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知恵への愛(うそですww)

mission16

Mission16 「ヴァンパイアVSヴァンナイト」

           連合本部演習所

演習所はすでに黒い煙が上がり,逃げ惑う人でいっぱいだった。
逃げる人の列の横からBA-01ヴァンビンが殺戮を繰り返すBA-02ヴァンパイアに向かっていく。
「ようやくお出ましか・・・。死ねぇ!!!」
ヴァンパイアのコックピットにいるブラッドが叫び,フォトンライフルが火を吹く。
フォトンの光条は見事に命中し,通信回線が全開になっているのか連合兵の断末魔が聞こえる。
「弱い。弱すぎるぞ!!ハハハハハハハハ!!」
ヴァンパイアの腕に装備されているワイヤーロッドが射出され,ヴァンビンの腕に刺さって食い込む。
ワイヤーを通してヴァンビンとヴァンパイアが繋がる。
「コックピットを外れたか・・・だが!!」
ヴァンパイアはワイヤーロッドが刺さったまま強引に引っ張る。
腕の巻き上げ装置による相乗効果もあって,ヴァンビンは簡単に投げ飛ばされ,建物に激突して爆炎を上げる。
「くくく。他愛もない。ん?」
レーダーが機影をとらえる。
『BA-03』
そう表示されていた。
「なにっ!!」
ありえない。
そう思った瞬間,機体に衝撃が走る。
BA-03のコックピットから声が聞こえる。
「何やってんだよ!!アンタぁ!!!」
聞き覚えのある声。
「さっきの小僧か!!まず礼を言おう!!」
ヴァンパイアがフォトンウィングを出力して距離をとる。
「道案内ありがとう。そして,さようなら!!!」
同じくフォトンウィングで追撃してくるヴァンナイトにフォトンライフルを撃つ。
が,見事にフォトンシールドで防御するクロード。
MMIペンダントを使用しているクロードには簡単なことだった。
「ばかな!!」
「そんな攻撃ぃ!!」
クロードはヴァンナイトの腰に装備されたフォトンソードを出力する。
ブラッドはそれを受け止めようとフォトンセイバーを出力する。
対艦用に設計されたフォトンソードに対して,フォトンセイバーは純粋な対BA用の装備なので,ブラッドは受け止めることしか出来ない。
「くくく。距離を詰めた所でぇ!!」
「墜ちろ!!・・・何!?」
今にもフォトンソードでヴァンパイアを焼き切る所でバッテリーのブレーカーが作動する。
もともと,エネルギー消費の激しい機体をスタティックエンジンでようやく動かせるのがヴァンビンのバッテリーで動かせるわけが無い。
当然,残りの電力も少ない。
「しまった!!」
フォトンウィングが無くなり,機体が地上に激突する。
「バッテリー切れかぁ。残念だなぁ!!!」
フォトンライフルが向けられる。
「(殺られる!?)」
クロードが目をつむったその時。
「脚部切断。脚部用エネルギー最大カット。出力をフォトンウィングへ。」
ユニの凛とした声が聞こえ,ヴァンナイトの足が外される。
「ユニ?」
クロードがユニをのぞきこむ。
「MMI,コンタクト。」
その声が聞こえたとたん,クロードの視界が一気に変わる。
「(ここは・・・演習所!?)」
クロードはヴァンナイトが見たものを見ているのだった。
「くっ!!」
飛ぼうと思えば飛べる。
手を動かせば動かせる。
ヴァンナイトとクロードが一つになる。
「いっけぇぇ!!!」
再びフォトンウィングが出力されて,ヴァンパイアに急接近する。
「さっきと同じシチュエイションじゃないの。シールドはエネルギー使うぜ!?」
ヴァンパイアのフォトンライフルが火を吹く。
が,さっきと同じでは無い。
ヴァンナイトは今度は全弾回避する。
「はぁぁぁぁ!!」
再びフォトン同士のつばぜり合い。
「くくく。馬鹿なやつめ!!」
ヴァンパイアはその手に持ったコンテナを持ちながらヴァンナイトに腕を向けてくる。
「この距離では避けれまい!!ワイヤーロッドォ!!!」
ヴァンパイアのワイヤーロッドは確実にクロードたちのコックピットを貫くはずだった。
ガギン!!
「ば,バカな!!?」
ヴァンナイトはほぼ零距離で発射されたワイヤーロッドを素手で受け止めていたのだ。
「今度こそっ!墜ちろ!!」
ブラッドの顔に冷汗が流れるがその汗を素早く脱ぎ払う。
「貴様。この機体の特性を知っているか?」
「何!?」
クロードがいぶかしげな顔になる。
「フォトンバースト。」
ブラッドがつぶやく。
クロードはその言葉に聞き覚えがあった。
「(たしか,空気中のフォトン粒子を暴走させる・・・マズイ!!)」
ヴァンナイトがフォトンウィングを最大出力にして離れていく。
「喰らいなぁ!!!!!!!!!!」
その瞬間,ヴァンパイアを中心に半径1kmが光に包まれる。
「ぐわぁぁぁぁぁぁぁ!!」
クロードの意識は遠くなっていった。

