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意外な戦史を語る~  カモメとウツボのメクルメク戦史対談

意外な戦史を語る~ カモメとウツボのメクルメク戦史対談

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2008.06.20
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カテゴリ:アッツ島玉砕
(カモメ)繰り返しますけど、高木俊郎は「インパール」「抗命」「全滅」「戦死」などインパール作戦関係の著書が多くありますね。

(ウツボ)そうだね。

(カモメ)高木俊郎はインパール作戦に従軍した経験から陸軍の作戦に批判的な著作で知られていますね。

(ウツボ)高木氏はアッツ島について、「そこで大本営は後始末をつけるために、全員戦死の惨敗を『玉砕』という言葉で美化した」と。

(カモメ)山崎大佐が救援を求めてから全員戦死するまで一週間以上の日時がありました。

(ウツボ)だけど、海軍はアッツ島救援の緊急輸送準備に着手したんだ。しかし、大本営が成算なしとして中止させた。

(カモメ)その代償が玉砕の美化であり、山崎大佐を二階級特進させ軍神にしたのですね。

(ウツボ)軍神になるための手続きがある。たとえば感状を二度もらうとか。山崎大佐を軍神にしたのは東條の次官である富永恭二中将だ。彼は山崎大佐と陸軍士官学校の同期だ。富永が無理に感状を出したりして軍神に仕立てた。以上が高木氏の座談会でのコメントの要約だ。

(カモメ)ですが、大本営は全く手をこまねいていた訳ではないのですね。北方部隊は昭和18年5月16日幌筵を出撃しています。たが、霧に阻まれ引き返した訳です。

(ウツボ)うん最初は救援する命令を出した。さらに、海軍では、トラック島の古賀峯一連合艦隊司令長官が、5月17日、アッツ島救援のために、旗艦の戦艦武蔵以下十隻を率いて東京湾に向かった。

(カモメ)内地にいた空母三隻ほか十一隻の機動部隊と救援部隊を編成し、アッツ島のアメリカ軍陸上部隊を叩き、アッツ島を奪回するつもりだったのですね。

(ウツボ)だが、機動部隊は5月21日、武蔵部隊は22日に東京湾に着く予定だった。

(カモメ)大本営では担当幕僚が連日連夜協議を繰り返したと記されています。アッツ島付近の北方の天気は霧で視界は1キロもなく、飛行機も飛べなかったのです。

(ウツボ)そこで結局大本営は5月22日にアッツ島撤収を決めたんだ。だがこの濃霧と荒天の中でどうしたら撤収ができるのか。

(カモメ)23日中攻19機が初めて待望のアッツ島航空攻撃に成功しました。だがあまり戦果はなかった訳です。

(ウツボ)5月29日東京湾を出撃しようとしていた機動部隊は作戦中止を命じられた。そしてその夜アッツ島は玉砕したんだ。

(カモメ)もっとこの件について掘り下げてみますと、陸軍の北方軍(軍司令官・樋口季一郎中将)の対応について、「流氷の海」(光人社)によると、実は師団長・鯉登中将の第七師団は昭和18年5月20日、アッツ島増援部隊として、全ての出動準備を完了していた訳です。

(ウツボ)また、山崎大佐にあてて二度の激励電文を発した北方軍の樋口軍司令官は北方軍司令部を前進させ、みずから全軍の指揮をとるべく準備をすすめていたんだ。

(カモメ)ところがその日の夕刻、大本営から「アッツ島への増援計画は都合により放棄する。第七師団の改編、作戦準備は全て中止せよ」という命令電報が入電しました。

(ウツボ)北方軍の参謀室ははげしい衝撃を受けた。あまりの意外さに声をたてるものもいなかった。

(カモメ)ある参謀は「大本営のやつら、なにを寝ぼけているのか。これはきっと誤報に違いない」「アッツの山崎部隊はどうなるのだ」などと怒り狂ったと記されています。

(ウツボ)翌日午後、大本営参謀本部の秦彦三郎参謀次長が北方軍司令部に説明に訪れたんだ。

(カモメ)樋口と秦はロシア班の少佐、大尉時代からの親交の深い間柄でした。秦は昔から樋口を「兄貴」と呼んで慕っていたそうです。

(ウツボ)そうなんだ。後にハルピン特務機関長から参謀本部第二部長に転出した樋口が秦を後任に押したのも、樋口が秦を高く評価していたからだ。

(カモメ)だがその日は、あまりに深刻な状況でしたね。北方軍参謀が勢ぞろいした前で、秦次長は樋口軍司令官に「北方軍にまことに申し訳ないのですが、海軍の協力を得ることができません。それで涙をのみ基本方針を変更した次第です」と言ったそうです。

(ウツボ)樋口は、その途端、色をなして「海軍が協力できない?それはどういう意味か」と言って、ドスンとテーブルをたたいた。お茶がこぼれ、水滴が飛び散った。

(カモメ)秦はガダルカナル、ニューギニア方面の作戦による艦艇、輸送船、航空兵力の消耗が予想以上に甚大で、アッツ島に艦船を割愛する余力がないと説明しました。

(ウツボ)「それでは、アッツを見殺しにしろというのか。山崎を見殺しにしろというのか」と樋口は強い口調で言った。

(カモメ)秦参謀次長は大きな体をつぼめ、しょぼくれたように首をたれた。秦は士官学校時代から負けず嫌いの男で有名だった。その秦がうつむいて、言葉もなかったいたそうです。

(ウツボ)結局、アッツ島増援は中止になったんだ。











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最終更新日  2015.08.29 20:41:00


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