テーマ:ねぇ?マスター(348)
カテゴリ:BAR
ボストン・シェーカー(写真、以下「ボストン」と略)という名前のシェーカーがある。BAR好きの人なら、一度くらいは見たことがあるだろうが、金属部分とガラス部分の2つのパーツに分かれた、個性的なシェーカーだ。
バーテンダーは、このボストンを生フルーツのカクテルづくりでよく使う。ガラス製の大型グラスのような部分に果物を入れ、木製のすりこぎ棒で押しつぶす。そしてベースの酒やリキュールを加え、金属部分と合体させてシェークする。 ガラスが透明なので、果物がつぶされ、酒類と混ぜ合わされて行く過程が、つぶさに観察できるため、客はカウンターに座ったまま目でも楽しめる。 ただ難しいのは、金属製シェーカーは各パーツがきっちり合体できるのに、ボストンはただ「圧力だけで絞める」という感じ。慣れないと、この「絞め具合」の加減がなかなか難しい。 締め方が緩いとシェークの際、中身が漏れ出すし、きつく絞め過ぎると、シェークした後、ガラスの部分が外れにくくなる。僕も家で時々、ボストンを使ってスイカや巨峰などのカクテルをつくるが、よく中身を飛ばして、つれ合いに笑われてしまう。 昔、あるカクテルコンペでボストンを使用したバーテンダーが、勢い余って、シェーカーごと飛ばしてしまったという話を聞いたことがあるが、それくらい、プロでも扱いは難しいようだ。 ただ、バーテンダーでも好みがあるようで、ボストンをよく使う人もいれば、「僕は、ボストンは使いません」という人もいる。ボストンでなければ生フルーツカクテルができない訳でもないから、まぁ、僕は別にどちらでも構わない。 5、6年前、東京在住の友人に、横浜の「C」というBARへ連れて行ってもらった。Yさんという方がオーナー・バーテンダー。とても気さくで、親切な人だった。僕は当時のクセで、ジン・リッキーとスコッチを頼んだ。 そのYさんが日本でもトップクラスのボストンの使い手であることを、後に知った。「なんであの時、ボストンを使ったカクテルを頼まんかったのかー!」と、帰ってからしばらく悔やんだ。 Yさんのつくる素晴らしい生フルーツカクテルの数々は、02年秋、「カクテル・フレッシュフルーツ・テクニック」(柴田書店)という本になった。本を見たら、ますますもう一度「C」を訪ねてみたいと思うようになった。次回は、Yさんに「ぜひボストンで何か」と頼んでみたい。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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