      数分前    サブストリート

「奥義!!気抱殺!!」
「奥義!!獅子攻陣!!」
2色の殺気がぶつかり合う。
「うわわわ!!」
ビルの影に隠れているE・Dが言った。
「フォン!!今助けるぜ!!」
E・Dはロケットランチャーを構える。
ロックオンスコープからイズミの顔が見える。
「食らえ!!」
トリガーを引こうとした瞬間,イズミがE・Dの方を向いて微笑む。
「あ。」
E・Dの顔が赤くなる。
イズミが何かをE・Dに投げつける。
グサ,グサ,グサ
E・Dの顔のすぐ横に刺さっていたのは手裏剣だった。
「ひぃぃぃぃ!!」
E・Dはその場に座り込む。
「他人に構っている暇があるのか!?」
フォンはイズミに切りかかる。
「あら?お友達じゃないの?彼。」
イズミはクナイで受け止め,弾き返す。
「あなたにとっては違うでしょっ!!!」
フォンの指からステルスナイフが飛び出し,イズミを貫く。
「残念。はずれ。」
イズミは真後ろにいた。
「だまれ!!!」
フォンは後ろを切るがそこにはもうイズミの姿は無い。
「ちっ!幻術か!?」
フォンは動静輪を発動させる。
普通のサブストリートに走る人影。
「そこ!!」
「ぐっ!!」
フォンの蹴りが決まる。
視界がガラスのように割れ,これといって変わってないが本当のサブストリートがあらわになる。
「あきらめろ。」
フォンはイズミに向かって紅鶴を向ける。
「ふふふ。」
イズミは薄く笑う。
「何がおかしい。」
ベタすぎる展開。
「変わっていないのね。その癖。」
『癖』と言われてフォンは気づいた。
イズミを蹴った足に『爆』と書かれた札が張ってあったことを。
「しまっ・・・!!」
「破!!」
その瞬間。
フォンのテクノブーツが爆発する。
「ぐわぁぁ!!!」
吹きとばされるフォン。
「あ~あ。ハンデあげちゃた。」
未だにイズミが笑っている。
爆炎の中から声が聞こえる。
「神技静動流・刃 第2奥義。無気破光剣!!!」
煙の中から光の刃がイズミを貫く。
「ふふふ。ようやく本気かしらね。」
イズミから笑いが消える。
「とどめぇ!!!」
いつのまにか後ろにいたフォンが紅鶴をイズミに突き差す。
道路に血が飛び散る。
「フォン。私の心臓が右にあること,知ってるでしょ。」
イズミは振り向かずに言う。
「もう一度考え直してくれ。姉さん。『神の鉄槌』から・・・くっ」
突然視界が光りに包まれる。
演習所からの光だった。
どうやら演習所に何かあったらしい。
「時間ね・・・。不音。あなたの気持ちはうれしいわ。でも,私はこの道を選んだのよ。」
「姉さん・・・。」
「これがあなたとする最後の戦い。次あった時は殺し合いと心得なさい。」
最後は力強く言う。
「待ってくれ!!話せば・・・」
「召喚術・麒麟!!」
イズミは瞬間移動する。
その場にはフォンだけ取り残される。
E・Dは気絶している。
「姉さん。」
フォンの頬に涙が流れる。
「(最後の攻撃,避けようと思えば避けれたのに。)」
避けずに攻撃されたのはおそらくフォンと真面目な話をするためだろう。
フォンの頭に姉と過ごした幼少期の想い出が走馬燈のように駆け巡る。
「さようなら。姉さん。」

       次の日      UNKNOWN

クロードは暗闇の中にいた。
唇に温かいものを感じる。
まさかとはおもった。
重いまぶたを上げる。
目の前にユニの顔がズームで映し出される。
「うわぁぁぁぁぁ!!」
クロードが大声を上げる。
どうやら無事だったようで,ヴァンナイトのコックピット内だった。
「くろぉど・・・ぐふっ!」
ユニが吐血する。
「ゆ,ユニっ!!」
倒れそうになるユニを抱き止める。
触り所が悪かったのか,軟らかい感触がする。
一瞬,昇天しそうになった脳味噌を無理矢理切替えて通信回線を開く。
「こちらBA-03!!負傷者1名!!至急救援を!!繰り返します・・・」
通信機に向かって叫ぶクロード。
「(無事でいてくれ!!ユニ!!)」

                      つづく


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