子どもたちは、どの子も本心から願っています。
「いじめをなくして」と・・・。
では、そのために、大人はどうしたらよいのでしょうか?
「道徳授業をしっかりやるべき」
「加害者の子を出席停止にするべき」
いじめの問題が表面化すると、必ずこのような声が聞かれるようになりますが、これはハッキリ言って無意味です。
恐喝は、大人の世界では犯罪です。
前出のコンパスで刺すという行為も、大人の世界では立派な傷害罪です。
こうしたことを学校内で『いじめ』という言葉で終わらせてしまったら、
子どもたちに、こういう行為が犯罪である事実が伝わりません。
人の命を脅かす行為があったのであれば、外部機関と連携して、
それは犯罪であることを子どもたちにしっかりと理解させて下さい。
それとともに学校は、全保護者に向け、
「いじめがあった」とだけ事実説明をしてください。
そして、今後は、学校と保護者全体が一丸となって、
いじめをなくすために活動していくことを、それぞれの子どもたちに宣言して下さい。
それぞれの家庭内では、
「学校でいじめがあった。これからは私たち親も、いじめをなくす活動に参加していく」
と、子どもに宣言してください。
それだけで、子どもたちは、大人のこれまでとは違う空気を感じ取り、自粛するようになります。
それとともに、子どもの方から「実は…」と自らが見聞きした実態を語りだす子もいるでしょう。
その際、それぞれの子どもに、
「まさか、あなたはやっていないわよね?」
などと尋ねることは禁句です。
当事者でないならいいや、という親の感情を、子どもは敏感に読み取ります。
それぞれの親が、いじめをなくす環境を学校と共に作り上げていくことだけを、子どもにきっぱりと宣言します。
山脇先生は、冒頭の前置きのあと、続けてこうも言われました。
「けれど、いじめは疫病である以上、
私たち大人が一丸となって、子どもたちを治療していく必要があるのです。
学校も保護者も、地域の大人までもが一丸となって、 いじめをなくすために取り組まなければ、
いじめという病巣はなくなりませ ん」
まず、私たち大人が本心からいじめをなくすと信念を持ち、
その信念に従って行動すること。
いじめがなくなれば、次はいじめを起こさせない活動にシフトする、
というように、永続的にその信念を掲げ続けること。
大人のその姿勢こそが、子どもたちが求めているものなのかもしれません。
次回は、現代の学校を取り巻く大人の姿です。
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