ラスタ・パスタのレレ日記

チームJAPAN、苦難の末につかんだ世界一！　World Baseball Classicの初代王者に！

９回裏、２アウト、あとひとり、あと１球まで追い込んだ後、

大塚が三振を奪って、キューバをくだし世界一になった瞬間！！

それから、この喜びをどう表現していいか、言葉がみつからなかった！

王監督の胴上げ、グランドで喜びを分かち合う代表のメンバーたち。

インタビュアーにつかまえられて、質問されるイチロー。

インタビュアー「あの９回のイチローさんのヒットは。。。」

イチロー「ぼくのことはいいですよ。みんないいチーム。凄い！」

イチローはこのとき、最も素直な気持ちを表現していたと思う。

実際、ねばりにねばるキューバが、８回裏に　６vs. 5　と１点差まで日本を追いつめたとき、どうなるかわからない、という思い雰囲気が立ち込めた。
それを、見事に、イチローのタイムリーで１点を追加。その後、追加点が続き、
最終的には、10　vs. 6 で、日本が勝った。

その最後の最後の貴重なダメ押しのタイムリーについて、
「ぼくのことはいいですよ」

「このチームは素晴しい」と言ってのけたイチロー。

本当に、チームJAPANは試合を重ねるごとに、チームが結束し、気持ちがひとつになたんだと思う。

そのチームを、感情を思い切りあらわにし、時には物議をかもす発言をし、なりふりかまわず、自ら先頭に立ってチームを引張ったイチローが、
「自分のことはどうでもいい。チーム全体が素晴しかったんだ！」

と言ったこの発言に、今回の世界一へ結びついた全てが語りつくされていたと思う。



世界一を決める決勝戦は、日本、キューバの双方に、相当なプレッシャーを与えていたのだと思う。

１回表、日本の攻撃で、キューバはがちがちに緊張していた。投球がきまらない。

満塁の後、多村のデッドボールで押し出し１点。
小笠原の選球眼で、ファーボール、押し出しで２点目。
今江のセンター返しの２点タイムリーで４点。

実力のほどが未知数なキューバがあっさり、大量点を許してしまった。
１回の間に、ピッチャーを次々に代えてしまった。

これで、日本の一方的な試合になるか、または数回は、そのまま行くだろうと思ったが、キューバはやっぱり強かった。

松坂の好投にもかかわらず、１回ウラにすぐにホームランで１点を返し、まだまだ試合のゆくえはわからなかった。

つないで走る日本と同じ様なチームかと思ったが、強力なバネを生かしたパワーベースボールも出来るキューバ。

守備でも見せた。キャッチャーの強肩。サードの素早い送球。
キューバには底力があることを見せつけた。

松坂は、ストレートが走っていた。しかし、球が高め高めに浮き、もうひとつコントロールがさだまらない。

４回のウラ、ショートの川崎のスーパープレイで、１塁小笠原への送球。
バックが松坂を盛り立てた。
５回に追加点のチャンス。イチロー、松中　１，３塁で、多村の内野安打で１点追加。

里崎の送りバント、小笠原のレフトフライで、３塁から松中がタッチアップ、全力でホームへ帰ってきた。

これで、６vs. １。　得点差は、安全圏内に入ったかに思えた。

５回ウラ、ピッチャーは松坂から、アンダースローの渡辺に交替。松坂はまだ行けそうな気もしたが、王監督は早めの継投を選んだ。

最初、見たこともないアンダースローの渡辺に全然、タイミングがあっていなかったキューバ打線だが、６回には、明らかに、渡辺つぶしを狙ったバッティングに代えてきたと思う。下から浮き上がるボールを強振せずに、球にバットをうちつける作戦だ。
それで、大事なところで日本にミスが出た。好守備の川崎がエラーをした。
エラーを足がかりにキューバは３連続安打を記録し、２点を返し、６vs. 3とした。

その回は、渡辺の好投でダブルプレーでそれ以上のピンチを断ち切った。
しかし、７回もキューバ打線は、渡辺の投球にタイミングが合い始めてきたように思った。
ぼくは、８回からは細かく継投をして９回に大塚かと思ったが、王監督は
８回、渡辺を続投させた。ここで、ヒットを許し、セットアッパーに藤田に交替。

