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neko7477
世界・日本・沖縄に関する問題や直面する課題をコラム風にコメントし自由に意見交換のサイトとする。
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その昔、許嫁(いいなずけ)で仲の良い男女が居た。男は時化にも関わらず海に獲物を捕りに出かけた。折しも台風の襲来で海は大荒れになり男の乗った小舟は転覆してしまった。男は潮の流れに任せて渾身の力を振り絞って陸地を目がけて泳いだが、とうとう力が尽きて気を失ってしまった。・・・男の帰りをひたすら待ち続けた女は、悲嘆に暮れる日々が続いた。でも、決して諦めなかった。男の帰りを固く信じて来る日も来る日も待ち続けた。田名部落の裏手の海の上に有る小さな岩盤上に居座り沖を見詰めて男の帰りを待ち続けた。・・・ある晴れた日の明け方、沖の方から陸地目がけて人がやってくる。女は、若しや許嫁の男ではないのかと眼を皿にして近づいて来る人を見続けた。男であった。岩盤上の女は確信した。きっと許嫁の男であるに違いないと・・・。だんだんと近づいて来ると、女は、はっきりと確信した。許嫁の男であった。男は小走りに女に近づき、そして、しかと女を抱きしめた。二人は時間の経つのも忘れ誰憚ることなく涙にくれた。・・・あの男は台風で死んでしまったのだ。幾ら待っても死んだ人が帰って来る訳がない、と男達は、結婚を申しこんだ。女は許嫁の男の帰りを信じて男達の結婚の申し出を全て断った。後の世の人達は、貞操観念の強いその女を称え、女が待ち続けたその小さな岩盤を“無蔵水”<んぞみず>(<無蔵>とは沖縄の放言で<未婚の女>を指す。そこの窪んだ小さな穴の水を飲んでひたすら男を待ち続けた)と名付けた。
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Last updated
2010年01月04日 07時15分38秒
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