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2015/03/02
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ポンスケの「特徴」は
1 天幕を持っていること
2 「天人」という「自在鉤」をもっていること
3 「山刀うめがい」という双刃の山刀をもっていること 

鳳の草の親子は、天幕は、もっていたが使わなかった。「自在鉤」は使っていたが「テンジン」とはいわずジザイカギといっていたし、この山刀もウメガイとはいわないでヤマカタナといっていた。利君にきくと「柿の木平の奴んた、天幕の中に夫婦ごと、別々の暮らしをしていて地元の他人とは滅多に口をきかんし、怖い顔しとるし、足が速いで、何するか分からんで・・・・・」と、 おどした。 きくと、この ウメガイとテンジンと天幕は「あいつんたの三種の神器で触ったり、傷つけたりしたら、殺されるげなぞ」と威しては何度でも利君は、私に「得意相」にきかせた。

あいつどこで聞いてくるのか何でもよう知ってる奴だ、と私は思った。彼らが住むのは、いつも本当は天幕の中である。少し傾斜の地を選んで天幕の大きさに合わせて四方に小さな溝を掘る。その長い方に天幕の裾を丸太か何かで圧えて雨水が流れこまない様にする。両端の三角の処が「出入口」になるのだが、その又、三角の部分に余分の幕がついていて、入口になる。その小幕を引き上げて中に入るのである。だから出入りは、はい込む形でされるが、幕の中は一段と低く掘り込まれて平になっておる。出入口左隅の処に、「天人穴」があって、これに自在鉤の支柱がたてられる。炊事や用便は、どこか近い川原とか岩かげとかを上手に使って人の目に邪魔にならんようにしている。あれらは、足が速いうえに、手先が器用で竹なんかとても薄く剥いでいくが、これは素晴らしい名人だ。それに紙よりも薄くする。ものを截(き)る事、割ることなどは神業かと思われる。巧いなどと云って見ていられるものじゃない。素晴らしい業だといつも思った。「食器」(茶碗一つと大鍋と丼が三つ)など幾つもありはしないし、鍋釜といったものも一ケあるのもないのもあって、ほんに簡便な暮らしである。
自分で薪も拾ってくるし山菜も採ってくる。味噌や醤油は出来ないのか、作り方を知らないのか。ざるなど作って持っていっては物々交換ということをして、金のかからない生活をしているようだった。持ち物は、その三種の神器と外は仕事の時に使う道具だが何でも必要なとき自分達で作って使うという方法でほんに限られた物持っとるきりだった。着物など一、二枚きり持っていないらしいのに、いつも意外に小ざっぱりしていたのは、お洗濯が好きな人々だったせいもあろう。朝鮮人のように平たい石の上に無黒子(むくろじ)という木の実を袋に入れて、天幕の裏などにぶらさげておいて、そのつど半透明の皮を石鹸の代わりに使っていたが、いつか利君にもらって使ってみたけれども「シャボンのようにはおちんで駄茶漢(ダメだ」ことになたものだ。が、それが何かの拍子に口に入ると、苦い苦い。いくら、唾を吐いても舌の奥から苦さが湧いて来るみたいだった。鳳の草の藤原某とかいう、この夫婦は、きっと京都か、あっちの方の人とみえて「ほんやのボンどすか」などと言ったことがあって、“上方”弁だった。利君が威したほど怖い人達とは思えなかったが、時々変な言葉使って私共に分からないことがあるので「ちいとおそがかった」持ち物の中で「山刀」という小型の山刀は小父さんきり持っていないものだが「大事なものだ」と言っていた。幅は一番広い所で二寸位厚さは三分位あろうか。白く光って、いつもピカピカだった。元の方が、ちいと細くなっていて、何かの皮でつくったと思われる鞘に横から挟む様に挿すので普通の刀とは大分違っとった。
出雲国の「火の川」という川の上流でとれるとかいう砂鉄を打って作ったものだと私共に威張ってみせて直径二寸位の枝を「タン」と音をたてる程に振り下ろすと一遍に截れてしまう。確かによう切れる奴に違いなかった。「やっ」といって投げると必ずその太い先の方が先になって「さされる」ということだ。「ににぎのみことさま、からのならわし」とも言って威張ってみた小父さんは本当に太い松の幹に投げて見せたりしたことがある。






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最終更新日  2015/03/03 12:06:48 AM


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