カテゴリ:小説
前回の「神去なあなあ日常」の続編です。
これも、とってもおもしろかったですよ。 前作では山の面白さや怖さや敬虔さを、また山の仕事の厳しさを、勇気くんといっしょになって経験したような感じがしましたが、続編は趣がちょっと変わりました。前回同様、勇気くんが古いパソコンで日記のように書き綴るという形態ですが、前回の主人公は山。今回の主人公は、村に住む人々なんです。だから、続編を読んで拍子抜けした人もいるんじゃないかと思います。あちこちのレビューを見ても、パワーダウンとかがっかりしたみたいな意見の人もいますね。 勇気くんは、前作では1年間限定の研修生でしたが、今作ではしっかり中村林業株式会社の正社員になりました。つまり、山の仕事やできごとにいちいち驚いている時期は過ぎたんですね。そのかわりに、村の人々との人間関係に関心が移っていくのは当然のことでしょう。私は、両方そろって一つの作品みたいな感じがして、さらに深く楽しめましたよ。あの自然児ヨキのことがよくわかったし、奥さんのみきさんもたくさん語ってくれました。お稲荷さんを畏怖する村人たち、愛想のなかった山根のおっちゃん。山根のおっちゃんの探し物が出てくる経緯には笑ってしまいました。なんとなく江戸時代のおとぎ話みたいです。 それから最高におもしろいのは、「しわくちゃの饅頭の妖怪」みたいな繁ばあちゃんです。繁ばあちゃんは、足腰が弱っていて日がな一日座敷に座っている「ミイラの置物」だったはずなのに、いつのまにかパソコンの立ち上げ方を盗み見て覚え、勇気くんのパスワードを想像で割り出し、勇気くんの書くエッセイの続きを勝手に書いてしまいます。それがなんと、「あだると」な内容で・・・そのお茶目さ、精神の活発さ、すっかり繁ばあちゃんファンになってしまいました。わたしもこんなお婆さんになりたいな。 三浦しをんさん、できれば、第3弾を書いてくださらないでしょうか。 わたしはどうしても詳しく知りたい人がいるんです。それは、おやかたさんの精一さんのことです。立派で尊敬できるおやかたさんだというのはよくわかりますが、それにしても情報が少ない。そして、奥さんの祐子さんとの出会いも知りたいです。精一さんは東京の大学で祐子さんと出会い、祐子さんはこの神去村にお嫁に来ます。そして祐子さんの妹の直紀さんまで、精一さんにひかれてこの村へ。(勇気くんはこの直紀さんに片思い中で、この恋はなんとなくいい方向に向かっているようです。) ぜひぜひ精一さんのことを教えてください。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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