チャーシュー丼 家屋 ~あり得ない居場所のあり得ない妙味~〈閉店〉
今年に入ってからランチを出すようになったという。外観から想像するに「グルメ」とは最も縁遠そうなれっきとした酒場的居酒屋なのだが。ものは試しなので、とりあえず突入してみる。おなじ居酒屋にしても、特に「個室居酒屋」と銘打ってあった。その点少しだけ興味がわいた。室内は、ほぼスナックの様相を呈していた。そこにじゃっかん和のスパイスを配合している。酒やらカラオケの注文に便利そうな低めのカウンター席が、店内の一等地を陣取っている。脇のスペースに小上がりを配し、その反対側に背の高いパーテーションで仕切ったテーブル席を2区画用意していた。このボックスが、タイトルの根拠となっている代物らしかった。メニューを見ていると、女のコが麦茶を持ってきた。それはそれでいいのだが、香水の匂いがきついことこの上ない。これはとてもまともにランチをとれるロケーションではない。早々と見切りをつけて退散してもいいように思った。たぶん「食べ歩き」という大命題がなかったら、即座に撤収していたことだろう。普通はそうする。数ある中から、チャーシュー丼を注文した。しばらくして、その定食がお盆一そろいでやってくる。ビジュアルとしては悪くない。きちっと筋が入っていて、いかにも美味しそうな焼豚が、折り重なるようにして美麗におごられている。その数たるや、豪華にたっぷり十数枚。これがじつに、莫迦にできない代物だった。最上質のローストビーフを食べたときと同じ感想を持ってしまう。スライスの薄さ加減、炙りの入れかたが絶妙で、口もとでやさしく割れて裂ける。ドライ系醤油だれがしっとりコーティングされ、肉片との相性もこれ以上ないくらい良い。トッピングされた白髪ネギが、食感にシャキッとしたアクセントを添える。れっきとしたラーメン店のふつうレベルの焼豚丼では、とても太刀打ちできない。それほどに完成度が高く、一品として素晴らしくまとまっていた。これをメインとして、味噌汁、小鉢2品、香の物、ソフトドリンク(選択)がつく。半スナック風居酒屋(全スナック的香水付)での、想像だにできない逸品の登場に、とりあえず全面的にノックアウトされてしまう。この環境、この境遇さえ許せるなら、穴場店の超意外メニューとして一に推奨できる。ごくたまにしかないのだが。こういう意想外の好刺激があるから、食べ歩きという酔狂は止められない。個室居酒屋「家屋」【閉店】住 所:袖ヶ浦市長浦駅前3-12-3アクセス:駅前通り スリーエフの隣 P(約2台)電話番号:0438-63-9068営業時間:11:00-14:00/20:00-1:00頃/客 席:カウンター5席/テーブル2卓/小上がり2卓/喫煙自由/定 休:日曜日/祝日/利用種別:個人向き/グループ向き/男性向き/料金支払:あと払い/カード不可/メニュー:【ランチ】(各ドリンク付) ステーキ定食950/ハンバーグ定食850/とんかつ定食850/ フライ定食850/しょうが焼定食800/唐揚定食800/ かつ丼750/チャーシュー丼750/親子丼750/ カツカレー850/オムカレー750/カレーライス650/ オムライス700/ナポリタン700/カルボナーラ700/ たらこスパゲティ700/明太クリームパスタ700/ 炒飯650/家屋焼きそば600/ 【単品】 チャーシュー680/海鮮おこげ680/炒飯580/ポテトフライ430/ チーとろとろ530/ナンコツ揚げ480/串揚げおまかせ860/ 焼鳥160/ 【宴会コース】(要予約/5名~) 1980/2480/応談/ 評 価:☆☆☆☆☆ (味4.5/量3.5/サービス3.5/雰囲気3/CP4/駐車場3)