mamさんより夢小説♪『夢の懸け橋』 月が空の頂点から少しすべり落ちた頃、 あの人は対岸の向こうからやって来る。 月光に照らされてあの人の髪飾りが光る。 それを合図のように私はこちら側から橋に足を踏み出す。 そして橋の中央で私達は会う。 サラサラと水音だけが川から響く静かな時間。 夜風があの人の髪を優しくなでて通り過ぎる。 あの人の長い髪は夜よりも更に深い黒の絹糸の様、 それがしんとした空気の中で踊る。 「寒くはないか。」と、あの人は羽織っている丹前を脱いで 私の肩にかける。 私達は余り話さない、ただ二人並んで、あちらとこちらの懸け橋の 真ん中で佇んで、月が西の山の合間にたどり着くのを眺めている。 あの人は私のことを知らない。 私もあの人のことをよくは知らない。 ただとても大事にしている人がいることだけは理解している。 ある夜、あの人が言う。 「彼女の幸せを見届けたら・・・。」 私は世界の果てまであなたを捜しに行こう。 この世の、いや違えた世界までもあまねく歩き回り、いつかあなたに たどり着こう。 そう告げるあなたの鋭角な横顔、嘘のない誓いで厳しい。 それがこちらを向いた拍子にふと崩れ、微笑みに変わる。 その笑顔は、けれど私の涙でにじんで、月の光の白さと区別が つかなくなる。 毎夜、夢の中で私達は会う。 あの人は私をおぼろ月夜と名づけ、そう呼ぶ。 私はあの人を白夜と呼ぶ。 私は今夜も眠りにつく。 あの橋の中央で、あの人と会うために。 ********************************** 素敵なRPG小説を展開中のmamさん。 兄様と夢の中で出会い、そして二人で歩く・・・。 私はずっとずっと兄様のことを追いかけていくでしょう。 どこまでも。 そんな気持ちを本当に綺麗に表現してくださいました! mamさん、キラキラ輝く星のような宝物を ありがとうございました! |