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2006.05.22
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カテゴリ:雑感
最近苗字に関する日記を書いたが、「苗字」と「名字」の違いが気になっていた。最近も、仙台や東北の歴史を精力的に研究されてきた田村昭さんの著作で、岩手県北部は地名と苗字の関連が強い、など読んでいて、やっぱり「苗字」なのか、と感じつつも調べてもいなかった。
 ■関係する日記 やっぱり多い鈴木さん(06年5月9日)

そもそも、民法はじめ法律上は「氏」、だから人間の名前を役所や学校では「氏名」という。ところで、占いではなぜか「姓名」判断という。「氏」と「姓」はどう違うか。昔習った親族法の教科書には「姓のことを民法上は氏と呼ぶ。氏は戦前の家の名前だが制度を改めてもなお国民感情に配慮して氏の呼称を残して...」などという説明だったから、訳がわからない。
この「氏」と「姓」の語義自体は、これまた昔習った古代の氏姓制度に由来するのだろう。「氏」は豪族そのもので、「姓」(かばね)はそれに朝廷が与えた称号だ。具体的に言えば、蘇我なる氏族に、臣や連などの「姓」を下賜したわけだ。ただ、平安時代からは、これらは同一視され、さらには、苗字を「姓氏」などと表現するように、現在の苗字と同様のものと認識されるに至る。それでも朝廷の公文書上だけは厳密で、例えば徳川家康は「徳川源朝臣家康」。徳川が苗字(名字)、「源」が氏(本姓)、「朝臣」が姓である。

さて、その「苗字」ないし「名字」は、古代の氏姓制度とは直接の関連はなく、貴族や武士が各家を表すために地名などを冠したものだ。従って、例えば氏(本姓)が源であっても、家(苗字)はさまざまで、各家の嫡男が代々受け継いでいく、というものだ。

そして、やっと「苗字」と「名字」の違い、だ。『自分のルーツを探す』(丹羽基二・鈴木隆祐、光文社新書248、2006年)に書いていた。現在は同じ意味で2通り表記するが、元来は違うものだ。
中世、名田における年貢や課役の納入責任者を「名主」(みょうしゅ)と呼んだ。例えば源氏の系統の将軍家足利氏は、下野国の足利の庄を領有したので、当地の領主であることを示すために地名を家名を示す「名字」として名乗った。他方、徳川時代には、大名が小名に土地を与えていくうちに細分化されて武士の報酬は土地ではなく米俵による石高となり、つまり武士もサラリーマンとなったが、従って家名を示すにも「名字」の意味合いは薄れ、苗(血縁)を同じくするという意味で「苗字」の字を用いるようになった、というのだ。
つまり、家名を示すという意味では共通だが、時代背景に応じて意味が異なるのだ。なるほど、これは納得。





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最終更新日  2006.05.22 06:26:05
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