スーペル7389のブログ

記念すべき初記事が悪い意味で一世を風靡したヒロインとシナリオについてっていうのもどうなのか。まぁプレイしたゲームは他にも沢山あるのだけど、ちょうど今の時期にプレイしてみたのがこれだからしょうがない。
いくら当時大騒ぎになったとはいえ、さすがに散々意見も出尽くして、良くも悪くも過去のものとなっているであろうこの作品。というかたまきというヒロインかな？

とはいえ、色々考察してみるのは好きなので。悪い意味で（少なくとも良い意味ではないでしょう）エロゲーの幼馴染というジャンルに一石を投じたたまきシナリオについて、何が悪かったのか考えてみたい。

と、まずここでほとんどいないであろう読者に断っておきたいのだけれど、作者は幼馴染といえど特に「処女じゃなきゃダメ」という考え方ではなく、「処女であったほうがそりゃ嬉しいけど、シナリオ次第では別に非処女でも構わない」といったスタンスだ。
つまりこれから書く事は、処女じゃないという時点で受け入れられないという人、あるいは逆に非処女でもべっぴんならいいや、という人にとってはただの駄文なのであしからず。

場合によっては非処女もありだけど、たまき（シナリオ）はどうも好きになれない。そんな感じの考えならば、気が向くなら目を通して行ってもらいたい。






まずは、流れをざっとまとめてみる。
開始間もなくたまきに彼氏発覚。相手は医大生のイケメン。
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遊園地でその彼氏とキスしていたり、公園で愛撫されているのを目撃。
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と、中々ラブラブなはずなのに、なぜか主人公とも遊びに行き、だんだん頻度が増える。
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幼馴染とは言えほかの男とあんまり頻繁に遊ぶので、彼氏とうまくいかなくなってくる
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彼氏ともめて別れを告げられた場面に鉢合わせ（というかなぜラブホ前　笑）
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まさか別れる前なのにもう一回シたの！？とプレイヤーが気を揉む（笑）
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振られてたまきしばらく凹んで口もきかなくなり、復活したら以前よりやたらこっちを意識してる
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割とあっさりくっついて、割とあっさり好きと言ってきて、その後ラブラブ



とまぁ、こんな感じ。

やり終えた第一印象としては・・・たまき押しで購入した人にはどうあがいても地雷ですよ、これは。むしろネットで叩かれるのを覚悟の上で出したんじゃないかなぁ、と。笑

流れを踏まえるに、多分ライターさんが書きたかったのは、姉弟のような関係だった二人が、たまきが彼氏を作って恋愛を始めたのをきっかけに、だんだんお互いを異性として意識して、最後には略奪愛でラブラブに・・・という感じのシナリオだったのかな？

非処女であることも、言いようもなく残念ではありますが、そこまでびっくりしません。イベントを見ていくと、あくまで非処女のヒロインとして攻略してくださいね、そう言ってきているようなもんです。彼氏との事後ラブホから出てくるシーンというのは純愛モノとしてどうなのかとも思いますが。（笑）

とはいえ、純愛だからといって経験ありのヒロインがそこまで珍しいわけでもありません。では何が問題なのかというと。

1.ライターが下手すぎる。たまきの心理をもっと掘り下げるべき
　幼馴染ヒロインをほぼ寝取られ同然（あくまで個人的な所感ですが、わざわざ彼氏とのニャンニャンCGまで用意しているわけですから）の展開で非処女にした以上、このシナリオの一番重要な部分は、たまきがいかにして主人公を意識し始め、彼氏との間でどんな葛藤があって、どういうふうに好きになっていったのか、そういういかにも恋愛モノ的な過程なわけです。

にもかかわらず、そういったたまき視点からの描写が少なすぎる。ゲームの性質の問題と言えばそれまでですが。単に主人公視点のイベントから見ていると、例えば医大生の彼氏に振られたあと2週間ほと浪馬とは口も聞かなかったわけですが、復活したと思ったら、いきなり普通の「主人公に惚れてる幼馴染キャラ」みたいになっています。そのあとの展開もそんなもんです。今更・・・？じゃあなんでわざわざ彼氏持ち設定に（笑）。

せめてその２週間の間どんな葛藤を経て、そういう感情を自覚したのかとか書いてくれたらね。ただでさえ別れ際に彼氏に「そういうつもりじゃなくて・・・」と優柔不断なことを言っていたのに加えて、その2週間をまるまる省いたせいで、「彼氏にポイされて傷ついて、でも立ち直ったら今度は優しくしてくれた主人公に寄ってきた」という感じになってしまった。

例の医大生の彼氏は遊び人風とは言え特に悪人というわけでもなく、むしろ見方によっては裏切られた方であるというのも、プレイヤーとしては感情の持って行きどころがありませんね。


心理描写が足りないせいで、きわどいセリフも単にイライラする原因に。たとえば初エッチの時に「初めてじゃなくてごめんね。でもあの人（医大生）のことは本当に好きだったから」というセリフ。
個人的な推測ですが、これはライターさんとしては、たまきはビッチじゃなく、ちゃんと本当に好きな人だから抱かれるんだよという純情さを強調したかったんじゃないかな～。

が、そこに至るまでのシナリオでムカついている人たちからすれば、初めての夜に別の男のことを持ち出す嫌な女、と受け取られて当たり前でしょう。実際たまき押しではない作者もこれには流石にイラッときました。笑


同様に「あの人より気持ちいい」とか、「セックスの最中ちょっとわがまま」とか、主人公とのエッチに対してこなれている女風に感想を言うのも、意図はどうあれ、元カレに何回も抱かれていたという事実を再強調する結果になっています。こういうのはたとえ現実世界の話であっても怒りを買うような行動ですから、憤慨していた人たちの気持ちが結構理解できました。笑


