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メキシカン・アメリカンな暮らし

メキシカン・アメリカンな暮らし

義弟の愛とお姑ごん

義弟の愛とお姑ごん


私の義理の妹になりかけた人(義弟の元彼女)は結局、私の義弟と別れることになったのだが、別れることになった理由には色々あった中、彼女側からすれば、お姑ごんに歓迎されなかったということが理由の一つだったそうだ。


なんでも、私の義弟は、実母から十分な愛をもらえなかった彼女に同調して。『実は僕も、母親から十分に愛をもらえなかった。』と言っては、『母はいつも兄(つまり私の夫)をひいきしていた。』などと本人でさえも忘れるような作り話を話し、彼女と同情しあううちに、やがて二人の間に愛が芽生えていったという。

そのうち二人に赤ちゃんが出来、義弟は彼女との結婚を約束したという流れだが、お姑ごんは子どもが結婚前に出来たことにも、そして、結婚することになったことに関しても逆上し、

『あの女、私の息子を誘惑したに違いないわ。
子どもを宿せば、私の息子をものに出来ると思っているのよ。』

という勢いで二人の結婚には賛成しなかったのである。

まあ、私もこの時は『お姑ごんもまた寂しくなるから、戸惑っているだけだろう。』とか『また、いつもの毒舌だろう。』くらいに思い、そのうち落ち着くだろうと思っていた。
だが、義弟の彼女と初対面の瞬間から結局最後まで、お姑ごんはうんともすんとも言わずにただ椅子に座って彼女をジーッと見つめていただけだったそうである。
義弟と義父からその話を聞いた時は、余りにもお姑ごんらしいので吃驚もしなかったが、義弟の彼女は正直驚いてしまったと、私に後日話してくれた。


お姑ごんが少し気の毒だと思ったのは、義弟が陰でお姑ごんの悪口を言っているのを知る由もなく、義弟の彼女にも、『ああいう態度を平気で取る人なら、
彼(つまり私の義弟)の言っていることも信憑性あるわね。』と思われてしまったことである。

彼女が『お姑ごんは本当に彼の言っているように子どもに対してひいきしたり、差別する人?』と私に訊いてきたことがあったのだが、『ああ、義弟は何でも誇張する癖があるから、、。姑は、子どもへ対する愛情に溢れている人よ。』と弁護してみたものの(本当は、異常なほど「息子たちへの愛情に溢れすぎ」だと思ったのだが、余り怖がらせてもいけないと思い、その表現は意図的に抑えておいたのである・・・。)彼女の姿が数年前の私とダブってしまって見えてしまった時は正直何とも言えぬ気持ちでいた。


お姑ごんから歓迎されていないという気持ちを引きずりつつも、彼女はお姑ごんを訪ねては拙いスペイン語で何度も話しかけようとしたそうだ。
それでも、お姑ごんは一言二言だけ交わすだけで、後は彼女を残し、何処かへ立ち去って行ったことの方が多かったようだ。

それだけでなく、彼女の子ども(前彼との子)は我が孫として認めないと何気に言ったお姑ごんの台詞を彼女は何処かで耳にしたらしく、次第に、彼女はお姑ごんさんを拒否するようになっていき、やがて二人は周りから一目見ても分かるほどに敵対していくようになったのである。


結果、彼女と義弟は喧嘩ばかりを繰り返すようになり、ついには別れてしまったのだが、一番喜んだのは勿論お姑ごんであったのは言うまでもなく、

お姑ごんは、

『だから言ったでしょ? 悪い女って。結婚しなくて正解よ。』

と口癖のように言う始末・・・。

「どんなにいい相手でも、可愛い我が子には物足りないと思ってしまう」と誰かが言っていたのを覚えているものの、彼女がどんな女だったのか判断出来る程チャンスもあげなかった癖に、、、と私はお姑ごんに対して心の中で反論せずにはいられなかった。

その後、お姑ごんが「悪い女」と指摘したように、義弟の元彼女に関しての色々な悪い話などを巷で耳にしたものの、例えお姑ごんが正解だったとしても、やはり知り合う・歩み寄るチャンスはあげるべきだったのではないかと思う気持ちは、私の中で残ったままである。


あれから数年が経ち、義弟に何回も恋の季節が訪れたものの、義弟が恋の話をする度に、お姑ごんは『私の前で、女の話をしないで!』と本気で苛ついているのだが、そんなお姑ごんを見ていると、『母親は第二の女』と良く言ったものだと思うのだ。

私にも、結婚してもれなくその第二の女がついてきたような感があるが、お姑ごんの嫉妬心もここまで来るとはっきりいって怖い。
だから、義弟が未だに新しく出来た彼女を紹介出来ないでいるのも何だか分かるような気がするのである。


あゝ、お姑ごんよ、、、。
義弟が彼女を紹介する日が来たら、ちゃんと握手をしてくれ。
別に彼女のことを好きになれとは言わないし、彼女と親友になれと頼んでいる訳でもないのだから、せめて最初だけでも歓迎してくれ。
質問されたら、無視をせずにちゃんと答えてくれ。
話しかけられたら、ちゃんと話し返してくれ。
話しかけないんだったら、人の顔をじーっと見つめないでくれ。
それから、わざと『私の~』なんてつけなくていいから、普通に息子の名を呼んでくれ。
嫁や息子の彼女を愛すべきとか、仲良くするべきなどと無理なことは頼まないから、せめて分かり合おうとしてくれ。

、、、と心からそう思うのである。


こう話しているうちに、何だか私の方がハラハラドキドキしてきたのだが、
義弟がお姑ごんに彼女を紹介するのはいつになるだろうか、、、。
事が上手く行くようにと今から既に願うばかりである。



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