「ケナリも花、サクラも花」鷺沢 萌 (さぎさわ・めぐむ)著新潮文庫、平成9年出版 友人M氏が貸してくれた。 (2003年11月22日読了) 父方に韓国人の祖母を持つ著者の韓国での語学留学を通して考えたり感じたことを 綴ったエッセイ集。 韓国や日本における自分や他人による自分の括られ方、韓国でやはり同じ語学学校で 韓国語を習いに来ている在日僑胞(=「在日朝鮮・韓国人」「在日コリアン」)の友人達 との触れあいを通して得ること、考えること。 現在の韓日、日韓関係やいろんな日本人の韓国・韓国人(「在日」も含め)に対する態 度などについて鋭い指摘が多い。私も共感する所が多いのだけれども著者が私の共感 度に関してどう思うかはちょっと興味あり。 友情をとっても大切にするところやハッキリしてるところ、人とのコミュニケーショ ンを大切にしていて「判ってもらいたい!」と思っている反面、人の言うことにいちい ち敏感に反応してしまうところやすぐいろいろと深読みしてしまう所(これは言葉を 生業にしてるものの性かもしれませんが)などが似てて共感の連続。 書いてあること全てに賛成ってわけではないのですが、ここまで「うんうん」と言いつ つ読めた本も珍しい。 私が感動して泣いちゃった所は題名にもなってて柳美里の解説にも引用されてる、イ ンタビュー記事の写真のキャプションのところで。 「鷺沢萌は、私たちの国が愛する花、ケナリの名前を訊ねた。盛りの季節のケナリの むこうでは、サクラの花も美しく咲いているのが見える。」 これで引用しても私の感動した理由はわからないとは思うけど。(それに泣いたのは ちょっと過剰な反応だったとは思うけど、それまでコミュニケーションできないで苦 しんでた著者がやっと境遇の違う人とやっと本当に交流できた、と感じられた一瞬が 自分のことのように本当に嬉しかったのです。バリバリ感情移入してました。) 柳美里の解説を読んだ限りでは、柳にとっては居心地の悪いエッセイ集だったという 印象を受けた。でも、柳が解説を頼まれたのも自身が解説の冒頭で述べてる理由だっ たような気も確かにするので、編集部よ、鷺沢も書いてるように、もっと想像力を養 いましょう、と言いたい。 ジャンル別一覧
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