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「ワンダーウーマン」(原題:Wonder Woman)は、2017年公開のアメリカのスーパーヒーローSFアクション映画です。DCコミックスのアメコミ「ワンダーウーマン」の実写映画化作品で、アメコミ映画初の女性監督パティ・ジェンキンスによる演出、元ミス・イスラエルのガル・ガドット、「スター・トレック」のクリス・パインら出演で、ワンダーウーマンが仲間とともに第一次世界大戦を戦い、ひとりの戦士として成長していく姿を描いています。
「ワンダーウーマン」のDVD(楽天市場) 【スタッフ・キャスト】 監督:パティ・ジェンキンス 脚本:アラン・ハインバーグ 原案:ザック・スナイダー/アラン・ハインバーグ/ジェイソン・フュークス 原作:DCコミックス 出演:ガル・ガドット(ダイアナ/ワンダーウーマン、アマゾン族王女、身体能力高い) リリー・アスペル(8歳のダイアナ/ワンダーウーマン) エミリー・キャリー(12歳時のダイアナ/ワンダーウーマン) クリス・パイン(スティーブ・トレバー、アメリカのパイロット、連合国スパイ) ロビン・ライト(アンティオペ、ダイアナの叔母、アマゾン族の将軍) ダニー・ヒューストン(エーリヒ・ルーデンドルフ総監、ドイツ軍の独裁的総監) デヴィッド・シューリス(パトリック・モーガン卿、イギリスの政治家) コニー・ニールセン(ヒッポリタ女王、ダイアナの母、アンティオペの姉) エレナ・アナヤ(イザベル・マル博士/ ドクター・ポイズン、毒ガスを開発する) ルーシー・デイヴィス(エッタ・キャンディ、スティーブ・トレバーの秘書) サイード・タグマウイ(サミーア、フランス領モロッコの諜報員) ユエン・ブレムナー(チャーリー、スコットランド人の狙撃手) ユージーン・ブレイブ・ロック(酋長、アメリカ先住民、物資を横流しする) リーサ・ローヴェン・コングスリ(メナリッペ、アンティオペの副官) ほか 【あらすじ】
【レビュー・解説】 タフで強いだけではなく、純粋で優しく、人間的で可愛いらしい要素をあわせ持つアマゾン戦士が活躍、アメリカで「アナ雪」を越える興行成績を記録した、理屈なしに楽しめる本格的なアメコミ・スーパーヒロイン映画です。 仲間と記念撮影するワンダーウーマン(中央) アメコミ映画トップクラス、「アナ雪」超えの興行成績 女性が監督した初の本格的実写アクション映画ですが、アメコミ・スーパーヒーロー映画で米国歴代6位という素晴らしい興行成績を残した作品です。
フェミニズムの力みがない、シンプルで洒脱な構成 「アナと雪の女王」で最も驚いたのは、それまでお姫様アニメに登場する白馬に乗った王子様のイメージを徹底的に破壊したことでした。姉妹愛を描き、愛の本質は愛される事ではなく、愛する事にあることを示唆、何ものにも束縛されずに自分らしく生きる女性を礼賛する素晴らしい作品ですが、恐らくディズニーは衰退の一途を辿るかつての看板商品のお姫様アニメと明確に決別する為に、白馬の王子様のイメージを徹底的に破壊するという攻撃的なアプローチをとったのではないかと思われます。いずれにせよ、こうしたフェミニズムのメッセージがアニメを通して世界中の子供達に一斉に届けられることに、一種、感慨深いものを感じました。 一方、本作は男性が主人公の一線級のスーパーヒーロー映画と堂々と渡り合う、初めてのスーパーヒロイン映画です。「スーパーマン」(1978年)から数えて40年目にして初めてこの様な作品が登場したことには、感慨深いものがあります。女性のスーパーヒーローが主人公ですが、
(フェミニスト的なキャラクターの物語をエンタメ映画として仕上げるのは)実は、簡単じゃないことだと思っていたのですが、思いのほか難しくなかったんです。なぜならダイアナというキャラクターが、とても自信家で、闘う技術にすぐれた人物だったからです。映画には「ここは女の出番じゃない」という場面もありますが、彼女は、その壁を乗り越えるために男と競い合ったりしません。彼女自身が迷いなく突き進んでいくので、それがエンタテインメントしての面白さとワンダーウーマンとしての強さにつながっていったのです。私があえて特別なレクチャーをしなくても、彼女自身の存在が、女性解放やフェミニズムを物語っていたんです。 女性監督らしいパワフルな内面描写 フェミニズムに関しては自然体のジェンキンス監督ですが、むしろ女性監督らしさを感じたのは、彼女がこだわったというダイアナ/ワンダーウーマンが前線の緩衝地帯を突っ切るシーンです(動画クリップ(YouTube)の項を参照)。