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2016.07.22
カテゴリ：◆映画・TV・華流・韓流・ショービズ
↓前回です♪
第八十六段 ～愛していると言って～ ★☆★☆ 第八十七段 その問いに応える代わりに シアンは優しくジョンの身体の上に下りてきて、 そっとジョンの腕を枕に横たわった。 ジョンはシアンを引き寄せた。 シアンの細い身体はジョンの左腕の中にすっぽりと包まれた。 『それよりどうしてそんなにへりくだった言葉を使うの？ 「貴方様」？』 シアンは顔をジョンに向けた。 『照れくさいから』ジョンはそう言って彼もシアンの方を向き、 にっこりとした。 なんて素敵な笑顔だろう。シアンはうっとりした。 ああ、だけど昔の方がずっと素敵だった。 黄金の毛並み。たくましい身体。たまにおぶわれたりすると、 いつも、この時間がもっと長ければと思ったものだ。 彼の肩に顔をうずめて、ずっとあの干し草のような心が落ち着く香を 嗅いでいたかった。 だけどあの雲の物凄いスピード！最低だ！ 『殿下、今から私の話すことを落ち着いて聞いて下さい。』 夢見心地のシアンは、うんと言ってごろりとジョンに向き、 長い腕を彼の身体に回し、 半身をジョンに被せるように思い切り身を寄せた。 そして、ジョンの肩と首筋の臭いをくんくん嗅いだ。 くすぐったくてジョンは笑い声を上げた。 『何をなさるのです？とっぴなことをなさる方ですね』 『んー、良い匂いだと思うよ』 シアンは言った。そして、ごそごそと身動きした。 ジョンはぎょっとして腰を引いた。 シアンの手があらぬところに伸びて来たのだ。 『おやめなさいっ』 ジョンは流石に厳しい声を出した。 『えー？どうして？』 シアンはぼんやりと言った。 『この部屋にいったいいくつの監視カメラが備え付けられていると 思っているのですか』 『５７台』シアンは即答した。 『えっ！そんなに！』 ２４台までは目視できた。その二倍か、、、 ジョンはホワイトの性格が分からなくなった。 異常な多さじゃないか？ いや、そのことじゃない。 『私は確かに悪癖だらけの男だが、 情事を他人に見せるような趣味はない。』 いや、そんなことでもないが、、調子が狂って、ジョンは溜息をついた。 『ここは昔、舞踏会場だったんだ。 昔の持ち主は、皆と楽しく踊りながら、 ひどく悪い考えを巡らせていたんだよ。 カメラの内のいくつかは、５K離れた所から 君の直腸の温度までスキャンできるよ。誤差は±0.02』 シアンはこともなげに言った。 『そんな、、』 ジョンは絶句した。 『あ、今はそんなことしてないよ。 ホワイトはエネルギー効率のことで頭がいっぱいだからね。 今日生きているカメラは多分半分以下だよ。』 それでも多い。 『多いのは仕方ない。僕が頼んだのさ。君を守るためには必要だ』 そしてシアンはむっくり起き上がり、 テーブルからフォークを取り上げた。 そして勢いよくジョンにその銀器を振りおろそうとした。 ジョンは総毛立ち心臓が縮みあがった。 その途端、シアンの手から、フォークがはじけ飛んだ。 何が起きたのか分からなかった。ジョンは目を白黒させた。 何者かが、シアンを攻撃したのだ。 『見て』シアンは、攻撃された手をさすりながらジョンに言った。 彼の指さす方を見た。 宙に何枚ものプレートが浮いていた。 碁盤の目状の規則正しい並び方で。 だが、それぞれが違った高さで浮いている。 一部は、高い天井近くまで上がっていた。 そして一部は縦横無尽に飛び回っている。音も無く。 それらの発する赤い光が一斉にふたりの方に向けられていた。 床のタイルだ。 ジョンは身覚えある色形に気がついて驚いた。 それらは意志のある生き物のように、彼等を凝視し、 そして観察しているように見えた。 『タイルだ』 ジョンはやっとで呟いた。 そう。 シアンは頷いた。 これでも万全とは言えない。 シアンは言った。 『でも、今出来る限りのことはしたいと思ったんだ。君を守るよ』 オーケー、今のはテスト。 シアンはタイル達に言った。 僕を殺さなかったのは、見事。 タイルはやはり静かに、もとの場所に下りて行って、収まった。 もとの何の変哲もないタイルに戻った。 シアンは本当に本当に本気だ。 今さらながら、彼のジョンに寄せる思いの強さに愕然とした。 多分、この館では色々なものが君を守るよ。 誤作動がないことを祈ってる。 シアンはまんざら冗談でもなさそうに言った。 だから、一番あてになるのは、僕だろうな。 いつも傍にいるから。 甘く囁くようにそう言いながら、またシアンはジョンの傍に来て、 抱きついた。 ジョンは身を起していて、身体を堅くしていた。 もうすぐ、俺は死ぬな。誰に守られていようと、 そう長生きはできまい。 今日一日で急に老けこんだようになって、 ジョンはシアンにいざなわれるままに再び床のラグの上に横たわり、 シアンを腕の中に抱いた。 そして話すべきことを忘れた。 つづく  縦横無尽の男 抑えの利かない男とも言う（笑） ***** 見上げれば月のない夜だった 理由も無く一人泣いたりしてさ 窓に灯り少し見えてた 僕ばっかがなんか損じゃない キライ？ こんな風なのは見たくないよね わかっているんだよ 全部話そうとしてみるけど 邪魔なんだよ、このわだかまり 優しい声が胸をよぎるよ ねえもっと側にきて 見上げれば月のない夜だった あてもなく一人何処かさまよう 影はまどう光の中で揺れよう そしてもっと笑って 風に流れ何処へ行くのか so もっと教えてよ 大事なことならもう分かってる 当分ここらでやりぬいてみようか 始まりはチグハグなんだけど 見上げれば月のない夜だった わすれてた言葉見つけに行こう 砕け散る星の合間を縫って まぎれてた僕を照らし出せよ きゅうくつな夜に満月の光で 『満月』 作詞:小林 建樹 作曲:小林 建樹 ↓次回です♪ 第八十八段 ～『本当？それは明日の朝？』シアンは全身で輝いた。～ 最初からお読みになりたいごキトクな方は （たぶんいらっしゃらないと思うけど） 下記の 『三蔵、妊娠したってよ』シリーズ早見表 ↑ からどうぞ♪  ウィリアム・フォン、馮紹峰、フォン・シャオフォン、ペン・シャオペン William Feng 以上全部同じ人（笑） 『三蔵、妊娠したってよ』シリーズ早見表ってことでヨロシク♪ 『可愛いに間に合わない』新着記事一覧 ↑ここから目的の記事を探して頂く方が早いかもしれない？ もしもお気ににして頂けるならば、その時もここのほうが、、 お気に入りの記事を「いいね！」で応援しよう
Last updated
2016.09.30 14:56:54
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