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ジョブズは荒野を開拓し、ゲイツはその後を収穫する(27ページ)
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著者・編者 | 竹内一正=著 |
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出版情報 | PHP研究所 |
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出版年月 | 2010年03月発行 |
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アップルのスティーブ・ジョブズとマイクロソフトのビル・ゲイツ。まったくキャラクターが異なる 2 人のカリスマ経営者は、同じ 1955 年生まれだ。
本書で 2 人の違いを、「ジョブズは荒野を開拓し、ゲイツはその後を収穫する」(27 ページ)、「ジョブズは自分が欲しいものを作り、ゲイツは売れるものを作った」(106 ページ)、「ゲイツがプログラマーの立場で製品を考えるのに対し、ジョブズは徹底的にユーザーの立場で製品を考える」(115 ページ)、「ゲイツが製品のいわば「改善」に情熱を傾けるのに対し、ジョブズは完壁な製品を生み出すことに執念を燃やす」(215 ページ)などと簡潔でまとめているのは、アップルでマーケティングに携わったこともある竹内一正さん。
本書では、CEO 力、予見力、マネジメントカ、人間性、生い立ち、人材獲得力、新製品開発力、交渉カ、ライバル撃退カ、コミュニケーションカ、マーケティングカ、仕事への取組み力といった視点から 2 人を分析し、そのたびに「判定」を下している。
私としては甲乙付けがたい経営者だと感じたが、いずれにしても、この 2 人の部下は勤まらないと痛感する。竹内さんが冒頭で述べているように、「どちらも現場の人間にとっては大変な経営者」(5 ページ)なのである。
最後に竹内さんは、「日本にはなぜジョブズやゲイツのような経営者が誕生しないのだろうか」(219 ページ)と疑問提起している。
その理由として、日本では一番リスクをとっているはずの中小企業に一番のリターンが戻っていないというアンバランスを挙げている。「日本は米国と違い、失敗した経営者の家に銀行が押しかけ資産を取り上げて生活苦に追いやり、銀行だけがふんぞり返って生き残る仕組みを明治以来作り上げてしまった」と痛烈だ。
今の仕組みが変わらない限り、日本では雇われ経営者せ大成するしか道はないのかもしれない。