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特許の思想体系

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2005.01.19
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カテゴリ:01 特許ゲーム
こんちくわ。

特許業界では、「この特許は、ペテントだな」などと言うことがあります。

これが使われるのは、次のような場合だと思われます。


(1)無効理由がある

特許庁審査官による審査が行なわれて、特許になったとしても、審査官による見過ごし等があって、本来特許にならないはずのものが特許になってしまう場合があります。

これを指して、ペテントと言う場合があります。

このようなペテント(「瑕疵(かし)ある特許」と言います)は、無効審判(特許法第123条)で、消滅させることができます。

しかし、無効審判まではやらないとしても、先行技術調査や特許ではないという論理を建てることなどが必要であるということで、第三者にとっては、やっかいな特許です。

特に、やっかいなのは、その特許出願当時、技術者ならば、誰でも知っている(周知)はずだと言えるものですが、証拠となる文献には何も記載されていないような場合です。

文献に記載されているということこそ、珍しいからであると考えるべきである場合がありますからね。


(2)特許を取得したことは、何ら品質・性能がよいということを保証するものではありません。

「審査官は、特許出願について拒絶の理由を発見しないときは、特許をすべき旨の査定をしなければならない。(特許法第51条)」とあるように、拒絶理由がなければ特許するという構成になっています。

つまり、技術的に素晴らしいから特許するというものではありません。

ですので、おちゃめな特許が発生することがあります。これをペテントと称する場合もあります。

とはいえ、特許法自体が技術の進歩を目的にしていますから、特許要件をクリアすれば、技術の進歩に寄与しないようなものが特許になるようなことはあまりないはずです。

このペテントは、他社も実施することがありませんし、他人には迷惑をかけないという点で(むしろ、特許権者は特許庁に特許料を支払うということになります)微笑ましいものです。


(3)あまりに小さい特許をペテントと称する場合があります。

特許というと、堂々と広い範囲を押さえている権利というイメージがありますが、全然そんなことなく、非常に狭い範囲しかない特許もたくさんあります。これらの特許を揶揄または自虐的に評する場合にペテントという言葉を用いているようです。

特許要件として、新規性(特許法第29条1項)、進歩性(特許法第29条2項)があります。これらをクリアするために、範囲の狭い発明にすることがあります。そんな細かいことまで文献には記載してないよ、と言いたくなるようなものです。

他者が実施しないようなペテントであれば、何ら問題はありません。

しかし、範囲が狭いとはいっても、誰もが使わざるを得ないというようなものも中にはあります。

そのようなペテントの場合は、無効理由が見つけにくいという点で非常にやっかいな特許です。

企業は、このような特許を戦略的に狙って出願する場合もあります。つまり、一般には「広くて強い特許」を欲しがるものですが、「狭くて潰れない特許」を狙うということです。



「今宵はここまでにいたしとうござりまする」(流行語大賞 1988年 流行語部門・金賞)

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最終更新日  2005.01.22 12:21:43
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