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カテゴリ:医事紛争
記事:毎日新聞社【2007年5月24日】
奈良・妊婦転送死亡:「異常見過ごし死亡」 遺族、大淀町と医師を提訴 奈良県大淀町立大淀病院で昨年8月、同県五條市の高崎実香さん(当時32歳)が分娩(ぶんべん)中に意識不明となり、転送先で脳内出血で死亡した問題で、遺族は23日、病院を経営する大淀町と担当産科医を相手取り、慰謝料など損害賠償を求める訴訟を大阪地裁に起こした。「大淀病院の担当医が脳の異常を見過ごしたことが死亡につながった」と過失責任を主張している。(29面に関連記事) 提訴したのは夫晋輔さん(25)と、転送先で生まれた9カ月の長男奏太(そうた)ちゃん。訴状によると、実香さんは昨年8月7日、出産のため大淀病院に入院。翌8日午前0時ごろ頭痛を訴えた後、突然意識を失った。産科医は頭痛と陣痛から来る失神と説明し、仮眠のため退室。同1時40分ごろ、両腕が硬直するなど脳内出血をうかがわせる症状が表れたが、来室した産科医は子癇(しかん)発作(妊婦が分娩中に起こすけいれん)と誤診して処置をせずに病室を離れ、同4時半ごろまで病室に来なかった。 病院は同2時ごろまでに転送先探しを始め、実香さんは19病院で転送を断られた後、大阪府吹田市の国立循環器病センターに同6時ごろ到着。CT(コンピューター断層撮影)で右脳に大血腫が見つかった。奏太ちゃんは帝王切開で生まれたが、実香さんは8日後に死亡した。 死亡診断書では同センター受診時、実香さんの意識が刺激にまったく反応しないレベルに達していたなどとする記載があり、遺族は「脳内出血の発症は午前0時ごろ」と主張。「これ以降、家族らが再三脳の異常を訴えたのに産科医はCTなどの検査をせず、手術でも回復しないほど脳内出血を進行させた」としている。 大淀病院の原育史(やすひと)院長は「今後、司法の場において(立場を)明らかにしてまいりたいと考えております」とのコメントを出した。【中村敦茂】 はい。m3の掲示板閉鎖騒動のもとになった事件ですね。 head&neckは臨床医に徹したいと思っているので、あんまり社会的なコメントは得意ではありません。・・が、この事件の被告である産科医も同じように臨床の一線で働いていたことを考えると、明日はわが身かと空恐ろしくなります。 この事件はネットでは有名で、医療系のブログを拝見すると、基本的にシステムの問題で、医師個人の責任を問うのは甚だ勘違いもいいところだという意見がほとんどですね。 一方、毎日新聞はそのような意見には聞く耳を持たず、相変わらず原告側の主張に沿った報道を続けていると思われます。 新聞の偏向報道は今に始まったことではありませんが、この事件以来、うちの病院では毎日新聞の取材は原則拒否になりました。 「提訴したのは夫晋輔さん(25)と、転送先で生まれた9カ月の長男奏太(そうた)ちゃん」だそうですが、果たして25歳の若者が担当医の対応を評価できるだけの正しい知識をもっているのか、今の医療崩壊しつつある現場を把握しているのか??いわんや9ヶ月の赤ちゃんが「ママを帰せ」とでもしゃべっているのか?? ひとつの事件を元に、純粋まっすぐ正義感おたくな周囲の人間の思惑と、意地になった弁護側の主張が絡み、マスコミが煽る図式が浮かび上がる気がします。 この事件報道がきっかけで(「事件」そのものではありません。あくまで「報道」です。)奈良の産科医療は完全に崩壊したとのことです。毎日新聞はその責任をとるべきでしょう。現代のようなネット情報化社会では、アンテナさえしっかりと立てていればいくらでも正しい情報は手に入ります。一昔前のように新聞やテレビの報道だけで世論を操作できた時代ではないことをマスコミ各社は認識する必要があります。 正しい社会認識、問題提起をできるのが真の報道機関の姿、プロの記者ではないのですか?新聞、マスコミ各社にもまだプロフェッショナルはいるはずです。 その方たちの魂に期待したいと思うのでした。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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