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2008.02.10
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カテゴリ:東北
魔よけに関する本を読んだ。古今東西の魔よけの形と由来を紹介する入門編で、随所でなるほどそういう意味だったのか、と思わせる。紋章や道具だけでなく、鰯の頭、猿、シーサーなども紹介されている。人類がどんな思いを込めて魔よけに努めてきたのか、とても興味深く読んだ。

■岡田保造『魔よけ百科 かたちの謎を解く』丸善、2007年 978-4-621-07876-1

西日本が中心かと思いきや、東北に関する記述も結構あったので記す。

1 五芒星(安倍晴明判紋とも)
 いわゆる星マーク。一筆書きで書けて閉鎖性を持つことで、悪霊を監視する「目」の結び目が多く、また魔力を封じ込める効果があると考えられ、先史時代から洋の東西を問わず呪符とされてきた。(私は地球防衛軍の流星マークを思い出す。)
 我が国の五芒星は西洋あるいは中国から伝来し、5つのカドが、密教でいう五大(地水火風空)や陰陽思想の五行(木火土金水)を表し、五行相生説や五行相剋説と結びつけられた。
 我が国最古のものは7世紀の阿古山古墳(鳥取市)石室壁面。上野国分寺と国分尼寺(群馬県)に挟まれた河川敷の祭祀遺跡。
 また、古代出羽国の役所であった払田(ほった)柵(秋田県)の祭祀遺跡の土器に墨書されている。915年の十和田火山大噴火に対する祓いの祈りとみられている。

2 目籠
 かつて東北や関東では御事始め(2月8日と12月8日)に目籠を籠の先にかぶせて軒に立てかけた。この日に来る鬼を撃退するために、多くの「目」を用意するのだ。また、目は五芒星(六芒星といった方が近いが)に似ている。

3 九字
 中国の葛洪(かっこう)の道教思想の本『抱朴子』にある護身の呪文。臨兵闘者皆陣列前行の9字。これを図形化した縦5本横4本の井桁が九字紋として用いられる。
 9世紀の国家北方経営の拠点胆沢城(奥州市)近くの住居跡からこの図が刻まれた土器が出土
 修験道や日蓮宗では九字之大事という秘法がある。修験者は護摩を焚く時、九字を唱えながら空中に紋を切る。

4 ×印
 弥生時代の島根県荒神谷の銅剣などに刻まれ、古墳時代の但馬地方などの土器に書かれている。明らかに信仰的なものとしては高松塚古墳壁画や薬師寺金堂本尊台座の青竜像の首にある。アイヌ民族の神に捧げる酒箸や修験者の錫杖にも付く。
 会津若松城では現存の5つのすべての虎口(入り口)の石垣に×印が刻印されている

5 双六
 インドのエローラ石窟寺院の床に十字形の双六が彫られている。パチシと呼ばれ、インドで一千年を越える伝統をもつ。イランのペルセポリスのテラスにも、古代エジプトの双六セネトに似た双六が彫られている。
 我が国では北国鎮護を祈る達谷窟毘沙門堂(平泉町)の入り口階段土台石に同様のものがある
 トルコのエフィソス遺跡では大道上に数種のゲームの模様。これらは神の意志を問うための祭具とされる。また古代エジプトのものは死後の安寧を祈るものとも。

6 反閇(へんばい)
 中国夏王朝の始祖禹が治水のため全土を巡った時、痛めた足を引きずるように歩いたのを禹歩(うほ)と呼び、道教で清めと魔よけの呪術的歩行法となった。足跡を9つ残す歩行法ある。我が国に渡って反閇と呼ばれ、陰陽道、修験道の呪法となり、また芸能にも受容された。奈良時代には新築の時に土地を踏み地霊を鎮める行為が万葉集にも詠まれている。平安以降は陰陽師が貴族の外出などに際して祓いの反閇を踏んでいる。
 江戸時代になると魔除けの九字を意味する三方陣盤の1から9の数字を順に踏むと招福除災が約束されるとして、ひろく庶民まで大きく刷られた三方陣盤の上で自ら反閇を踏むようになった。
 芸能では、奥三河の花祭りで反閇が踏まれる。また北上の鬼剣舞の名は反閇から付いたという。いずれも修験者がもたらした作法。相撲も地霊を踏み鎮めるもの。

7 鉱山
 危険な作業だけに坑道には呪符刻印がある。奈良大仏の銅を産出した長登銅山(山口県)の坑口前の岩にも呪符の星印と×印が彫られている。17世紀頃のものでは、山形県の野辺沢銀山で排水用の疎水坑に十字などの刻印が彫られ、近くに祀られる山の神の神紋は○に十字。

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最後に、画像は知人のトルコみやげの魔よけ。この本にも出ていた。東南アジアから地中海沿岸にかけて、青い一つ目のお守りが邪視(危害を加える眼差し)を退けるとされる。





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最終更新日  2008.02.10 06:35:53
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