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カテゴリ:映画
「ベイビー・ドライバー」(原題:Baby Driver)は、2017年公開のアメリカのクライム・アクション&コメディ・ドラマ映画です。エドガー・ライト監督、アンセル・エルゴート、ケヴィン・スペイシー、リリー・ジェームズ、ジェイミー・フォックス、ジョン・ハムら出演で、音楽を聴くことによって天才的なドライビング・テクニックを発揮する銀行強盗組織の逃し屋として活躍するドライバーを描いた作品です。 「ベイビー・ドライバー」のDVD(楽天市場) 【スタッフ・キャスト】 監督:エドガー・ライト 脚本:エドガー・ライト 出演:アンセル・エルゴート(ベイビー、音楽によって天才的な技量を発揮するドライバー) リリー・ジェームズ(デボラ、ウェイトレス、ベイビーと惹かれあう) ケヴィン・スペイシー(ドク、窃盗組織の元締め、ベイビーに半ば強引に仕事をさせる) ジョン・ハム(バディ、銀行強盗チームの一員、長身で落ち着いたインテリ風の男) エイザ・ゴンザレス(ダーリン、銀行強盗チームの一員、バディの恋人、メキシコ女性 ) ジェイミー・フォックス(バッツ、銀行強盗チームの一員、すぐに殺す凶暴な男) ほか 【あらすじ】
【レビュー・解説】 精選されたサウンドトラックを原動力に、冒頭から観客を惹き込むカーアクション、テンポよくスリリングに構成された脚本、ポスト・モダン・ミュージカルを感じさせる音楽と一体になった演出と、エドガー・ライト監督の確かな才能を感じさせるスタイリシュなクライム・アクション&コメディ・ドラマです。 スタイリシュなクライム・アクション&コメディ・ドラマ 音楽にこだわった質の高いアクション・コメディ 「ショーン・オブ・ザ・デッド」(2004年)、「ホット・ファズ 」(2007年)、「ワールズ・エンド」(2013年)のスリー・フレーバー・コルネット三部作などで有名なエドガー・ライト監督ですが、これまでサイモン・ペグなどと共同で脚本を書くことが多かったのに対して、本作は単独で書いた脚本を監督した、よりエドガー・ライトらしさが滲み出た、彼のこだわりと才能が感じられる質の高い作品です。
これまでの彼の作品に比べて、本作には
自分で作品全体のトーンをコントロールし、日々の撮影現場できちんと保っていくことが重要だと思っています。映画を撮影する前に作品のあるべき姿は見えているので、アクションのリアリティ、音楽のチョイス、キャラクターがどんなリアクションをするのか、演技の大・小など、自分のイメージを、スタッフとコミュニケーションを取りながら伝えていきます。(エドガー・ライト監督) 音楽が重要な鍵 エドガー・ライト監督は、1995年、21歳の時に、ジョン・スペンサー・ブルース・エクスプロージョンの「ベルボトム」を聞いて、「これはカーチェイスにぴったりだ、映画に使ったら最高だ」とい、本作を構想し始めました。本作のオープニング・シーンに流れるのはまさにこの曲で、さらに2002年に彼が監督したミント・ロワイヤルのミュージックビデオ「Blue Song」が、このオープニング・シーンの原型になっています。実に20年以上の時間をかけてじっくりと制作された作品と言えます。 最初から観客を掴みたいという思いがありました。音楽をメインにして、ほとんどセリフは無く、これから見る映画の方向性を示しています。映画のオープニングは、観客に呪文や魔法をかける役割が重要です。「ベルボトムズ」(ジョン・スペンサー・ブルース・エクスプロージョン)や、その後の「ハーレム・シャッフル」(ボブ&アール)のシークエンスは、そんな効果を狙っています。(エドガー・ライト監督) 2007年に本作の脚本に着手した時、本作で使用する10曲が既にライト監督の頭の中にあり、映画が完成する時には30曲になっていたという本作のプレイリストは、音楽好きのエドガー・ライト監督によって精選に精選を重ねたものです。 『ベイビー・ドライバー』について言えば、全ての楽曲が、物語の中で、それぞれのシーンと合致した形で存在していること。また、全てのシーンにおいて、きちんとした理由があってその曲を使用していること。これが、この映画を撮っていて自分でも気に入っている部分の一つです。(エドガー・ライト監督) 世界が音楽を演ずる 「マトリックス」三部作などで知られるボブ・ポープが本作の撮影監督を務めていますが、「通りで歌って踊るわけではないが、世界が音楽を演ずるポスト・モダーン・ミュージカルのようなものだ」と本作を評しています。これは「ハーレム・シャッフル」(ボブ&アール)が流れるオープニング・クレジットのシーンに象徴的に見られます。主人公のベイビーの動きが音楽と完全にシンクロしているだけでなく、歌詞の一部を背景に紛れこませるという凝りようです。 撮影前のテストの段階から、音楽を現場でかけて撮影しました。セリフがないシーンは大音量で音楽をかけ、主人公ベイビーだけが楽曲を聴いているというシーンは(主役の)アンセル・エルゴート自身がヘッドホンで楽曲を聴いて撮影しています。また、すべての登場人物が楽曲に反応しているシーンでは、皆にイヤーウィックを使用して撮りました。シーンによって手法は違いますが、全編音楽をかけながらの撮影。ここで大きなキーとなるのは、出来上がった作品で流れる音楽をキャストも実際に撮影で聴いているということです。