1785485 ランダム
 HOME | DIARY | PROFILE 【フォローする】 【ログイン】

しぐれ茶屋おりくの部屋

しぐれ茶屋おりくの部屋

PR

Keyword Search

▼キーワード検索

Profile

しぐれ茶屋おりく

しぐれ茶屋おりく

Calendar

Rakuten Card

Favorite Blog

閻魔と地蔵 New! 柳居子さん

秋月八潮ジャンク 12… New! Aちゃん22さん

お気に入り Sarah-wanさん

花巡り 月の卵1030さん

4月も半ば 杵屋勝晴代さん

Comments

やすじ2004@ Re:目の覚めるようなヤマブキ(04/10) こんにちは!! 春の交通安全運動も実施中…
しぐれ茶屋おりく@ Re[1]:実家の全面リフォーム(04/01) PILOT1752さんへ 独りで膨大な資料を項ご…
PILOT1752@ Re:実家の全面リフォーム(04/01) すばる先生の事、思い出しています。ご指…
しぐれ茶屋おりく@ Re[1]:まぼろしのカフェ「天久」(03/14) 柳居子さんへ コメントありがとう御座いま…
Sarah-wan@ Re:大野初子の人形(03/25) コメントをいただきありがとうございまし…

Freepage List

Headline News

初めまして、極めて色気の無い部屋ですが、皆様のご指導のもと、親しまれるホームに改築致したいと愚考して居ります。





楽天ブログ検索
2024.04.23
XML
カテゴリ:カテゴリ未分類

<本日から幾日かに分けて、昭和44年ころの作
品をご披露させていただきます>


           (一)

 銀杏が黄金の色に輝く公園の青いベンチに、美
枝子はフィアンセと座っていた。

「どうしたんだい?今日はすっかりおとなしいん
だね。何か心配ごとでもあったのかい・・・?」

そう聞かれても、真相を明かす訳にも行かなかっ
た。なるべく相手の眼を避けて、

「女性って、秋にはセンチになるって言うわ。」

「君は戦後の生まれだろう、信じられないよ。ま
あ、いいや。秋の淋しさに浸りなさい、僕は黙っ
ているよ。」


思いやりのある言葉であった。彼の手は彼女の髪
をそっと撫でていた。彼の吸う煙草の煙の中で、
美枝子は目を瞑った。


 実を言えば、今日は、昔勤めていた療養所の友
達から、ひょっこりと手紙が来たのだった。それ
は四日かかって彼女の手許に届いたことが、スタ
ンプから知れた。

永い間、便りを出さなかった詫びの言葉や、柿の
うまいことや、婦長の代わったことなど、ごくあ
りきたりの内容であったが、最後に永井の死んだ
ことが記してあった。

書いた人からすれば、親切心から付け加えたもの
であろうけれど、美枝子にとって、それはかなり
ショックな追伸であった。






お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2024.04.23 08:18:49
コメント(0) | コメントを書く


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! --/--
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x

© Rakuten Group, Inc.