|
|
|
|
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
|
管理人の運営する 「オニオンヘッドの小部屋」 というHPの中のページの一つです。 よろしければ本体にも寄って下さい オニオン226の日記 [全5件]
幸せってなんだろう・・・そんなつまらないこと考えてしまっている自分に寒気がする。考えても答えの出ないことだらけの世の中で自分は幸福と信じてる。信じないと見えない不安で潰されてしまいそう。自分は幸せなんだろうか。 ある時、君は言った。僕といるだけで「幸せ」だと。僕は君にいった「ありがとう」と。 人それぞれ幸せの形は違う。みんな同じ形ならきっとこんなに悩むことなんか無いのに。腕の中で眠る君の顔を見ながら僕は一人考える。 幸せは与えるものなのか、与えられるものなのか。 人は生まれながら良い人だとか、悪い人だとか、そんなこと考えながら死んでいく幸せものもいるみたい。考えたって無駄と分かっていても考えてしまう。輪廻転生なんて難しい言葉があるけれど、人は同じ場所をぐるぐる廻ってる、同じことにも気づかずに、必死になって廻ってる。知らないほうが幸せってこのことかも。 どっかの国の物語、サルが神様の手の上を必死になって廻ってる。サルはそれが神様の手だと知らずに廻ってる。人はいつまでたってもサルなんだ、なんかホッとした。
日々は過ぎ、今日は2月14日金曜日バレンタインデー、そう女の子からチョコレートという奇跡の産物を授かる一年で一番の楽しみな一日である。その日は朝から体と心を緊張と期待でいっぱいに膨らませて学校に着いた。教室ではどの男子も分かっていても今日は別に何も特別な日ではないように振る舞い、少し顔をにやけさせながらじゃれあっていた。そして放課後思っていたとおり僕は密かに愛しいと思っていた子からチョコレートをいただけたのである。 「絹田君チョコあげるわ、一応手作りやけど味は保証できひんよ」 その時のユミちゃんの笑顔とはにかんだ仕草は閃光となって僕の体を駆け抜けた。 「あ、ありがと」 と、お礼を言って受け取った。 「来月のホワイトデー楽しみにしてるな、絹田君が何をくれるか楽しみやわ。」 ユミちゃんはそういうとまたどこかに走っていった。 それから一ヶ月の間、僕は必死に考えた、何をプレゼントしたらユミちゃんは喜んでくれるだろうと。せっかくユミちゃんがチョコレートをくれたのだからやはり喜んでくれるものでないと。この一ヶ月の間はユミちゃんに喜んでもらうための一ヶ月であったと言っても過言ではなかった。 3月15日月曜日バレンタインデー当日。 とうとうこの日が来てしまった、そしてお返しは流行っていたぬいぐるみを渡すことにした。 僕はいつ渡そうか迷っていた、そして放課後に渡すことに決めて、ユミちゃんを放課後学校の屋上に呼び出した。 「なに?絹田君用事って」 ユミちゃんも何で呼び出されたのか分かっていながらとぼけて僕に聞いてきた。 「あ、あのバレンタインデーのお返しを渡そうと思って。はいこれ。」 僕はおもむろにぬいぐるみの入ったプレゼントの箱をユミちゃんに差し出した。 「ほんまに?めっちゃうれしいわ」 と言ってユミちゃんは受け取った。 「気に入ってもらえるかわかんないけど」 「ううん、うれしい、開けてええの?」 「うん」 ユミちゃんはその場で包装紙から丁寧に箱を取り出し、箱を開けた。 「あ、ウサギのぬいぐるみだ」 とユミちゃんは大きな声をあげた。 その瞬間、僕は心の中で安堵の雄叫びをあげた。 「うち、このウサギめっちゃ欲しかってん、ありがとう」 僕はまさに天にも昇る気持ちでその天使の笑顔を見つめ、そして 「このまま時が止まればいいのに」 僕は心からそう願った。 そして自分には毎日その瞬間を繰り返す権利があることに優越感を抱いた。 人は毎日毎日一歩ずつ前進を繰り返すことを強いられる。しかし強制ではなかったとしたらどうだろうか。人は弱い。その日人生最大の喜びがあったとしたらたった一歩を踏み出すことでさえ恐れてしまうに違いない。 その瞬間が今の自分にとって最大の喜びなのだから。みすみす最大の喜びを逃してまで何が起こるか分からない一歩を踏み出すのは余りに馬鹿げている。 そう考えるに違いない。そして少なくとも僕にはそうだったのだ。 たとえ同じ毎日の繰り返しであっても。 “3月15日月曜日。世間ではそう、ちょうど一ヶ月前の、ある人には甘く、またある人には辛くただただ苦痛の一日、通称バレンタインデー。これに勝利したものだけが、敗者に対して優越感を抱きつつチョコレートや手作りのマフラーをもらったお礼にプレゼントをお返しするという、世の中の不平等を絵に描いたような一日、ホワイトデー。 そしてお返しに今回は何をあげようかと悩まされるのも勝者にとってはうれしい悲鳴である。もちろん僕は言うまでもなく敗者ではない勝者の方である。小さい時から明朗活発で比較的人当たりの良かった僕は毎回のようにチョコをもらっていた。これは毎回もらえるものだとも思っているし、これからもきっともらえるものだと思う“ 「明日はユミちゃんに何をあげようかな、迷うな、だっていつも喜んでくれるんだもん」 人生最高の喜び、それは初恋の相手の最高の笑顔を見た瞬間ではないだろうか。 絹田昭夫 小学5年生 精神年齢53歳。 ただいま青春まっしぐら。 終
