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「ドント・ブリーズ」(原題: Don't Breathe)は、2016年公開のアメリカのサスペンス&ホラー映画です。フェデ・アルバレス監督、フェデ・アルバレス/ロド・サヤゲス共同脚本、ジェーン・レヴィ、ディラン・ミネット、ダニエル・ゾヴァット、スティーヴン・ラングら出演で、盲目の老人宅に強盗に入った若者たちが体験する恐怖の脱出劇を描いています。
「ドント・ブリーズ」のDVD(楽天市場) 【スタッフ・キャスト】 監督:フェデ・アルバレス 脚本:フェデ・アルバレス/ロド・サヤゲス 製作:サム・ライミ/ロバート・タパート/フェデ・アルバレス 出演:ジェーン・レヴィ(ロッキー、強盗をしながら妹とカリフォルニアへ行くことを夢見ている) ディラン・ミネット(アレックス、ロッキーの仲間、父親が警備会社に勤めている) ダニエル・ゾヴァット(マネー、ロッキーの仲間で恋人) スティーヴン・ラング(盲目の老人、古い家で犬と暮らしている元軍人、大金を持っている) エマ・ベルコヴィシ(ディディ、ロッキーの幼い妹) フランシスカ・トローチック(シンディ) クリスティアン・ザヒア(ラウル) カティア・ボーカー(ジンジャー) セルゲイ・オノプコ(トレヴァー) ほか 【あらすじ】 舞台は経済破綻しゴーストタウン化が進むデトロイトの街で、養育放棄の両親と暮らす不良少女ロッキー(ジェーン・レヴィ)は、強盗で逃走資金を得て、いつの日か妹と街を出ることを夢見ています。ボーイフレンドのマネー(ダニエル・ゾヴァット)から大金を隠し持つと噂される盲目の老人(スティーヴン・ラング)の家の強盗を持ちかけられた彼女は、マネーと友人のアレックス(ディラン・ミネット)の3人で真夜中に盲目の男性の屋敷に押し入ります。しかし、その男は元軍人であり、盲目ながら侵入者の殺害も厭わない恐ろしい人物でした。真っ暗闇の家の中で追い詰められ、怪しげな地下室に辿り着いた若者は、衝撃的な光景を目にします・・・。 【レビュー・解説】 緊迫感溢れるタイトルの本作は、サム・ライミ監督の流れを汲みながら、流血を少なくし、不気味な超自然現象にも依存せず、サスペンスフルなオリジナル・ストーリーとスリリングな演出で観る者を魅了するホラー映画です。 「ドント・ブリーズ」(息をするな)は秀逸なタイトルです。息をするとその音で盲目の老人に居場所がばれて殺されてしまうという緊迫感が伝わってきますが、まさに本作は最初から最後まで緊迫感の連続です。当初のタイトル「A Man in the Dark」(暗闇の男)から、すんなり変更されたといいますが、この変更に文句を言う人はいないでしょう。フェデ・アルバレス監督の前作「死霊のはらわた」(2013年)はサム・ライミ監督の同名スプラッター・ホラー映画シリーズのリメイク/リブートでしたが、アルバレス監督は本作をサスペンスフルなオリジナル・ストーリーにし、流血を少なくし、昨今、安易に使われる傾向のある不気味な超自然現象に依存しない作品にしようと決めたといいます。本作は、その決意どおりに、リアルでスリリングなオリジナルのストーリー展開で、観る者を最後まで惹きつけます。 「死霊のはらわた」(1981年)は、サム・ライミ監督によるアメリカのスプラッター映画で、1980年代のスプラッター・ブームを発生させた作品として知られています。続編として「死霊のはらわたII」(1987年)、「キャプテン・スーパーマーケット(死霊のはらわたIII)」(1993年)があり、これら三部作はカルト映画としても非常に有名です。「死霊のはらわた」(1981年)のリメイクを検討していたサム・ライミ監督は、YouTubeで彼の自主制作映画を観て、リメイクの監督に抜擢します。 「マスター(達人、精通者)でなければこの映画を与えたくはなかったんだ。そんな時、「パニック・アタック!」を見て、フェデがとてつもない才能を持つ人間で、すごいエネルギーでもってストーリーを語ることができる人間だということがすぐに分かった。」(サム・ライミ監督) 「死霊のはらわた」(2013年)は、サム・ライミ監督よる「死霊のはらわた」(1981年)の設定を一から作り直したリメイク/リブート作品であり、フェデ・アルバレスが初めて長編監督に挑戦、フェデ・アルバレス/ロド・サヤゲス/サム・ライミ/ディアブロ・コーディが脚本、サム・ライミ/ブルース・キャンベル/ロバート・G・タパートが製作、ジェーン・レヴィが主演を務めました。本作もほぼ同じメンバーですが、前作とはかなり趣の異なったホラーを実現しています。