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カテゴリ:台湾映画
いやらしい。それに尽きる。 が、けしてそれだけじゃない。どうしようもないほど、心は純情。 前作とは違った、カラフルで幻想的な、ミュージカル仕立ての恋愛映画。 出逢ってすぐに肌を重ねる、今風の恋愛を前にすれば、このプラトニックさは驚異的。 体と心は別々の場所に存在できる。カンションの心の清さと、体の不純について思うとき、セイヨクなんて、取るに足りないものだと思えてしまう。 極限の水不足が続く台湾。パリから帰国したシャンチーは、時計を買ったカンションと偶然再会した。 当たり前のように一緒に歩き出したふたりには、やっと同じ時間が流れる。 孤独に沈んだ時、ふと思い出す人だった互いが、今ここにいる。恋は動き出した。 肉体など交えないでも居心地の良い場所をみつけて、それでも時に求めては、プラトニックさは守られる。いい関係だった。 けれども、AV男優となったカンションの仕事場が、あろうことかシャンチーの住むマンションの一画であったために、彼の罪悪感は静かに募っていく。 水不足を補うため、人々は西瓜ジュースを飲んでいる。 西瓜は瑞々しくて、フレッシュで、艶かしくて、おそろしくいやらしい小道具だった。 日本のAV 女優が出ているのは、台湾にはさすがに演じてくれる人がいなかったからだろうか。上映に際しても物議を醸したというから。 台詞がそぎ落とされて、時間が刻々とただ流れていく。 心が結ばれるのは簡単でも、体は難しいなんて変わっているけれど、こんな恋愛の有り様があってもいいと思った。 やはりポップさが、ウォン・カーウァイの恋愛モノに似ていて、ミュージカルシーンに新しさはなくても、監督と役者の関係という面においては、他に類を見ないと思う。 役者がここまでやれるのはミンリャン監督だから、そしてこの役者陣がいなければ、良質な本作はきっとなかった。 リー・カンションの魅力はすごい! 監督・脚本 ツァイ・ミンリャン 製作 ブリュノ・ペズリー 出演 チェン・シャンチー リー・カンション ルー・イーチン ヤン・クイメイ 夜桜すもも (カラー/112分/台湾) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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