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2007.12.20
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カテゴリ:国政・経済・法律
国連総会が死刑執行停止を求める決議を採択した。賛成104、反対54。先進国で孤立している日本は風当たりが強まりそうだ。裁判員制度などもあり、議論を深める機会だ、と毎日の社説(20日)。

たしかに死刑の執行の当否や、死刑という罪の存在自体は、社会的にさまざまな問題を伴っている。しかし、国民の多数は罰としての極刑を望んでいるのも事実。

人が人に合法的に死を課しうるか、などの哲学的論議は別として、一般の死刑廃止論の理由として、例えば、時代の趨勢は死刑廃止に動いてきた、という説明がある。これは歴史の解釈の問題だが、決して一義的にそうは言えないと思う。たしかに近代の刑罰史において、残虐な刑罰や無過失責任は克服されてきたといえる。また、死刑が残る国でも、立法上選択刑としたり、運用上執行を抑制するなど、死刑は限定的に容認されるにとどまる。しかし、だからといって歴史法則的に死刑が消滅に向かっているとは言い切れない。究極の罪としての死刑は存在すべきだと考えるからこそ、運用上抑制しているとも言えるからである。

また、死刑の抑止効果には実証的に疑問もある、との意見もある。刑事政策的に改善や教育の余地がない、あるいは一般予防の威嚇力もさほど大きくない、などとするのである。特に刑罰の本質を目的刑(教育刑)とみる立場からは、こうなるだろう。しかし、刑罰を目的刑と見るか応報刑と見るかに関わらず(一般人はその双方を国家の刑罰権の行使に期待するだろう)、究極刑としての死刑の存在はなお必要と考えられていると思う。つまり、改善や更正によせる期待は、死刑以外の通常の刑の範囲で通用する。言い換えれば、国民として犯罪者の更正は期待するが、極悪人にまでは期待しない、ということでないか。

死刑廃止論の論拠として、国家が私的制裁におもねることの戒め、言い換えれば、被害者感情を重視しすぎ、との意見もあろう。これはデリケートな問題だ。被害者感情だけを重視するなら確かに問題だろうが、国民の規範意識や刑罰によせる期待がなくしては、刑罰システムが犯罪予防と秩序維持のために機能しない。だから、被害者感情も、国民一般が理解する範囲で考慮するのが当然だ。

以上のように考えてくると、死刑は他の刑罰と別質のものとして議論すべきように思う。罰の序列の延長上の端に死刑を置いてみるのではなく、他の刑罰とは質ないし次元の異なるものと見るべきだ。現行法上の自由刑(身体の自由の制限を伴う)は懲役、禁固などだが、身体の直接侵害はしない。自傷他害などの事情がなければ身体直接拘束は許されないだろう。また、ムチ打ちや指詰めなどの身体刑も近代国家では全廃された。なのに、死刑だけは、堂々と身体の直接侵害、それも究極の身体侵害だ。これが廃止論を伴いながらも存置されてきた所以は、やはり他の刑罰とは別のところにあるとみるべきでないか。

などと考えて、結局私は死刑存置論者である、と思う。政策的に死刑廃止の理念を立法化することを絶対に否定するつもりはないが、それはまだできないと思う。自分が自発的にそう思いこんでいるのか、それとも死刑容認が日本人の多数意見だから尊重せよ、と考えているのか、実は自分でもよくわからない。

1つだけ。世界がこうだ、時代の趨勢がこうだ、の議論はやめたい。もちろん、日本の独自性だけを強調して誰がなんと言ってもこうだ、と威張るほどではないが。周りから入るのでなく、普通に自分を表現する。海を気にして自ら沈むことなく、地に足をつけたい。というより、足をつける地を見定める、そのことが日本人の心に大切なことではないか。

国際世論ばかり強調する毎日の社説は、その点から違和感を覚える。世界が動いたから我が国も考え直すべし式の論調。もっともこの式の論議こそ、日本人らしいともいえるが。





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最終更新日  2007.12.20 22:16:54
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