(エドガー・ライト監督)さらに、キャスティングのオーディションの際には、脚本と一緒にプレイリストが送付され、俳優は音楽を聞きながら脚本を読むことが要請されたと言います。 カーアクションへの挑戦 本作はエドガー・ライト監督にとって初めてのカーアクション映画ですが、ほとんどがCGではなく、実写で撮影されており、本作の最大の魅力にカーアクションを挙げる人がいるほどの完成度の高さです。 なぜ今回なるべく物理的なアクションにこだわったかというと、リアリズムを追求するためです。作るほうも見る方も、実際にリアルでやっている方がワクワクしますから。実は観客というのは、CGに対する理解がなくても、それがリアルであるか、そうではないかが、見ていてわかるものなんです。だからCGを全く知らない人が見ても、本当にやっていると、「リアルだ」と思ってもらえます。それから、僕自身がカーアクションを作るにあたって、道路でやらずCGでやるというのは奇妙な感じがするので、実際にやってみたかったというのもあります。(エドガー・ライト監督) かつて銀行強盗を働き、服役した経験のある人をテクニカル・コンサルタントに迎えているライト監督は、逃走者のドライバー(逃し屋)はレアで見つかりやすい高級車やマッスルカー、ヴィンテージのスポーツカーなどは絶対に使わず、通りの流れに溶け込めるような平凡な車を盗んで使っていること知っており、本作ではアメリカで最も盗まれているトヨタ・カローラを使用する予定でした。しかし、スタジオから「もうちょっとセクシーなクルマを入れられないの?」と注文が入り、コンセプトに反すると抵抗しながらも、カースタントのチームのアドバイスでスバルのインプレッサWRXに変えました。彼はこれを逆手にとり、銀行強盗の映画をスタイリッシュなコメディにしたような形でうまくまとめるだけでなく、スバルの外観色を赤にしグレーなアトランタは街で目立つようにコントラストをつけています。このあたりの柔軟で器用な対応は、まさにライト監督の力量を示すものではないかと思います。 Subaru Impreza WRX(楽天市場) 撮影には2006年モデルの赤が使用されている。 いたる所に埋め込まれた細やかな隠し技 ライト監督は、本作にたくさんの「イースター・エッグ」を仕込んだと語っています。「イースター・エッグ」とは復活祭の際に装飾した卵をあちこちに隠して子供たちに捜させる遊びですが、彼は映画の各所になかなか気づかないような隠し技を忍び込ませています。詳細は動画クリップ(YouTube)の「各所に埋め込まれた隠し技」を参照いただければと思いますが、一例を挙げると、 <ネタバレ> 下見に行った郵便局の窓口の女性のセリフに「苦労は嫌だけど、雨の後には虹が出る」というものがありますが、これが伏線となりエンディングのシーンに虹が出ているという類いのものです。エンディングは仮出所するベイビーをデボラが待ち受けているというシーンですが、実はこのシーン、現実なのか幻想なのか、わからないように撮られています。無理強いされたとは言え、ベイビーは犯罪に加担したわけですから、安易にハッピーエンドにして良いものかどうか、解釈は観客次第という配慮が感じられます。因みに、ベイビーを演じたアンセル・エルゴートの解釈は幻想、デボラを演じたリリー・ジェームズの解釈は現実だそうです。 <ネタバレ終わり> アンセル・エルゴート(ベイビー、音楽によって天才的な技量を発揮するドライバー) リリー・ジェームズ(デボラ、ウェイトレス、ベイビーと惹かれあう) ケヴィン・スペイシー(ドク、窃盗組織の元締め、ベイビーに半ば強引に仕事をさせる) ジョン・ハム(右、バディ、銀行強盗チームの一員、長身で落ち着いたインテリ風の男) エイザ・ゴンザレス(左、ダーリン、銀行強盗チームの一員、バディの恋人、メキシコ女性 ) ジェイミー・フォックス(バッツ、銀行強盗チームの一員、すぐに殺す凶暴な男) 【サウンドトラック】 「ベイビー・ドライバー」のサウンドトラック(楽天市場)
【動画クリップ(YouTube)】
【撮影地(グーグルマップ)】
「ベイビー・ドライバー」のDVD(楽天市場) 【関連作品】 エドガー・ライト監督・脚本作品のDVD(楽天市場) 「ショーン・オブ・ザ・デッド」(2004年) 「ホットファズ -俺たちスーパーポリスメン!-」(2007年) 「スコット・ピルグリム VS. 邪悪な元カレ軍団」:(2010年):監督・共同脚本 「ワールズ・エンド 酔っぱらいが世界を救う!」(2013年) アンセル・エルゴート出演作品のDVD(楽天市場) 「きっと、星のせいじゃない。」(2014年) リリー・ジェイムス出演作品のDVD(楽天市場) 「シンデレラ」(2015年) 「ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男」(2017年):輸入盤、リージョン1,日本語なし お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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2018年03月09日 05時00分08秒
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