このシーンは No Man's Land (どの男のものでもない土地)を、Wonder Woman(素敵な女性)が突き進むという、言葉の遊びにもなっていますが、実は当初、このシーンが映画の制作チームに若干の混乱を引き起こしました。悪役と戦うことのないこのシーンを、如何にアクション・シーンとして成立させるか、チームが理解出来なかったのです。ジェンキンス監督は、このシーンは重要な劇的瞬間で、アクション・シーンと言うよりもダイアナの自己肯定感と自己解決を強調するシーンだといいます。使命感に目覚めたダイアナがワンダーウーマンに変化していく精神の高揚を見事に表現しているわけですが、主観を客観の世界で描写する、如何にも女性らしい表現ではないかと思います。男性的な視点からは非論理的に見えるかも知れませんが、女性がメイクをし、勝負服を着て、颯爽と歩くことで精神が上がっていくのにも似ています。芸術が論理的でなければならない法はなく、感動的であればそれでいいわけで、こうした女性的感性を活かしたアメコミ映画が増え、多様な楽しみ方が実現するのは非常に良いことではないかと思います。 ワンダーウーマン フィギュア(楽天市場) ワンダーウーマンは、むき出しの肩と腕のブレスレット、引き締まった足と踵の高い編み上げ靴でデザインされている。「女性として、ワンダーウーマンには戦って欲しいだけではなく、同時に見栄えして欲しいと思う。私の好みで言えば、これは彼女の足がとても長いことを意味する。」(パティ・ジェンキンス監督) 意外に伸びなかった日本の興行成績 フェミニズムはさておいても、本作はスーパーヒロインが活躍する単純に楽しく面白い作品で、アメリカではアナ雪を越える興行成績を記録したわけですが、日本では意外に興行成績が伸びませんでした。
その理由は恐らく、
といったことではないかと思われます。作品自体が十分に楽しめるものであり、またアメコミ映画にも女性的な感性を期待したい私としては、日本の興行成績がちょっと残念でした。 「ワンダーウーマン」と「アナと雪の女王」のポスター ディズニー・アニメという強力なブランドに対してワンダーウーマンというキャラターの認知度が低く、マイナーなアメコミ映画と捉えられたであろうこと、コスチュームやキャラクターのデザインが日本の女性や子供たちの好みではなかったであろうことが、日本の興行成績が意外に伸びなかった理由と考えられる。 ガル・ガドット(ダイアナ/ワンダーウーマン、アマゾン族の王女、高い身体能力を有する) ガル・ガドット(1985年〜)は、イスラエル出身のモデル・女優。18歳の時から2年間、イスラエル国防軍で戦闘トレーナーの職務に就く。2004年度のミス・イスラエルに選出される。2007年にテレビドラマにデビュー、「ワイルド・スピード MAX」(2009年)で映画デビューする。「ワイルド・スピード MEGA MAX」(2011年)などに出演、本作で初主演を務める。 クリス・パイン(スティーブ・トレバー、アメリカのパイロット、連合国側のスパイ) クリス・パイン(1980年〜)は、ロサンゼルス出身のアメリカの俳優。両親、母方の祖母が俳優。サンフランシスコのアメリカン・コンサーバトリー・シアターで演技を学び、2003年にテレビドラマ「ER緊急救命室」でデビュー、「プリティ・プリンセス2/ロイヤル・ウェディング」(2004年)で映画デビュー。「スター・トレック」(2009年)、「アンストッパブル」(2010年)、「スター・トレック イントゥ・ダークネス」(2013年)、「死の谷間」(2015年)、「最後の追跡」(2016年)、「スター・トレック BEYOND」(2016年)などに出演している。 ロビン・ライト(アンティオペ、ダイアナの叔母、ダイアナを訓練するアマゾン族の将軍) ロビン・ライト(1966年〜)は、ダラス出身のアメリカの女優。14歳からモデルとしてパリや日本で活躍、高校卒業後に女優を志す。1984年にテレビ・デビュー、エミー賞にノミネートされるようになる。「プリンセス・ブライド・ストーリー」(1987年)で映画デビュー、「消されたヘッドライン」(2009年)、「マネーボール」(2011年)、「ドラゴン・タトゥーの女」(2011年)、「誰よりも狙われた男」(2014年)、「ブレードランナー 2049」(2017年)などの出演している。 ダニー・ヒューストン(エーリヒ・ルーデンドルフ総監、ドイツ軍の独裁的な総監) ダニー・ヒューストン(1962年〜 )は、アメリカの俳優。