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2012.11.18
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カテゴリ:仙台
明治時代の仙台の3つの有力新聞紙の1つ「奥羽日々新聞」が「仙台日々」と称した頃の明治11年、三面記事で某商家の嫁を揶揄したため訴えられ、社長は出張中と偽って出頭しなかったことから投獄されて自殺したことを、以前記した。

仙台・宮城県の新聞概史(2012年11月10日)

逸見英夫『明治・大正・昭和 仙台じけん帳』(河北新報社、2002年)にこの一件が詳しく紹介されている(同書第4話「社主、獄中で謎の切腹~新聞記者筆禍事件」)。当ジャーナルで以下に要約させていただく。

仙台日日新聞は表小路東北角の「相愛社」が発行。社主は須田平左衛門。

明治11年4月1日付け仙台日日新聞は、国分町の男の家庭の内輪を記事にした(亭主が摘み食いをやりそこなって山の神が暴れ出した話)が、これが讒毀とされ仙台裁判所検事局から呼び出しがかかった。4月5日の同新聞は、「本社前の仮編集長下飯坂秀治儀、去る3日飯坂の温泉に当時に参りし跡へ、仙台裁判所検事局よりお呼び出になりましたが、すでに発足の後ゆえ...」との記事。しかし、下飯坂不在は事実でなかった。事実は、下飯坂は3日に県外の飯坂温泉に湯治に行くため30日以内の旅行を戸長役場に申し出、戸長から宮城県庶務課に届け出て許可の印鑑を入手していたところ、旅立ちが2日間遅延していたところに、4日に召喚状が届いたのである。

召喚状を受け、下飯坂と須田は相談し、紋切り方の告訴に関わっては肝要の社用が留守になる、誹毀事件はわずかの罰金で済む、不在として出頭しない方針として平気の平で出立することとした。すぐに社員伊藤欽一郎が社長名で、既に3日から下飯坂は湯治に行っており召喚を2週間延期してほしいと不在届を提出。当の下飯坂は明後日出立するつもりで新聞社を出たが、間が悪く張り込んでいた密行巡査によって仙台警察署に拘引される。

須田のいう肝要の社用とは、湯治ではなかったようだ。明治33年に下飯坂が回想記に語ったところでは、相愛社は明治10年の西南戦争で政府の布告類の印刷販売の収益が激減していたが、回復策として福島県の地券状の印刷を引き受ける契約の成立目前で、下飯坂は須田の委任でこの契約を成立さる目的で福島に行こうとしたのである。湯治を偽った理由はわからない。

4月23日、早くも判決が下る。下飯坂は足に障害があり罰金5円で放免。須田が禁獄40日、伊藤は禁獄30日。2人は仙台裁判所(現在のタワービル)から片平丁の監獄署(現在の片平市民センター)に連行。

須田平左衛門は天保12年(1841)に75石の大番組士丹野官治の子に生まれ、文久3年(1863)に88石の大番組士の須田家を継ぐ。平素は寡黙だが事を議するに雄弁。戊辰戦争では国老但木土佐の指揮下ではたらき、戦後は五ッ橋須平と改名して潜伏。牡鹿半島の海産物を改良し、仙台や東京で販路の拡張に奔走したが事業に失敗。明治5年に、水科正左衛門、横尾養鶏と相愛社を起こす。6年に郵便報知新聞社長小西敬義の援助で、印刷を改良、明治7年から東北新聞を発行。のち、仙台新聞、11年1月からは仙台日日新聞として県内最初の日刊紙となった。平民主義を唱え、品井沼干拓を企画したが断念。銀行創立を企てて七十七銀行創立にも寄与した。

筆禍事件で下飯坂は仮編集長の職を辞した。後継は高瀬茂顕(眞卿)で社内改革を断行したが社内のごたごたが続き、すぐに編集長を辞任することになる。

〔以下次回に〕





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最終更新日  2012.11.18 21:47:03
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