可愛いに間に合わない(ファッションと猫と通販な日々)

↓前回です♪
第九段

★☆★☆
第十段

それから、よぼよぼ三蔵は年寄りのように歩いて

白馬が繋がれて待つ小屋の裏手に回った。

見事な馬の鼻面や身体を時間をかけ、じっくりと撫でて、

この動物が惜しみなく与える無邪気な慰めを受け取っているようだった。

充分に眠りを貪ったふたりの妖怪が現れて、

その内ののっぽの方が溶けるようにくずおれる三蔵を受け止め

軽々と抱きあげると、部屋に運んだ。

お師匠様は病気なのか、と不安そうに猪八戒は訊ね、

違う、眠り足りないだけだ、と悟空が応え、

彼等は、朝食の支度と、風呂の支度にとりかかった。

手近なものの大きい物を小さく、小さい物を大きくと、

悟空は術を駆使して鍋や釡や、

十人も入れそうな大きい風呂と、一人用の風呂を造り

觔斗雲(きんとうん)で、何度も往復して豊富に湧き出る清らかな水を運んだ。

その間、他のふたりはその湧き水で全員の衣服を洗濯したり、料理したりした。

悟空は火を吹き、あっという間に、風呂の水は良い加減に温まり、

三人の妖怪は腹を満たし、風呂に浸かった。

その内には、昼になっていて、悟空は顎をしゃくって沙悟浄を促し

僧の様子を見に行かせる。

彼はようやく起きていて、ぼんやり衣服を整えようとしていた。

『風呂ですよ、お師匠様』悟浄は返事も待たず、連れて来た時のように

三蔵を抱えて、外に出た。

彼を裸に剥くと、一人用の風呂桶に有無を言わさず漬けた。

三蔵のいくつもの儀式を無視したのを、誰も頓着しなかった。

それより猪八戒が、『さすが人食いは、仕事が早い』と言った言葉が

悟空を笑わせた。

悟浄は桶の外に立って、中でぼーっと立ち尽くしている僧の丸い頭の上から

おわんをタライほど大きくした容器でお湯をたっぷりかけたので、

溺れそうになり、すっかり目を覚まして、せき込みながら

三蔵は声をたて笑い始めた。

ぬるいぞ、行者！と彼は愉快そうに大きな声を出した。

悟空は、自分たちの風呂から出て、悠々と行き、火を吹いて見せ、

それを見て三蔵がまた大喜びするのを横目で睨んだ。

なんて人使いの荒い坊主だ。

俺はあれからずっと働きづめだ。

だが、悟浄が小さな風呂に無理矢理入り込み

妖怪の大きな身体に包まれて、

孤独な僧が子供のように護られているのを見ていると、

そんなことはどうでもよくなってしまう。

何故かこの二人はとても仲が良い。

ふたりはお湯を顔に掛けあったりして陽気にふざけ合っている。

容姿の絶望的な違いを除けば、親子のように見えなくもないと、

しみじみと思った。








三蔵の胸に隠された或る出来事はまだふせられたまま、、、

つづきます。。



御一行様の日常？
(この可愛いイラストは、春節のころ。暮れの大掃除？)

↓次回です♪
『三蔵、妊娠したってよ』第十一段　～私を捨てて構わない～　映画『西遊記之孫悟空三打白骨精』によせて


最初からお読みになりたいごキトクな方は
（たぶんいらっしゃらないと思うけど）
下記の

『三蔵、妊娠したってよ』シリーズ早見表
↑
からどんぞ♪






なかよしこよし(笑)
はにかまないでよ、もじもじしないっ





『三蔵、妊娠したってよ』↓シリーズ(笑)


三蔵、妊娠したってよ 　　　

『三蔵、妊娠したってよ』シリーズ第二段

『三蔵、妊娠したってよ』シリーズ第三段

『三蔵、妊娠したってよ』シリーズ第四段

『三蔵、妊娠したってよ』シリーズ第五段

『三蔵、妊娠したってよ』シリーズ第六段

『三蔵、妊娠したってよ』シリーズ第七段

『三蔵、妊娠したってよ』シリーズ第八段

『三蔵、妊娠したってよ』シリーズ第九段








ウィリアム・フォン、馮紹峰、フォン・シャオフォン、ペン・シャオペン　以上全部同じ人（笑）