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2010.05.20
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カテゴリ:フランス映画

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 五十歳を迎えて仕事にも家族にも行き詰まり、人生に疲れているジャン=クロード。結婚を目前にして幸せなはずなのに、どこか満たされないフランソワーズ。ある日、ふたりはタンゴのレッスンで出会い、それぞれの人生は変わりはじめていく――――――


 老いと、結婚。 悩みは違えど、ちょうど同じ人生の岐路に立っている男女の、年齢を越えた愛を描く。 
物語は、バツイチのジャンが老いを実感して、以前から気になる事務所向かいのタンゴ教室に通いはじめる、一大決心をするところからはじまる。そこでフランソワーズと出会うのだ。
一方、結婚式を控えたフランソワーズは、式で踊るためにタンゴを習いにきて、ジャンと出会う。(じつはふたりは彼女が子どもの頃に、面識がある同士)
明るい彼女は、素直にジャンに近づき、自然のことのように惹かれていく。
しかし、彼女が結婚の決まった身であることを知ったジャンは深く傷つき、彼女を避けるようになってしまうのだった・・・・。


長く生きれば生きるほど、自分が傷つかないように臆病になっていくものだけれど、よりによってジャンは、職業柄気持ちを表に出さないことが癖になっていて、そのうえ人付き合いが超苦手。
週末には施設にいる偏屈な父親をイヤイヤ見舞い(でも見捨てられず・・・)、別れた妻に会う気はなく、最低限の繋がりのなかだけで孤独に生きてきた。
そんな彼が、初めて一歩大きく踏み出して手に入れた恋は、大人の純愛だった。

幾度も繰り返される、タンゴの調べは、この映画のために作曲されたのだとか。
ダンスシーンはじっくりと冗長気味に感じるかもしれないが、ラストシーンにきて初めて、それがベストであったのだとわかる、計算された尺なのだった。
ふたりの想いが飽和するのと、ロマンチックな旋律とタンゴ―――。想像していた以上の胸の高鳴りで幕を閉じる。


ジャン=クロードの一家の家族関係はおもしろどころ。一家は父も息子もそのまた息子も、代々、裁判所の執行官。憎まれ役となる職業のせいか、家族の性質か、みんなが滑稽なくらい不器用なのだ。
家族なのに会話はほとんどなく、強がってみたり、本音を隠してみたり。
父親は、毎週会いに来るジャンに、ほんとうは嬉しくて感謝していることを言えない…。執行官の職にも父親にもうんざりしているジャンの息子は、事務所をやめたいことを父に言えない…。
そんなもどかしいほど不器用な彼らの日常に、一筋の光のように差しこんだ、真っ直ぐなフランソワーズという存在がキラキラと輝いて見えた。(演じているアンヌ・コンシニは実際うつくしい!)
これだけは偽りたくない――――そんな強い想いに出会えたジャンは幸せ者でしょう。
そして、彼が変わったことで家族にも変化が訪れて、孤独な父も、内向的な息子も、ほんの少し救われ、幸せに向かっていく余韻がたまらない。


監督はフランスの新鋭、ステファヌ・ブリゼフランス。こちらで長編2作品目。
フランス映画の小品には、短尺でまとまった良作が、ほんとに多い。完成度が高くて、見ごたえあって、ため息がでるのぅ。


------------赤ハート----------


監督/ ステファヌ・ブリゼ
製作/ ミレーナ・ポワロ  ジル・サクト
脚本/ ステファヌ・ブリゼ  ジュリエット・サレ
撮影/ クロード・ガルニエ
音楽/ エドゥアルド・マカロフ  クリストフ・H・ミュラー
出演/ パトリック・シェネ  アンヌ・コンシニ  ジョルジュ・ウィルソン

(カラー/93分)







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Last updated  2010.05.21 16:50:23
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