ところが、藤田がキューバの２ランホームランを許し、なんと土壇場で、
6 vs. 5　の１点差に追い込まれてしまった。

ブルペンには、大塚しかいない。８回１アウトで、大塚が登場。

あと５つのアウトカウントを大塚に託した。

サンディエゴのペトコパークは、昨年まで大塚がいたパトレスのホームスタジオ。大塚のテーマ曲が流れて大塚がスタジアムにむかいいれられた。

かってしったる球場ということか。大塚は８回二人をピシャリと抑えてピンチをしのいだ。

いくら大塚が９回もクローザーとはいえ、かさにかかって攻撃してくるキューバに１点差というのは、危険すぎる。

そこで、冒頭のイチロー９回の駄目押しの場面に戻る。
イチローが、期待通りにここで、１点タイムリーを打ち、

代打、福留の２点タイムリー。続く、小笠原がライトフライで、またしても松中が、３塁から激走。スライディング。最後まで闘志あふれるプレイ。

10 vs. ５と、突き放した。

この９回のイチローのタイムリーでは、川崎がキャッチャーの強烈なブロックをかいくぐり、右手をホームベースに滑り込ませた。

アナウンサーが奇跡の右手と言わしめた、本当に絶妙のスライディングで、先のエラーを帳消しにした。

小笠原は、チャンスにヒットこそ打てなかったものの、ファーボール押し出し。左犠飛、右犠飛と確実にチャンスに打点をかさね、渋い存在感を示した。

９回、それでもねばるキューバに１点返されたが、最後は、大塚の完璧なクローザーで、三振。

日本が世界一になった！

こうしてみてくると、誰がヒーローということが簡単に言えない。
ベンチで、エラーして戻ってきた川崎を励ますナイン。

大塚が１点返されたときに、交替で出た宮本が、すぐに声をかけに行くなど、

得点、打点にからまなかった選手も含め、まさに全員で勝ち取った世界一だと思う。

MVPに選ばれた松坂だったが、彼自身、自分がMVPにあたいするほど活躍したとは思っていなかった。

グラウンドでのインタビューでも、「自分では結果を出したとは思わないが、チームとしてこういう結果を出せてよかった」と言った。

韓国に２回負けながらも、アメリカがメキシコに敗れるという番狂わせで、幸運にも、（先発、上原、松坂、渡辺らの好投もあって）、失点率の低さで準決勝に進出。

３度目の正直で、韓国を破り、決勝では、苦しんで苦しんで全員でつかんだ世界一。

全員が強い気持ちで勝ち取った、WBC初代チャンピオン！！

王監督
「自分自身が国際試合の経験がはじめてだったので、こんなにプレッシャーが凄いとは思わなかった。」

王監督の娘さん（次女）によれば、王監督は、夜もよく眠れなかったという。

キューバも日本も、最後にがちがちのプレッシャーの中でプレイした。


日本からは、野球関係者の喜びと賞賛のコメントがあいついだ。

古田「本当に世界一になっちゃいましたね。ちょっと羨ましいな」
清原「誇りに思うし、勉強になった」
バレンタイン監督、原監督

長嶋さん「国民とともに感動し、喜んでいます。これからも、野球の楽しさ素晴しさをみんなに伝えていってください」


全員でつかんだワールド･チャンピオンだが、
あえて、ひとりだけヒーローをあげるなら、やっぱりイチローだろう。


僕は、最初、彼の言動がよくわからなかった。
なぜ、誤解をまねくような発言をするのか。

まるで、人が違ったかのように、喜怒哀楽を全身で表現するイチロー。

強すぎる気合は、かえって力を出しにくくする。

しかし、イチローは、ああやってメディアの前で吼えて、自ら、チームメンバー、ファンを鼓舞する一方で、

いつも球場に一番乗りして、もくもくと練習していたという。
キューバ戦の今日もそうだった。


王監督が言った。

「彼は（イチローくんは）、プレイの面だけではなく、練習や、野球に取り組む姿勢で、つねにチームのお手本となって引張ってくれた。

彼が、（メジャーで）あれだけの凄い記録を残しているのも、単に才能があるからということだけではなく、そこには地道な野球に対する取り組みの姿勢があったんだ。私も、選手も、コーチもみんなそれを今回、みんな見てきた。」

そうした、今までメディアやファンが知ることのなかったひたむきな野球に対する取り組み姿勢と愛情があるからこそ、

いくら吼えて気合を入れすぎても、空回りすることなく、きちっとみずからも結果を出し、チームの求心力になったんだと思う。


イチローは、シャンパンシャワーのあとの記者会見で言った。

「子供のような気持ちで、野球を楽しめ、
プロとしての役割も果した。」
「自分の野球人生において、最も素晴しい日。

たった１ヶ月だったけれども、どんどんいいチームになって最後には最高のチームになって、今日でこのチームのみんなと別れなくてはならないかと思うと、正直、寂しい、という気持ちもあります。」


WBCの問題点とか、それでも意義があったとか、そこで日本が初代チャンピオンになった意味とか、

いろいろあると思うが、

これだけ、感情をあらわにしながら、最高の結果を出したイチローと、
そのウラでは、人知れぬ、ただ黙々と練習し、ひたむきに野球に取り組むイチロー。

野球への愛情。

そして、なにより、「野球って、こんなに面白いんだ。こんなに楽しいんだ」と再認識させてくれたWBCと王JAPAN。

いろんなことを学ばせてもらったと思う。

王監督、イチロー、松中、福留、小笠原らのプロフェッッショナリズム

川崎、青木、里崎、多村らの若い力とスピード

上原、松坂、渡辺、大塚らの投手陣。

コーチ陣やスタッフ。

すべての関係者に、おめでとうの言葉と、お疲れ様の言葉をかけてあげたい。

（名前を挙げきれなかったすべての関係者に。。）


追記：

サンディエゴのペトコパークでは、日本の優勝が決まったときに、Queenの『We are the Champion』が、大音量でかかっていた。

まさに、王JAPAN、チームJAPANにこそふさわしい歌だ！