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2020.08.03
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カテゴリ:書籍
コロナ黙示録

コロナ黙示録

 田口「シンコロの恐ろしさは人のつながりを破壊するところです。接触を断たなければ感染が拡大するなんて、これまでの人類の友愛の基本を叩き壊すようなものです。それは人類が初めて直面したジレンマでしたが、新しいつながりが生まれました。その一つがSNSです。」(360ページ)
著者・編者海堂尊=著
出版情報宝島社
出版年月2020年7月発行

東城大学医学部附属病院・不定愁訴外来主任の田口公平先生が『イケメン内科医の健康万歳』を Web連載、ついに作家になる?――高階権太学長と厚生労働省大臣官房秘書課付技官の白鳥圭輔による無理難題が始まる。
元浪速府知事の村雨弘毅が率いる政策集団・梁山泊に、ヤメ検弁護士の鎌形雅史やフリーの病理医・彦根新吾が加わり、安保宰三政権の隙をうかがう。
そんな中、雪まつりが始まろうとしている北海道の雪見市救命救急センターでは、速水晃一センター長が見守る中、未知の感染症により一人の老人が命を落とす。中国では、新型コロナ・ウイルスに 7 千人以上が感染したという情報が入ってきた。同じ頃、横浜港に入港していたクルーズ船「ダイヤモンド・ダスト」で PCR 検査を行ったところ、大量の陽性者がいることが分かった。
蝦夷大学感染症研究所の名村茫教授は、ダイヤモンド・ダスト号に乗り込み、厚生労働省の防疫体制の杜撰さをネット動画で告発する。お友だちを優遇する安保政権の対策は、初心者のそれであり、名村と彦根が痛烈に批判する。
一方、彦根は名村の右腕である、「8 割パパ」こと喜国忠義准教授と合流し、新型コロナの感染予測を行うデータを集めるために雪見市救命救急センターへ向かう。喜国は、雪見市救命救急センターで感染者が出ていることから、病棟閉鎖を進言。速水は断腸の思いで、ICU と内科を閉鎖することを決断する。内科の患者は、世良雅志が院長を務める極北市民病院へ回されることになった。

白鳥は、ダイヤモンド・ダスト号の感染者を東城大学医学部附属病院に収容する段取りを整え、田口を新型コロナウイルス対策本部長に担ぎ上げる。田口は、ホスピス患者が入っている旧病棟を感染病棟に、閉鎖されたオレンジ棟を重症病棟として指定。名村が合流し、感染対策のレクチャを行う。

一方、雪見市救命救急センターでは、研修医の大曽根富雄が感染し、隔離。彼と一緒にいた速水も隔離された。速水は PCR 検査陰性で無症状だったが、O2 サチュレーションの値が低下しており、間質性肺炎の画像所見が出ていた。大曽根の症状はさらに深刻で、ECMO に頼るしかなかったが、道内の ECMO はすでに満杯だった。
そこで速水はドクタージェットを飛ばし、母校の東城大に救援要請した。だが、東城大にある ECMO は、ダイヤモンド・ダスト号から搬送されてきた、速水の部下である保阪美貴看護師の祖母に使用される予定だった。無職高齢者の救命か、現役医師の救命か、田口と速水に「いのちの選択」が突きつけられる。

北海道では、世良からの提言を受け、益村秀人知事が緊急事態宣言を発出する。
梁山泊は、自殺した財務局職員・赤星哲夫の妻による告訴を引き出すという当初の目的を達成し、解散する。

田口は、高階や藤原とイチゴを頬張りながら、「シンコロの恐ろしさは人のつながりを破壊するところです。接触を断たなければ感染が拡大するなんて、これまでの人類の友愛の基本を叩き壊すようなものです。それは人類が初めて直面したジレンマでしたが、新しいつながりが生まれました。その一つが SNS です」と語る。
東城大学医学部・黎明棟は、感染患者111 名余りを受け入れながら院内感染ゼロを実現した「奇跡の病院」と称賛されることになる。

巻末に、「この物語はフィクションです。作中に同一の名称があった場合でも、実在する人物・団体等とは一切関係ありません。」との注意書きがあるが、本作で新たに登場した人物は、どう読んでも、実在の人物に 1 対 1 対応する。そして、どう読んでも、「森友学園」「桜を見る会」「検事長の定年延長」「自殺した財務局職員」を取り上げて政権批判をしているようにしか読めないが(笑)。
さて、主人公の田口先生や、ジェネラルこと速水先生は私と同期なので、その活躍っぷりは無理筋では、と感じつつも、海堂ファミリーの同窓会として、最後まで楽しませてもらった。
海堂ワールドで度々取り上げられる「いのちの選別」は、今回は「ECMO」という現実味を帯びた話題で再び取り上げられる。小説では田口先生の幸運で乗り切るが、リアル世界では、私たち一人一人が、是々非々で答えを導き出さなければならない。
だから、本作品は、海堂バイブルの最後に連なる「黙示録」ということなのかもしれない。






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最終更新日  2020.08.03 12:22:33
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