父親は映画監督のジョン・ヒューストン、アンジェリカ・ヒューストンは異母姉、祖父は俳優のウォルター・ヒューストン。テレビ映画などで監督を務めるが、「リービング・ラスベガス」(1995年)で俳優に転身、「21グラム」(2003年)、「アビエイター」(2004年)、「ナイロビの蜂」(2005年)、「プロポジション -血の誓約-」(2005年)、「トゥモロー・ワールド」(2006年)、「ゲーム・ナイト」(2018年)などに出演している。 デヴィッド・シューリス(パトリック・モーガン卿、イギリスの政治家、スティーブを支援) デヴィッド・シューリス(1963年3月20日〜)は、ブラックプール出身のイギリスの俳優。ロンドンのギルドホール音楽演劇学校で学び、1985年にテレビ、1987年に映画デビュー、「ネイキッド 快感に満ちた苦痛」(1993年)でカンヌ国際映画祭男優賞などを受賞。「ビッグ・リボウスキ」(1998年)、「ハリー・ポッターとアズカバンの囚人」(2004年)、「ハリーポッターと謎のプリンス」(2009年)、「ハリー・ポッターと死の秘宝」(2010-2011年)、「アノマリサ」(2015年)、「マクベス」(2015年)などに出演している。 コニー・ニールセン(右、ヒッポリタ女王、ダイアナの母、アンティオペの姉) コニー・ニールセン(1965年〜)は、コペンハーゲン出身のデンマークの女優。デンマーク語・英語・フランス語・ドイツ語・イタリア語・スウェーデン語の6か国語に堪能。15歳でテレビ・舞台にデビュー、18歳でパリに移り、モデルとしてもキャリアを重ねる。1984年に映画デビュー、「ストーカー」(2002年)、「ある愛の風景」(2004年)などに出演している。 エレナ・アナヤ(イザベル・マル博士/ ドクター・ポイズン、新型の毒ガスのを開発する) エレナ・アナヤ(1975年〜)は、パレンシア出身のスペインの女優。1995年にデビュー、「トーク・トゥ・ハー 」(2002年)、「ジャック・メスリーヌ フランスで社会の敵No.1と呼ばれた男 Part1 ノワール編」(2008年)、「私が、生きる肌」(2011年)などに出演している。 ルーシー・デイヴィス(エッタ・キャンディ、スティーブ・トレバーの秘書) ルーシー・デイヴィス(1973年~ )は、イギリスの女優。「ショーン・オブ・ザ・デッド」(2004年)などに出演している。 サイード・タグマウイ(左、サミーア、フランス領モロッコの諜報員) サイード・タグマウイ(1973年〜 )は、フランスの俳優。モロッコ人の両親のもとに生まれる。「スリー・キングス」(1999年)、「アメリカン・ハッスル」(2013年)などに出演している。 ユエン・ブレムナー(チャーリー、スコットランド人の狙撃手、トラウマを抱えている) ユエン・ブレムナー(1972年〜)は、エディンバラ出身のイギリスの俳優。「ネイキッド」(1993年)、「トレインスポッティング」(1996年)、「MI5: 消された機密ファイル」(2011年)、「スノーピアサー」(2013年)などに出演している。 ユージーン・ブレイブ・ロック(酋長、アメリカ先住民、物資の横流しで前線の兵士に信望) ユージーン・ブレイブ・ロック(1978年)はカナダの俳優、スタントマン。 【サウンドトラック】 「ワンダーウーマン」サウンドトラックCD(楽天市場)
【動画クリップ(YouTube)】 【撮影地(グーグルマップ)】
「ワンダーウーマン」のDVD(楽天市場) 【関連作品】 パティ・ジェンキンス監督作品のDVD(楽天市場) 「モンスター 」(2003年) ガル・ガドット出演作品のDVD(楽天市場) 「ワイルド・スピード MEGA MAX」(2011年) クリス・パイン出演作品のDVD(楽天市場) 「スター・トレック」(2009年) 「アンストッパブル」(2010年) 「スター・トレック イントゥ・ダークネス」(2013年) 「死の谷間」(2015年):輸入盤、リージョン1、日本語なし 「最後の追跡」(2016年) 「スター・トレック BEYOND」(2016年) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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2018年03月25日 05時00分05秒
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