|
カテゴリ:書籍
外国のことを知るには、まずその国の歴史を知ることが必要だと思う。その意味では、われわれはイスラームの歴史を知らなさすぎる。学生時代に世界史を学んだといっても、それは欧米から見た歴史観であり、イスラムのことはマホメット(正しくはムハンマド)の誕生とイスラム教を国教としているということぐらいしか学ばない。 世界史で厄介だったのは、本書で「ミドルワールド」と紹介されるアラブ地域における王朝の交替だ。 近代に入ると、「信じがたいことだが、ヨーロッパがこれほど発展していたことにイスラーム世界はほとんど気づいていなかった」(403 ページ)という。やがてヨーロッパ列強はオスマン帝国を侵食してゆき、国際連盟が「実際にはサイクス・ピコ協定を施行して、当該地域を『委任統治領』として分割し、英仏の支配下に置いてしまったのだ」(563 ページ)。アラブの欧米に対する憎悪が、ここに始まる。 著者は冒頭で「現在、イスラーム社会はムスリム共同体の理想から遠くかけ離れた停滞した状態に置かれている」(18 ページ)と記しているが、本書を読むと、イスラーム世界の悪戦苦闘ぶりがよく分かる。それは現在も続いている。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2012.03.04 17:45:24
コメント(0) | コメントを書く
[書籍] カテゴリの最新記事
|