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2008.06.23
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カテゴリ:台湾映画

 suika.jpg 20070523145834s.jpg

 いやらしい。それに尽きる。
が、けしてそれだけじゃない。どうしようもないほど、心は純情。
前作とは違った、カラフルで幻想的な、ミュージカル仕立ての恋愛映画。
出逢ってすぐに肌を重ねる、今風の恋愛を前にすれば、このプラトニックさは驚異的。

体と心は別々の場所に存在できる。カンションの心の清さと、体の不純について思うとき、セイヨクなんて、取るに足りないものだと思えてしまう。

極限の水不足が続く台湾。パリから帰国したシャンチーは、時計を買ったカンションと偶然再会した。
当たり前のように一緒に歩き出したふたりには、やっと同じ時間が流れる。
孤独に沈んだ時、ふと思い出す人だった互いが、今ここにいる。恋は動き出した。

肉体など交えないでも居心地の良い場所をみつけて、それでも時に求めては、プラトニックさは守られる。いい関係だった。
けれども、AV男優となったカンションの仕事場が、あろうことかシャンチーの住むマンションの一画であったために、彼の罪悪感は静かに募っていく。

水不足を補うため、人々は西瓜ジュースを飲んでいる。
西瓜は瑞々しくて、フレッシュで、艶かしくて、おそろしくいやらしい小道具だった。
日本のAV 女優が出ているのは、台湾にはさすがに演じてくれる人がいなかったからだろうか。上映に際しても物議を醸したというから。

台詞がそぎ落とされて、時間が刻々とただ流れていく。
心が結ばれるのは簡単でも、体は難しいなんて変わっているけれど、こんな恋愛の有り様があってもいいと思った。
やはりポップさが、ウォン・カーウァイの恋愛モノに似ていて、ミュージカルシーンに新しさはなくても、監督と役者の関係という面においては、他に類を見ないと思う。
役者がここまでやれるのはミンリャン監督だから、そしてこの役者陣がいなければ、良質な本作はきっとなかった。
リー・カンションの魅力はすごい!




監督・脚本  ツァイ・ミンリャン
製作  ブリュノ・ペズリー
出演  チェン・シャンチー  リー・カンション  ルー・イーチン
ヤン・クイメイ  夜桜すもも

(カラー/112分/台湾)







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Last updated  2008.06.23 23:16:48
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