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2006.07.06
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カテゴリ:国政・経済・法律
滋賀県知事選で現職が敗れ、環境関係の女性の学者が当選したという報道があった。面白いと思って、地元新聞の論調を読もうと探したが、滋賀県本拠の新聞は共同通信加盟社にはないようだ。おそらく京都新聞が滋賀県エリアをカバーしているのだろう。

日本の都道府県は100年の歴史があって、廃藩置県の直後は混乱もあったろうが、その後、政治的にも社会的にも経済的にも、各県のエリアが活動範囲や考え方の単位となって定着していると言って良い。
特に、メディアは考え方を反映したり先導したりするから、メディアの所在じたいも大きな意義を持つ。国の免許を受ける放送の場合は別として、行政上の監督がない新聞についても、地方紙はだいたいは県の単位である。たまに、1県に2紙が拮抗したり、旧藩を統合した県など地域で主力紙が分かれたり、という例はあるけれど。
この点、宮城県などは完全にモノカルチャーで、何事も仙台中心のモノポールだから、滋賀県のように地元本社の主力地方紙がない「県民感覚」は、何というか、新鮮だ。大げさだが、どういう文化風土か、住民の思考構造はどうだろう、などと余計な想像をしてしまう。

さて、その滋賀県知事選挙だが、以上の事情で京都新聞の論調を引用する。7月3日の解説記事をまとめると、下記の通り。
 ○争点となった新幹線新駅やダム計画の「凍結」を掲げた嘉田氏を選んだ。
 ○建設を推進してきた県や県議会に方針転換を迫る有権者の判断。
 ○現職の国松氏は民主党と自民党の推薦を受けるも、嘉田氏を支持する両党議員も目立った。
 ○両党が推薦候補を決める際にも嘉田氏を同等に扱って政策を問うたことも、有権者には国松氏の低評価につながった。
 ○嘉田氏の不安材料。第一は、行政経験がない点だ。県は、9千億円近い県債残高や1千億円を超える造林公社の累積債務、少子高齢化など、待ったなしの多くの懸案を抱える。
 ○第二は、オール野党の県議会。新幹線新駅やダムを公約通り凍結するには、県議会の理解が欠かせない。
 ○今後、県政の大きな混乱も予想されるが、嘉田氏は県民の負託に応えるため強力なリーダーシップを発揮すべき。また県議会も新知事に託された最新の民意を真摯に受け止め、懸案の解決に向けて協調することが求められている。安易な対立は許されない。

最後の点は、一般論ながらも、これから滋賀県の政界の試練となるであろう、非常に大切な点を指摘している。滋賀の地方政治事情を不勉強なのだが、京都新聞の解説をさらにコメントする意味で、当ジャーナルとして次の点を挙げたい。

「県民の付託」とは、魔物である。政治家にとって、その政治判断の依拠すべきところと言えるが、冷静沈着に有権者の意思を熟慮する(実体的適正)、というよりは政治的立場の正当化(手続的正義)に使われることが多い。また、地域や政策云々よりも、自分の保身第一の目立ちたがりの政治屋さんにとっては、自分自身の地位の言い訳だ。選挙をうまく切り抜ける術さえ駆使すれば、ハイ県民の付託ですからネ、と言えるからだ。このような政治屋にとっては、まさに麻薬だろう。

既存政治勢力の手厚い支持のない候補が当選する場合や、現職を破って型破りの新人が当選した場合(仮にサプライズ知事と呼ぶ)、地方政界は1つの岐路に立たされる。そして、大まかに言えば、その後にサプライズ知事による混乱だけで時間を無駄にするか、あるいは混乱や反目の化学反応の後に地方政治と地方が「良く」なるかどうか、に分岐する。つまりサプライズ知事の言動を政界がどう受け取り、どのような政治的化学反応がなされるか、そして究極的に県民のためになっているかなっていないか、が分かれるのでないだろうか。