その日は友だちと遊ばずに放課後はまっすぐ家に帰った。そして昨日の日記帳のことと今日の納豆のことを考えていた。ハッと僕は家のテレビをつけた。 午後4時、普段なら“バケモン”の時間である。しかし今放送しているのは火曜にやっている“金色のキャッシュフル”通称“キャッシュ”であった。もちろん内容は昨日の通り、恋人を敵に誘拐されるというピンチになったら、ヒーローが某金融機関に借金をして敵にお金を払って許してもらい、決め台詞である 「フハハ、金で買えないものはない!!」 と威張るがそれと引き換えに今日もまたプライドと信頼感というものを失うことに気付かないというエンディングを迎えていた。 僕は昨日と同じ内容であることを確かめた後に、毎日母親が過ぎた日にバツ印をつけているのを思い出しカレンダーの前に走った。 「えっと、今日の日付は・・・1月20日」 目の前のカレンダーの文字が頭の中で繰り返された、そして気づいてしまったのだ・・・今日はノーマイカーデー。 違う。 今日は、いや今日と思っていた一日は昨日とまったく同じ時間が過ぎているのだ。 最初はこんな本は捨ててしまおうと思った。小学5年生にはこの本はただただ“コワイ”ものでしかなかったからだ。しかしその本の肌触りや質感はまるで僕のためにあるように思えて僕は本を手放せなかった。 そうだ、中に何も書き込まなければいいんだ、と子供心に考えた僕はその本を机の中にしまい、今までと同様に本を触るだけということでその本の存在意義を認めてしまった。それが最大の過ちの始まりだったのかもしれない。 それから僕は何か特別なときにだけその日記帳に今日の出来事やうれしかったことのような思春期には誰もが行っているような文章を書き連ねるようになった。 昨日起こった出来事をまるで今日の出来事のように過ごしていったのである。また昨日に容易に戻れるのならば日付を書き直せば過去にも未来にもいけるのではと思ったが、そんなことにはならず、内容をでっち上げて日記を書いてもそれは実行されず、前日を繰り返すだけというのがこの日記帳のルールであった。しかも昨日を繰り返した所で体は成長しないが、精神だけはそのまま成長していくということがわかった。 しかしこの前日を繰り返すというだけでも僕には十分だった。この過去を繰り返す行為は決して褒められるものではなかったとしても、犯罪行為に及ばなかった点は唯一の救いであったのかもしれない。 僕は普通の生徒が毎日毎日同じことの繰り返しのようだと嘆く日々を文字通り全く同じ時間と内容で過ごしていた。 ページ4に続く
家に着くなり、僕は自分の部屋に上がり早速買った本を眺めた。このなんとも言えない肌触りは僕の心を和ませた。 それから一週間僕はその本を肌身離さず持ち歩いた、友だちからはなぜいつもその本を持っているのかと尋ねられたりもしたが僕は適当にごまかして持ち続けた。しかしさすがに学校が始まり本だけを肌身離さずというわけにもいかなくなったのでその本を僕はパパとママが買ってくれた、お気に入りのツートンカラーの手提げ鞄に入れて持ち歩くことにした。その時僕はまだその本の本当の意味を知らなかった。 それからその本に何を書くのか三日間迷いに迷ったあげく、僕はその本にその日起こった出来事や密かに思っていた女の子のことについて書くことにしたのだ。 “1月20日、火曜日。今日、ユミちゃんは給食の納豆を「うちはカンサイ人だから」といって残していた。カンサイ人は納豆を食べないでいいのなら僕も日本を出てカンサイ人になりたいと思った。そしたらユミちゃんともっと仲良くなれるのに。“ 僕はそう書いて本を閉じ、眠ることにした。 次の朝、目覚めると日記帳に書いたはずの文章は消えていた。そのときはたいして驚かず、おそらく寝てしまう直前に恥ずかしくなって消してしまったのだろうと思った。その推理が当たっていることを証明するかのように辺りには数本の鉛筆と消しゴム、そして力いっぱいこすったのであろう残骸が無数に散らばっていた。しかし頭の中にはまるで今日書いたことのようにしっかりと日記の内容は残っていた。 