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知恵への愛(うそですww)

mission14

Mission14 「駆けるソラ」

    惑星ミラリオン 郊外  ショッピングセンター内

「なになに?はちみつ。リンゴ。タマネギ。じゃがいも・・・。」
E・Dが手に持った紙を読み上げていく。
「カレーでも作るのかな?」
フォンが食材の入ったカートを押していく。
「って言うか,何で俺たちがこんなことしとる!?」
E・Dが切れる。
「そりゃあ。お前と俺がじゃんけんに負けて・・・」
急にフォンが黙り込む。
「・・・どした?」
「あれ見て。」
フォンの目線の先には眼鏡をかけた白衣の博士がリンゴコーナーをいまにもかじり付かんと睨んでいた。
「ウケタ博士だよね。」
「みっちゃんが言ってたやつ?確かに,同一人物。」
二人が同感した時,その男がこっちを向いた。
「おろ?ASCPの。こんなところで何してんの?」
そのとき,フォンは思った。
「(まちがいない。このマイペース口調!!)」
「確保ォ!!」

  数分後        レグルス独房内

「いやぁ。あんなところで会うなんて珍しいよね!!何してたの?」
ウケタはまだ自分の置かれた状況が理解できていなかった。
「貴様こそ何してた?」
ミツユキが聞き返す。
「お腹を空かせた哀れな仔羊がたまたま見付けたリンゴを食べようとしてたのさ。」
「(窃盗じゃねぇか!!)」
フォンは心の中で思った。
「違うな。目的はおそらく我々との接触。違うか?」
ミツユキがそう言うとウケタは急に真剣な顔になる。
「フフフ。気がつくの早すぎ。大正解ィ!!!」
「今度はどんなプロトタイプだ?」
ミツユキは全てお見通しのような顔で聞く。
「昨日完成したんだ。ソラが。」
そのとき艦内に衝撃が走り,ミルが状況報告をする。
『高熱源体。マッハ7でこちらに,くうっ!!』
さらに大きな衝撃が走る。
「お出ましか。フォン。レン。戦闘は任せる。」
ミツユキは管制室に走っていった。
「この前の借を返したいね。」
フォンは紅鶴を構える。
「どこから?・・・下!?」
いきなり床から巨大なフォトンの刃がフォンを襲う。
が,フォンに当てることはできない。
「大丈夫?パパ。」
ソラが喋った。
「し,喋ったぁ!?」
フォンが驚くとソラは端正な顔をフォンに向ける。
「喋っちゃ・・・」
手の平からライジングハーケンを転送する。
「悪い?」
「くっ!!」
ソラが切りかかりつばぜり合いになる。
が,そのままフォンが押され床にめりこんでいく。
「レン!!」
レンがフォトンブレイドを出力して切りかかる。
「ふぅん。戦闘スタイルを変えた?でも。」
ソラが興味なさげに言い,ライジングハーケンをすこし傾ける。
「ちっ!」
フォンとレンがソラの左右から挟撃するが,ライジングハーケンの長さを利用して二つともうまく受け止める。
「これで。」
ソラの目が冷酷に輝くき,身動きのとれないフォンに光るカードを投げつける。
「危ねぇ!!」
フォンはテクノブーツの出力を最大にしてつばぜり合いを無理矢理くずして回避した。
光るカードが当たった床には穴が開いている。
どうやら,フォトンエネルギーで構成されたカードのようだ。
「はい。」
今度は20枚のフォトンカードが投げられる。
「このくらい!!」
フォンはその全てを避ける。
「これでどう?」
ソラが手の指をクイッと曲げる。
それと同時にフォトンカードも軌道を変えてフォンに転進する。
「なっ!?」
レンが援護で数枚撃ち落としたが,生き残ったカードがフォンに突き刺さるかに見えた。
が,カードはフォンを素通りしていく。
「なに?手品?」
ソラが不思議そうにしてフォンを見る。
フォンの瞳は金色に輝いている。
「・・・動静輪。」
フォンの反撃が始まった。

    同時刻         管制室

ミツユキはテクノバイザーでレグルスの周囲に警戒態勢を敷かせ,同時に調べ物をしていた。
テクノバイザーにパスワードを入力,すると数字の羅列が浮かびあがる。
ASCPの資金である。
「敵前逃亡はよくないよ。」
ミツユキは後ろを振り向いた。
ウケタがいる。
「君にはしっかり見てもらって改良点を聞かなきゃね。」
笑っている。
「そうだな。すこし話をしよう。」
ミツユキも笑い返す。
「そうこなくちゃね。」

    数分後        レグルス独房内

「奥義!!無限刃!!」
フォンは常人に見切ることが出来ないほど速く斬撃を決めている。
レンも狙撃で援護している。
いつのまにか来たO・Dもミサイルやらスナイパーライフルで援護する。
が,ソラはその全てを避けている。
「前回より剣速が0.23上がっている。その瞳か?」
ソラが冷静に分析する。
「悪いけどまだまだ上がるよ。」
フォンが一度離れて深呼吸する。
「神技静動流・刃。第3極義。幻響獄乱舞!!!」
その瞬間,フォンの体が消える。
「消えた!?」
O・Dが驚く。
「そんな手品。簡単に見破れる。そこ。」
ソラは何もない空間にフォトンカードを投げつける。
何も無いはずの空間でカードは真っ二つになる。
「フフ。殺気で姿を消したみたいだけど,私には見え・・・!?」
真っ二つになったカードがソラに返ってくる。
すぐに対応してハーケンで弾き返す。
「馬鹿な。そんな手品。・・・!?」
ソラは身動きすることが出来なかった。
「(こわい?これが?私はテクノロイドのはず。恐れなんて。)」
何度足を動かそうとしても震えて動かない。
「これで終わりだ!!」
ソラが気づいた時にはフォンは目の前にいた。
今にもソラの体を貫くと言うその時。
「そこまでぇ~~~~~!!」
ウケタがマイペースに言う。
フォンはソラの体まで数ミリの所で紅鶴を止めた。
「今話が付いた。彼らは今日から仲間だ。」
ミツユキが言う。
「え?ど,どういうこと!?」
フォンが聞く。
「いやね。ASCPが研究資金出す変わりに,協力してくれないかって言われてね。」
ウケタがのんきに話し始める。
「もうその額面に見ちゃったら跳び上がっちゃって・・・」
フォンは座り込んでいるソラに手を伸ばした。
「ほら,今日から仲間らしいからさ。」
もちろんそっぽを向いている。
恥ずかしいのである。
「・・・。」
ソラはフォンの手をとって起き上がる。
「種明かしは?」
ソラはフォンを睨む。
「は?さっきの?あれはね,君に自我が付いたからかな?」
「自我?」
「恐くて動けなかったでしょ。ゴメンね。ああいう技なんだ。」
フォンが鼻の頭を掻く。
「(こわい。あれが。こわい。)」
「あのさ。いい加減はなしてよ。手。」
「あ,ゴメン。」
ソラはフォンの手を離す。
フォンは真っ赤になっていた。

        その日の夜      フォンの自室

「結局,準備があるとかでレグルスに来るのは数日後か。信じていいんだろうか。」
フォンはベッドに寝っ転がっている。
「それにしても,ソラってテクノロイドなのに手,軟らかかったな・・・って俺は何を考えている!?俺にはアンがいるじゃないかぁ!!!しっかりしろ俺!!!」
フォンは顔を赤らめながら天井を見つめていた。
「(アン。今な今何してんだろうな。)」

                       つづく



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