サプライズ知事の代表は、前都知事の青島氏でないだろうか。
鈴木俊一氏の都政末期の倦怠ムードの中で、なぜか当選してしまった。バブル崩壊の世相で都庁舎が無駄遣いの象徴と見られたのが、青島氏には幸いした。世界都市博の中止は断行したが、それ以外は結局何もせずに身を引いた印象だ。本人もあまり都政に関心がないように見えた。都庁の役人には相当バカにされただろう。
これを停滞の4年間と評するか、与党政治に冷静にアンチテーゼを示した意義を見いだすかは、ちょっと分からない。一政治家が蛮勇をふるうより無策(官僚的出力に身を委ねる)の方がマシな場合もあるにはある。ただ、次の石原現職知事が現状打破的な政策を(銀行税、新銀行、都立大学統合、都立高校改革、五輪誘致など)次々と実行しているのを見ると、リーダーシップのあり方に天地の差がある。石原氏の政策を手放しで評価するつもりではないが、首長として何をする、そして有権者はどう判断するか、というダイナミズムがある。少なくとも、居ても居なくても良い知事では、都民に対して時間(任期)を浪費した罪がある。

長野の田中知事。長期保守政権に疎んじた地元に推されて見事当選。
「脱ダム宣言」自体は、私は大い評価されるべきものだと思っている。なぜなら、政財コンプレックスの本質を突いているし、象徴的にも財政管理的にも、焦点の当て方が鋭いと思うから。政治家や役人の反対は相当なものだろうが、理念にとどまらない肉付け(説明)を与え、立場を越えた住民個人としての意識にジワリと浸透していけば、支持も広がる。そして後世から大きく評価されるだろう。
田中氏にお願いしたいのは、短期的な人気取り挙動を慎むこと。知事室を1階に移して県民に公開、信州改称、記者クラブ問題、どこかに住民票移転したり。特に記者クラブ問題などは私も日本社会の1つの悪弊でもあると思うし、田中氏の言動は面白いのだけれど、政治家である以上、自らの言動が周りと干渉して起こる化学反応にも目を配っていただきたい。
素直に市民的感覚や地域の誇りを訴えるという心はわかる。だけど、政治リーダーたる以上、実現過程も大事だ。政治課題を遅滞なく実現すること(時間のコスト)も重要。任期は有限だ。大人になれ、とか、気配り型政治家を良しとするつもりは毛頭無いのだが、政治過程は人間関係学だから(打算的な意味ではなくて)、戦略と行動がほしい。政治を荒立てないため、ではない。荒立てて結構、ただ、県民の付託を実現するがためにつながるかどうか、なのだ。地道にかつ大胆に、お願いしたい。
次の選挙も出るようだが、県民は表面的な政治対立に喝采したり辟易したりするだけではなく、県土と生活をどうするかを見ている。どの候補が良い悪いではなく、実のある選挙と成熟した民主政治実現を願う。

滋賀の嘉田新知事には、選挙で受けた有権者の思いは勿論だが、今後の住民の多様な考えも十分にすくい上げ、組織を掌握し、議会を是々非々で対応する、ある程度の戦略と柔軟性をもって成果をもたらす「政治家」になっていただきたい。
見るところ、官僚型でもなく(県職員という経歴はお持ちのようだが)、経済界リーダー出身でもなく、いわば色が付いていない。社民党支持があったようだが、市民運動バリバリで自分の行動を逆規定してしまう自滅タイプでもなさそうだ。良かった。
俗な言葉で大変失礼だが、是非「大化け」していただきたい。表面だけでない新しい政治スタイルと成果を形にして欲しい。そのような政治リーダーが出現することが、地方政治全体にも、国政にも必ず良い影響を及ぼすから、だ。

とすると、滋賀県は、政治の岐路に立っているわけだ。県議会議員など地元リーダーの言動にも変化が生じるだろう。対立に終始することなく、達するところをシカと見定めて明朗な県政運営をお願いしたい。





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最終更新日  2006.07.06 04:01:56
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