とりあえず僕はいつも通り学校に出かけた。少し早く着いたためか教室には誰もおらず静寂に包まれていた。黒板を見ると昨日の日直が仕事をさぼったと見えて日付が昨日のままだったので今日の日付に直しておいた。みんなが来るまで少し時間があったので僕はこのまま少しイスに座って眠ることにした。 「絹田君おはよう」 後ろで僕を呼ぶ声がして僕は軽い眠りから目が覚めた。ユミちゃんだ。僕はとっさに起き上がって 「おはよう!早いね、もう来たの?」 と返事をした。するとユミちゃんはくすくす笑いながら、 「何言うてんの絹田君、もうみんなきてるやん。まだ寝ボケとんの?」 と言って、辺りを見渡した。 いつのまにか教室はみんなが登校しいつものさわがしい空間へと変わっていた。 給食には納豆が出た。 隣のユミちゃんは納豆をみて。 「げっ、納豆あるやん、最悪や」 と机にうなだれた。 僕がユミちゃんを見ているとユミちゃんはあからさまに顔をしかめながら 「うち納豆食べられへんねん、カンサイ人は納豆食べなくてええねんてオカンも言うてたしな。せやけど育ち盛りのうちにこんな仕打ちはイジメやな」 とかなり不満を口に出していた。しかしそんなことより今日も納豆が出てきたことに僕は不思議に思い隣のユミちゃんに聞いた、 「昨日も給食は納豆だったよね?」 ユミちゃんは変な顔をして 「何言うてんの絹田君、昨日の給食は唐揚げやったやんか。昨日も納豆が出てたら今日も地獄やで。」 と笑いながら言った。僕は狐につままれた気持ちだった。しかしユミちゃんには嘘をついているような様子はなかった。僕は給食も食べるのを忘れて考えていると給食の時間はいつの間にか終わりかけていたので急いでかきこんだ。 パート3に続く
「このまま時が止まればいいのに」 僕こと絹田浩司はその瞬間、心からそう願った。 “3月15日木曜日。世間ではそう、ちょうど一ヶ月前の、ある人には甘く、またある人には辛くただただ苦痛の一日、通称バレンタインデー。これに勝利したものだけが、敗者に対して優越感を抱きつつチョコレートや手作りのマフラーをもらったお礼にプレゼントをお返しするという、世の中の不平等を絵に描いたような一日、ホワイトデー。 この日に限ってはお返しに何をプレゼントしようかと悩まされるのも、勝者にとってはうれしい悲鳴である。もちろん僕は言うまでもなく勝者の部類に入ると思っている。その証拠に小さい時から明朗活発で比較的人当たりの良かった僕は毎回のようにチョコをもらっていた。これは毎回もらえるものだとも思っているし、これからもきっともらえるものだと思う“ 浩司はいつもの空想日記を閉じた。そして毎日のように書き続けている日記帳の表紙を眺めた。 僕が空想日記と呼んでいるこの日記帳は人から見れば十中八九、白い目でみられるような内容を書いたとしても、誰からも攻められることのない聖域であり、幼い頃から唯一心の丈をぶつけることの出来る友であった。 もちろん実際は空想どころか妄想でしかなく、おそらくというよりも確実に実現されることがないであろう、自分の想いを書き込むだけの日記帳であった。そして同時に自分の中の膿を吐き出すことができ、そして飲み込んでくれる存在でもあった。この日記をつけ始めてから一体どれほどの月日が流れたのだろう。 思えばこの日記を手にしたのはちょうど僕が小学5年生の時である。夏休みに遊んでいた友達と別れ、帰る途中に見つけた寂びれた古本屋になぜか吸い込まれるように入ったのがきっかけだった。 いつもなら潰れかけでうす汚く、そして本を読まない自分にとって無用の場所であるこのような店には目もくれず走り過ぎるのだが、なぜかその日はこの店が目に止まり、そして自分を呼んでいるような気がして足を踏み入れたのである。 入った瞬間いままで晴れていた空が急に曇ったのかと思わせるほど店内は暗かった。僕は一通り店内を眺め、やはり自分には無用の場であると感じ、店を出ようとしたその時に一冊の分厚い本が目に入ったのである。 その本は他の本と違いタイトルはなく、心の奥の好奇心をくすぶる温かみのある薄い赤色をしていた。気が付くといつの間にか僕はその本を手に持ち、ボーっと突っ立っていた。その本は見ための分厚さから想像していたのよりずっと軽くそして手になじむ感覚があり何か手放すのが惜しいと、そう思わせる本だった。 そして何より驚いたのは本の中身が何一つ書かれていなかったのである。普段なら本など読まないのだから内容が書いてあろうがなかろうがどうでもよく、さっさと棚にもどして帰ったであろうが不思議と僕はこの本が欲しくなった。そして店員に財布の中から今月分の小遣いを渡し、“今日から当分アイスなしか”と思いながら勘定を済ませ、すぐさま店を後にした。 パート2に続く |一覧| |
|