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テーマ:政治について(19782)
カテゴリ:政治関連
<貸付金・有価証券・政府出資について>
これがある意味、最も意外な存在でした。 400兆円くらいの金融資産を持ってると言われれば、確かに500-800兆の負債があっても大騒ぎすることはない、と思いそうになります。 ただし内容を良く見てみると、その大半を占めるのが貸付金であり、有価証券が続きます。 貸付金の大半は当然ながら公的機関相手であり、その貸付先が公的サービスを行う為に必要な資金を貸し付けているのですから、いわば運転資金貸付というような性質のものかと思われます。 返済がされれば負債にはならないのですが、しかしこの資金を他に転用するという事は、その公的サービスの提供量が削減されるか内容(項目)が削除されるかといった影響が考えられる為、この資金量を単純に債務返済財源と考える事は難しそうです。 貸付金の一定割合を転用可能な資金として考え、実際に利用する事はもちろん可能かも知れません。その為には貸付先の運営状況やサービス提供内容/必要資金量などを詳細に検討する必要がありますが、一般の一個人が精査する事は困難かと思われますので、貸付金は広義の意味での政府内の貸借に過ぎないと考え、債務返済財源にはあたらないとしておきます。 さらに有価証券の内訳を見てみると、地方債や政府関係機関債、特別邦人債券などの、要は政府保証債であって、政府内資産の持ち合いというだけのお話です。貸し方の資産は借り方の負債ですので、これが双方政府内なのであれば上記の貸付金同様に相殺して債務返済財源の資産としては計上しないのが適当かと思われます。(ただし民間の株式や金融債、又は外貨証券等は、債務返済財源としての資産として計上できるでしょう) 政府出資も政府内の貸借で、公的サービスの一環を政府が直接行っていないだけです。これらも削減すれば債務返済財源として考える事ができますが、それが現実的に厳しいのであれば、やはりこれも貸付金同様に返済財源としての資産に計上するのは適当では無いように思われます。 <年金その他の扱いについて> 社会保障基金が扱う年金の預かり資産の扱いも難しいのですが、基本的には『払い戻さなければいけないお金(もしくはその財源の一部)』なので、これも基本的には負債の債務返済に充当できる性質のものではないと考えてよろしいでしょう。 <非常にざっくりとした結論> 諸統計によって算出方法が違ったり、資産-負債=正味資産の中から売却不可能資産を更に引いたり、年金の将来支払い金の扱いをどうするかによって、いわば『どうとでも取れる統計』が国の資産と負債の比較表(バランスシート)だと思われます。 ただし私の取った見地からすれば、資産側に勘定されている項目や金額のほとんどは債務返済に充当できるような性質のものではありません。 従って、負債と資産を比較して見た時に財政は赤字ではないか騒ぐほどでも無いという意見は、説得力を欠いている、というのが私の結論です。負債が資産を大幅に超過し、「問題が無い」と言い切れるレベルには決してありません。 <参考資料> ・平成17年度 年次経済財政報告 ・発生主義バランスシートから捉えた日本政府の財政状況 ・(参考資料:国の貸借対照表(試案)(平成14年版)) ・公的部門の資産・負債のストック・データ(試算) ・社会資本経営に必要なストックデータマネジメント ・平成17年度地方債計画(案)について ・平成17年版(平成15年度決算)地方財政白書 ・平成17年度国債・政府保証債の発行予定額 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2005.08.23 17:43:15
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