テーマ:海外生活(7762)
カテゴリ:楽しき日々(mumbling)
これまでのお話 その1 その2 「ねぇ、何か白いもの、水槽の中にいる?」 私が振り向くと、 Aはぐちゃぐちゃになったコードと格闘していたが 南部特有のはんなりしたアクセントで、こちらを見ずに答えた。 「ああ…。それはね…ちっこい、かえるちゃん…。」 一瞬の沈黙の後、ルームメートが悲鳴をあげ、Mが笑い出した。 潜水夫のついた洞窟を持ち上げると、パニックに陥った薄ピンク色のカエルが 勢いよく飛び出して水槽の壁にぶつかった。 やれやれ。私はこれからカエルを飼うのか。 カエルはぴこぴこと水中を泳ぎまわり、なかなか捕まえることができない。 散々追い回して網にすくい、ビニル袋に入れようとすると ぴちぴちと暴れて跳ねあがり床に落ちてしまった。 ルームメートは耳をつんざくような悲鳴をあげて逃げていく。 私たちは夜中だというのにとんでもない大声で騒ぎまくり、 Mがやっとのことで埃まみれになったカエルを素手で捕まえ、 ビニル袋の水の中におさめた。 午前3時過ぎには、私が持ち帰る分の荷物の形がついたので Mとルームメートがタクシーで魚関係と机を運び、 私は居残って、もう少しAの荷造りを手伝った後、 タクシーに乗り切らなかった椅子やら細々としたものを持って帰ることになった。 Mとルームメートがいなくなると、緊張の糸が切れ その上、眠たさと疲れが限界を通り越して2人ともハイになり 何を見ても、何をやっても、おかしくて Aと私は、荷物とゴミの山で足の踏み場もない床に転がって 息ができなくなるほど笑った。 インコをもらいにきて、カエルを連れて帰るのも Aがマイクロソフトのせいでクビになったのも、 1週間前に一緒に見に行った映画が最悪だったのも、 全部全部おかしくてしょうがなかった。 床をバンバン叩きながら笑っていると、突然暗くなった。 部屋の電球が切れたのだ。 つづく 注:写真はイメージです。本物ではありません。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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