ライミ監督の流れを汲みながら、アルバレス監督のカラーがより強く出ている作品です。ジェーン・レヴィ(1989年〜)は、ロスアンジェルス出身のアメリカの女優です。身長157cmと小柄ながらも、学生時代はサッカーチームのキャプテンを務め、ヒップホップダンスのチームにも所属するなど、高い身体能力を有します。本作の終盤で彼女の演じるロッキーが走るシーンがありますが、非常に素早い、素人離れした走りを披露しています。「死霊のはらわた」(2013年)、本作と二作連続でレヴィをいたぶったので、彼女には嫌われていると冗談を飛ばすアルバレス監督ですが、二人は良い友達で、本作の脚本も彼女が最初に見たと言います。脚本を読んだ彼女は出たいと言いましたが、プリプロダクションに入るまでの3〜4ヶ月の間に、別の映画で彼女の予定が埋まってしまい、本作に出演できなくなりました。アルバレス監督はハリウッドの若い女優を片っ端から当たりましたが、誰にも賭ける気になれませんでした。撮影の2週間前になっても、ロッキー役が決まっておらず、スタッフはすくみあがっていたと言います。そんな折、出演を予定していた映画がポシャり、レヴィが自宅にいるのをインスタグラムで知ったアルバレス監督は、早速、連絡します。出演を快諾した彼女が飛行機で駆けつけたのは、撮影開始のわずか7〜8日前でした。撮影現場でスタッフを待たせながら議論することを好まないアルバレス監督は、この短い期間にレヴィと役柄や演技について集中的に議論したと言います。 ジェーン・レヴィ(ロッキー、強盗をしながら妹とカリフォルニアへ行くことを夢見ている) 盲目の老人役を演じたスティーヴン・ラングは、本作の鍵でした。出来過ぎた話のようですが、彼はスケジュールが合う俳優のリストのトップでした。アルバレス監督は誰かを想定して脚本を書いたわけではないのですが、ラングがまさに老人役にぴったりだと感じ、すぐさま彼に電話し、ラングも脚本が気に入りました。ラングは後日、この役に恐れを感じたので、逆にやりたくなったと語っています。この役は、映画の中で様々な感情を見せながら変化していき、盲目の老人が救われるに足る人物かどうか、観客を惑わします。彼は複雑なキャラクターで、また、目が見えないことを前面に押し出して演じなければなりません。「役に恐れを感じる部分がなければ、勇気を見せる幕がない」とラングは語っていますが、彼にとってまさに挑戦に足る役でした。撮影時、彼は視界の70%を遮るコンタクトレンズをしていましたが、暗い条件下では何も見えず、彼は撮影中、ほとんど盲目を演じる必要がありませんでした。実際に、何も見えなかったのです。セット内を移動する際は、ケーブルに躓かないよう、誰かが手をとって歩かねばなりませんでした。彼は軍人を演じた経験が豊富で、「私は恐怖を受け付けない。私は使命を達する男だ。」と、セット内では役になりきっていました。セット内の彼には鬼気迫るものがあり、他の俳優も恐れを感じたと言います。 スティーヴン・ラング(盲目の老人、古い家で犬と暮らしている元軍人、大金を持っている) ディラン・ミネット(アレックス、ロッキーの仲間、父親が警備会社に勤めている) ダニエル・ゾヴァット(マネー、ロッキーの仲間で恋人) 1千万ドルの予算で製作された本作の興行収入は、全世界で約1億6千万ドルにも上りました。これまでの作品の興行収入と比べると、カルトと言われたサム・ライミ監督のホラーの系譜を踏みながら、アルバレス監督は自らの才能を開花、より幅広い層に受け入れらる作品に仕上げていることがわかります。 アルバレス監督による「死霊のはらわた」のリメイク/リブートの興行収入
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【撮影地(グーグルマップ)】
「ドント・ブリーズ」のDVD(楽天市場) 【関連作品】 フェデ・アルバレス監督作品のDVD(楽天市場) 「死霊のはらわた」(2013年) オマージュを捧げた作品(楽天市場) 「クジョー」(1983年)・・・北米版、リージョン1、日本語なし 「羊たちの沈黙」(1991年) サム・ライミ監督「死霊のはらわた」三部作のDVD(楽天市場) 「死霊のはらわた」(1981年) 「死霊のはらわたII」(1987年) 「キャプテン・スーパーマーケット(死霊のはらわたIII)」(1993年) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2017年04月28日 05時00分06秒
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