もしちゃんとたまきの心の変化・葛藤をじっくりと描写して、たとえば「あの人はただの憧れで、本当はずっと昔から浪馬クンが好きだったんだ」とか（これはあくまで作者の好みですが　笑）。


そこまではいかずとも、せめて悩んで悩んで「私は浪馬クンの方が好きなんだ」と気づいたとかそういう、明確に主人公が好きであるという結論を出す過程を描けていれば、まだしも純愛ものとして成り立ったろうに。


2週間の間にどういうふうに気持ちが決着したのかを省いてしまったせいで、そもそも「浪馬のことが好き」という思いの部分がまるで伝わってこない。ある程度何があったのか読み取れるとはいえ、基本的にはただ2人の男のあいだでフラフラして、振られてしばらく凹んだら浪馬を好きな素振りを見せるようになっただけ。

こうなるともう何をやっても「非処女な上に割とあっさり男を乗り換えた女」というイメージは崩せません。






2.浪馬が冷静すぎる
　ちょくちょく遊びに行くようになってから、デート後や途中に彼氏の車でどこかへ消えていったり、前述のように付き合い始めてからもしばらくはエッチ中に元カレと比べるようなことを言い出したりなど、医大生のカレ優遇の行動が多い。

にもかかわらず、主人公は終始「別にいいけどよ、何か困ったら言えよ」という程度の態度。
医大生と経験済みであることに対しても、明確な描写としては最初のエッチで少し嫉妬したらもうほぼ終わりです（前述の「本当に好きだった」発言にもかかわらず）。
もっと何かしら行動するか、せめて心の中で思えよ、と（笑）。そりゃ略奪する立場なのに嫉妬するなんて身勝手な話ですが、結局くっつくんだったら男として入れるべきだろと。

　なので、もう諸々のイライラがたまっているユーザーとしては、分身たる主人公がこうも冷静で自分の感情と逆を行っていると、どこにも感情を持っていけない。それがますます嫌悪感を助長していますね。それこそもっと早い段階で主人公が嫉妬して彼氏から寝取るぐらいの勢いで行動して、「積極的にアプローチされてついに浪馬への好意を自覚した」位の展開ならうまくまとまっただろうに、ライターのドバカっ！笑

その後びっくりするほどラブラブになって、さらに小さい頃にしたという「指輪をプレゼントする」といういかにも幼馴染ルートでありそうな展開出てきたわけですが、時すでに遅し。前述のセリフや、たまきの主人公への思いの深さを文章でユーザーに伝えるのに失敗した以上、あらためてラブラブ幼馴染な展開に持っていってもむしろ嫌味です。




とまぁ、たまきの行動はもとより、浪馬の心理・行動に関しても、とにかくシナリオの出来が悪すぎます。
ライターがどうしようもなく中途半端なシナリオを書いたせいで、たまきシナリオは

純愛として：
　彼氏持ちの非処女。そこを受け入れても、なぜ浪馬を好きになっていったのかを明確に描かなかったせいで、主人公への思いもまるで伝わってこない。にもかかわらずいきなりラブラブ。これではプレイヤーのイライラモヤモヤも仕方がない。論外。

寝取りとして：
　次善の策。まぁ客観的に見たら略奪愛なわけで、プラス「たまきは決して尻軽ではなく、主人公と遊んでいたのはあくまで元から近しい関係だったから」と冷静に考えれば、２りの間で揺れ動いて2股かけてるみたいになったのはこの際しょうがない。
とはいえ、浪馬が自分からたまきを略奪しようという意図で動くことは一度もなく、たまきも親しくなってはいくが、くっつくまでは浪馬への好意を表に出すことはしないので、正直好きな女を主人公の魅力で奪い取ったという達成感はまるでない。ダメ。

寝取られとして：
　最終手段（笑）。作者は正直嫌いなジャンルだが、最悪背徳モノとして楽しもうと思ってみても、それらしいシーンはラブホから出てきて気まずくなる、キス、愛撫と、せいぜいがただムカつくだけでこれっぽっちもエロく無いので、ダメ。

とまぁ、どういう観点から評価してもモヤモヤして終わるだけのものとなってしまった。




彼氏ありの非処女でもやりようによっては逆に萌えポイントや伏線に出来るのに（というか純愛ものなんだからそうしないといけない）、まさかことごとくたまきというヒロインの魅力を殺すような使い方とは（汗）。メーカーのエルフも冒険するのはいいけど、ちゃんと綺麗に収拾つけないとただの自爆なのになぁ（汗）。

まぁ多くのユーザーから要望があったのにシナリオを修正する意思がない以上、受け入れるか諦めるしかなさそうですね。ちなみに作者は前評判を知っていたので、もうそういうもんだと諦めたら、たまきシナリオは割と見てておかしくて笑えました。笑

不幸中の幸いというか、同じくメイン格のヒロインである七瀬ルートは秀逸な純愛シナリオだし、ほかのヒロインのシナリオも総じてなかなかの出来なので、たまきシナリオがあまりに地雷な事以外、全体的には悪くない。良作というにはやはりたまきが地雷すぎるが。

これでたまきルートも素直に甘々の純愛にしておけば傑作とはいかずとも良作と呼ばれていただろうに、残念すぎる。

ともあれそれ以外、特に七瀬ルートはとても同じゲームとは思えないくらいにいい感じの恋愛をしている（しかも七瀬はしっかり処女　笑）ので、もし純愛ものとしてやってみようという人はたまき以外を頑張って攻略するといいでしょう。笑