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行きかふ人も又

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2010.12.17
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カテゴリ:映画
 純粋青年の初恋と、彼が起した奇跡の物語。監督は、本編が初の長編となる青森出身の横浜聡子。
全編とおしパワフルで、そして津軽弁。ゆえに、字幕ありを余儀なくされるでしょう。

 青森で野菜を作りながら一人暮らしをしている青年、水木陽人(松山)。ある日、野菜を売りにいった幼稚園で、東京から来た新任保育士の町子先生(麻生)と出会う。一目で恋に落ちた彼は、彼女の気持ちも考えず、ただひたすら猛烈アタックを開始する。
一方、町子には、事故で死んだ彼氏がいて、彼の吹っ飛んだ首がいまだ見つからない、、という過去の苦悩を抱えていた――。

障害をもった陽人は、単純すぎるほど純真で、町子先生はうんざりと戸惑いを隠せない。ずっとハイテンションのやかましい彼にイライラしてくる頃、ある事件が起こる。
近所の少年と畑に埋まって遊んでいたら、頭から農薬を散布されてしまい、翌日から体調が芳しくないのだ。そのせいでいつもより少し大人しくなった陽人に、町子先生の一言・・・・。

「今のほうがいい」

彼は、「農薬を浴びる=町子先生に好かれる」と信じ、日々納屋にこもっては農薬のシャワーを浴びることとなる。

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子どもみたいに無垢だから、町子先生がほしいとなったら欲しいし、ぜったいに結婚したい。けれども、ひとりで暮らす陽人の生活は危なっかしくいびつ。これが恋をして、もっといびつになってしまう。
壁のスケジュールボードに明日の予定を貼り付けて、たくさんの目覚まし時計をセットして、決められた規則でやっと正しく生活できていた陽人なのに、町子先生のことしか考えられなくなってからは、約束をすっぽかし予定変更ばかり。
しかも、農薬は確実に彼の身体を蝕みつづけていく。

たくさんの人に見守られながら暮らしている陽人の変化に気づいたのは、近くに暮らす祖母や、幼いころから彼を看てきた町のドクターだった。度重なる頭痛と吐き気に襲われて、病院に担ぎ込まれたときには、すでに手遅れで、陽人の心音は停止し夭折してしまうのだ――。

と、こんなところで終わっては、ウルトラミラクルなラブストーリーとはいえない。奇蹟が起こるのはここからだ。
なんと心臓が止まったはずの陽人が生き返る! 脈が止まったままなのに、、!!
ゾンビにも幽霊にもならず、瑞々しい肉体そのままに、家に戻った彼の元には、少しだけ変化が現れる。猛アピールにうんざりしていた町子先生が、彼の家に住み込んで、生ける標本となった彼を毎日丁寧に観察して、助けてくれるようになったのだ。

生前となんら変わりないけれど、食欲だけは消えている。なんにも食べなくなったので便意はないが、でも生きている。普通の会話を交わしながら、山の散歩道を歩くのがふたりの日課で、先生を想う無垢な恋心も健在だ。農薬シャワーだってこっそり続けている。(そのうち町子先生が見つけて驚愕するけど、、)


ありえないことの連続も、幻想と現実を結んだひとつのエピソードで、妙な説得力を放つ。
心音の弱まっていく陽人は、夢のなかで、町子先生の死んだカレシと出会う。首のない、けど洗練された彼。彼は陽人に、自分の履いている靴をくれる。息を吹き返したとき、陽人の足にはちゃんとその靴が光っているのだった。
恋人の見慣れた靴を履いて生還した陽人に、気づいて驚いたのは、当然町子先生だけなのだけれど。

子どものような彼がどんな末路を歩むかは、ごらんになってのお楽しみ。その時は、意外に早く訪れてしまう――。
無垢な愛をたっぷり注いだ町子先生に、ほっくりとした思い出と脳みそを遺し、第二の人生を終えた彼。やかましく思っていたはずなのに、この世からいなくなってしまうと、すごく寂しい。
そしてそんな気持ちにさせるのは、松山ケンイチの演技あってこそだったのかもしれない。
精神に障害のある主人公でなく、破滅的に生きるシャイな男の子、、というほがもっと好きになれたかも。

(カラー/120分)





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Last updated  2016.01.28 15:51:37
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