脳などの神経組織の働きを保つ
神経細胞の細胞膜はDHAを多く含む脂肪を真ん中にはさんだ二重構造をしていているため、細胞膜が柔らかく保たれています。DHAは
脳の神経組織同士の情報伝達に重要な役割を果たしていて、そのメカニズムは神経伝達物質の一つであるグルタミン酸を受け取るレセプターの反応がDHAの存在により上昇する事によります。不足すると乳幼児では脳の発達や視力の向上に影響があるといわれています。また、学習能力や記憶力にもかかわっているとみられ、“健脳食”として注目されています。
N-3系脂肪酸の中でも神経系に対する薬理作用はDHAに特徴的であり、それは血液脳関門あるいは血液網膜関門を通過出来ることに由来すると考えられます。
網膜の機能向上
明るさや色彩を判断する網膜細胞に存在するDHAは脂肪酸中の50%以上にのぼり、脳と同じように神経伝達物質も放出されるので、光の情報伝達がスムーズになります。
DHAの働きは視力よりもむしろ暗い中でもものが見えやすくなるという効果があると考えられています。
血小板の凝集を抑制する
血液中の血小板(血液を固まらせる成分)が凝集するのを抑制したり、血栓を溶解したり、血管を拡張する作用があり、動脈硬化や高血圧を予防、改善し狭心症や心筋梗塞、脳梗塞などを防ぎます。
血中の中性脂肪値、コレステロール値を下げる
脂肪酸を合成するときに働く酵素の活性を抑える作用があります。血液中の中性脂肪の濃度を低下させます。また、肝臓でのコレステロールの生成を抑制することもわかっています。さらに、血液中の悪玉コレステロールを減少させ善玉コレステロールを増やして、動脈硬化や高血圧を改善し、狭心症や心筋梗塞、脳卒中などの血管系の疾患を予防します。
炎症を抑えてアレルギー症状を予防する
炎症の原因となる過剰なアラキドン酸の作用を抑制して、アトピー性皮膚炎や気管支ぜんそく、花粉症などのアレルギー症状を改善します。また、慢性関節炎などの炎症を予防、改善します。
そのメカニズムとして、DHAは細胞膜のリン脂質のアラキドン酸を追い出し、従ってPAFやロイコトリエン産生量が減少し、またリン脂質に結合したDHAはホスホリパーゼA2(PLA2)の基質となりにくい事、本作用機作における抗炎症、抗アレルギー作用はEPAよりも強力であることも推定されている。
アラキドン酸代謝産物であるロイコトリエンB4(LTB4)の過剰生産はアレルギー疾患の引き金となるばかりではなく循環器系疾患にも関与すると言われている。
発がん予防
発癌はプロスタグランジンを主体とするエイコサノイドのバランスが崩れたために生じる場合があり、このエイコサノイドバランスを正常化することにより、癌細胞を抑制できるという考え方があり、DHAの摂取が重要であると言われている。
生理痛の改善
生理痛は、子宮の収縮を起こすプロスタグランジンが出過ぎているのが原因の1つ。
アメリカの研究では、DHAには、プロスタグランジンの生成に必要な酵素の働きを抑える効果があると考えられています。
ダイエット効果
DHAはホルモン感受性リパーゼという中性脂肪を分解する酵素の活性を高めるため、ダイエット効果が期待できます。