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家に着くなり、僕は自分の部屋に上がり早速買った本を眺めた。このなんとも言えない肌触りは僕の心を和ませた。
それから一週間僕はその本を肌身離さず持ち歩いた、友だちからはなぜいつもその本を持っているのかと尋ねられたりもしたが僕は適当にごまかして持ち続けた。しかしさすがに学校が始まり本だけを肌身離さずというわけにもいかなくなったのでその本を僕はパパとママが買ってくれた、お気に入りのツートンカラーの手提げ鞄に入れて持ち歩くことにした。その時僕はまだその本の本当の意味を知らなかった。 それからその本に何を書くのか三日間迷いに迷ったあげく、僕はその本にその日起こった出来事や密かに思っていた女の子のことについて書くことにしたのだ。 “1月20日、火曜日。今日、ユミちゃんは給食の納豆を「うちはカンサイ人だから」といって残していた。カンサイ人は納豆を食べないでいいのなら僕も日本を出てカンサイ人になりたいと思った。そしたらユミちゃんともっと仲良くなれるのに。“ 僕はそう書いて本を閉じ、眠ることにした。 次の朝、目覚めると日記帳に書いたはずの文章は消えていた。そのときはたいして驚かず、おそらく寝てしまう直前に恥ずかしくなって消してしまったのだろうと思った。その推理が当たっていることを証明するかのように辺りには数本の鉛筆と消しゴム、そして力いっぱいこすったのであろう残骸が無数に散らばっていた。しかし頭の中にはまるで今日書いたことのようにしっかりと日記の内容は残っていた。 とりあえず僕はいつも通り学校に出かけた。少し早く着いたためか教室には誰もおらず静寂に包まれていた。黒板を見ると昨日の日直が仕事をさぼったと見えて日付が昨日のままだったので今日の日付に直しておいた。みんなが来るまで少し時間があったので僕はこのまま少しイスに座って眠ることにした。 「絹田君おはよう」 後ろで僕を呼ぶ声がして僕は軽い眠りから目が覚めた。ユミちゃんだ。僕はとっさに起き上がって 「おはよう!早いね、もう来たの?」 と返事をした。するとユミちゃんはくすくす笑いながら、 「何言うてんの絹田君、もうみんなきてるやん。まだ寝ボケとんの?」 と言って、辺りを見渡した。 いつのまにか教室はみんなが登校しいつものさわがしい空間へと変わっていた。 給食には納豆が出た。 隣のユミちゃんは納豆をみて。 「げっ、納豆あるやん、最悪や」 と机にうなだれた。 僕がユミちゃんを見ているとユミちゃんはあからさまに顔をしかめながら 「うち納豆食べられへんねん、カンサイ人は納豆食べなくてええねんてオカンも言うてたしな。せやけど育ち盛りのうちにこんな仕打ちはイジメやな」 とかなり不満を口に出していた。しかしそんなことより今日も納豆が出てきたことに僕は不思議に思い隣のユミちゃんに聞いた、 「昨日も給食は納豆だったよね?」 ユミちゃんは変な顔をして 「何言うてんの絹田君、昨日の給食は唐揚げやったやんか。昨日も納豆が出てたら今日も地獄やで。」 と笑いながら言った。僕は狐につままれた気持ちだった。しかしユミちゃんには嘘をついているような様子はなかった。僕は給食も食べるのを忘れて考えていると給食の時間はいつの間にか終わりかけていたので急いでかきこんだ。 パート3に続く │<< 前へ │次へ >> │一覧 │コメントを書く │ 一番上に戻る │ |
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