12まさかリモコンの遠隔操作とは気づきません。電池・・電池がきれたのか?直生は咲楽のパジャマを脱がせて腰を見ました。 「ここをどうやってあけたらいいんだ・・。」指で触れると異物感がします。 「なに・・?」 骨のようにあたるなにか。指で感触を確かめます。 「ネジだ。」 直生は慌ててドライバーを持ち出しました。 ・・しかしどうあてがっていいものか。 見た目はひとの皮膚そのもの、感触でここにネジがあるとわかるのです。 ・・なんだかドライバーをあてたら・・傷つけそう。 <でも。これしか思いつかない・・> 「咲楽、」 呼びかけても返事をしてくれません。 「痛かったらごめんね、手当てもするから。」 ・・直生はドライバーをネジにあてました。 ゆっくり・・まわします。 するとネジだけがきれいに浮き上ってきました、急いで止められていた部分を外します。 中には単三電池が3本。とても人型の機械が動く動力とは思えないちいさな力でした。 直生は壁掛けの時計を乱暴に外して、電池を取り出しました。 <買い置きしておくんだった、これではいつまで持つかわかんない!> 焦ります。助けたくて焦ります。 また声が聞きたくて。 笑顔が見たくて。 また自分の名前を呼んで欲しくて。 ぱちん。とはめた電池に自分の気持ちもこめたように直生は眼を閉じました。 お願い。 「・・・・・・・さくら、」 ちいさな声で呼びました。 返事がありません。 ああ。と落胆した直生の頬を、そっと触る手が。 「直生さん?もう朝・・?」 待ち望んだ声に眼を開けると、何も知らない寝ぼけた顔がありました。 「・・朝だよ。おはよ。」 そう言って微笑んで、咲楽の手をぎゅっと握りました。 お店の開く時間に直生は咲楽と一緒に出勤しました。 早速、朝田に呼ばれてバーカウンターに座ります。 「ふたりそろって出勤したのね。」 「はい。当分は仕事を教える立場ですから面倒みようと思います。」 「・・関わらないでほしいのよ!」 いきなりの怒鳴り声に、直生はびっくりしました。 「直生は変わったわ。あの・・・咲楽のせいで。あなたのいいところがすべて塗り替えられたわ、それじゃ困るのよ!」 「朝田さん?」 「覚えておきなさい直生。・・私のこころひとつで、咲楽はつぶせるのよ?」 直生は朝田の眼のしたのくまに、恐れを感じます。 「つぶして・・・ゲートのネジにしてやるわ。」 13.へ |