからだぞ」
いつもの志信さんの顔でした。
さっきまで、知らない単語を話していたのですが・・別人のように怖い顔だったらどうしようとアヤは思っていました。
「行けれなかったんですよ」
「いつもみたいに暴れられないか。チャカの威力はたいしたもんだ」
志信さんがアヤを抱き上げました。
「タオルを落とすなよ」
「落としません!」
ええ、絶対落としませんよ!と、怒っていると

「怖くなかったか」
いきなり、しんみり聞かれました。
「すまなかったな」
でも・・志信さんはアヤが克己に挿入されたことを知りません。
未遂ですんだと思っているのです。

「あなたが謝ることじゃないです」
アヤは俯きました。
言えません。
事実は言えません。

「俺も隙があったんです」
その俯いた頭で気がつきました。
「なんだこれ。・・頭にコブができているのか・・?」
「触らないでくださいよ、痛いんだから。頭突きしたんです」
「おまえは」
志信さんがため息をつきました。
「体を張ったのか。アヤは強いな」
そういいながら、自分の胸に押し付けるようにアヤを抱き寄せました。
「でも守ってやるよ」

「志信さん」
克己の声がします。
でも返事をしません。
「生き恥を晒させる気ですか」
部屋を出て行く志信さんと入れ替わりに、黒いスーツの男たちがどやどやとなだれ込みます。

「克己の兄貴?」
舎弟たちが下半身を露出した克己を見て、事態を把握しかねています。

「チャカをよこせ」ドスのきいた声がしました。
志信さんの足が止まりました。



→→16話は専門用語はありません。安心してください。

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