テーマ:洋楽(3284)
カテゴリ:音楽
ビートルズやストーンズのように超ビッグなアーチストにはならなかったけれど、たった1曲でロック・ファンの心をつかみ、音楽の歴史に名を残した人たちがいる。
例えば、ギルバート・オサリバンなら「アローン・アゲイン」、ニルソンなら「ウイズアウト・ユー」(元はと言えば「バッド・フィンガー」の曲のカバーだったのだけれど)、レオン・ラッセルなら「ソング・フォー・ユー」というように。 だが、上に挙げたようなアーチストが単なる「一発屋」とは違うのは、他にもスマッシュ・ヒットはいくつか放っているし、ロックの世界で、自分たちの音楽ジャンル(存在感)をしっかり確立したこと。 そんなアーチストの一人に、僕も好きなアル・クーパー(Al Kooper)がいる。アル・クーパーの代表曲と言えば、「アイ・スタンド・アローン(I Stand Alone)」(写真左上=「I Stand Alone」収録の同名のアルバム=1969年発表)を挙げるファンが多いかもしれないが、僕にとっては、「ジョリー(Jolie)」(1972年発表。写真右=「ジョリー」収録のアルバム「赤心の歌(Naked Songs)」)がそれである。 「ジョリー」は3年ほど前、ソニーのデジカメ(サイバーショット)のCMで使われ、結構話題になったので、曲を聴けばきっと知っている人は多いと思う。とても甘く、美しいアップテンポのラブ・ソング。80年代、車の中でこの曲ばかり聴いていた時期もあった。皆さんにもぜひ聴いてほしい素晴らしい名曲だ。 アル・クーパーは1944年2月、ニューヨーク生まれ。作曲家にしてミュージシャン、プロデューサー。小さい頃からピアノを習い、その後ギターも習得。10代後半には早くも、キーボード&ギター・プレーヤーとして注目を浴びるようになった。 アルの存在をなんと言っても有名にしたのは、あのボブ・ディランの不朽の名曲「ライク・ア・ローリング・ストーン」のバックで弾いた印象的なハモンド・オルガンの演奏。「ライク・ア・…」のバックにあのオルガンの音がなかったら、あれほど大ヒットしただろうかとまで、僕は思う。 スタジオ・ミュージシャンとして、ライブでのセッション・ミュージシャンとして知られるようになったアルは、その後はマイク・ブルームフィールド、ジミ・ヘンドリックス、ストーンズら様々なアーチストとも共演を重ねる(写真右=ブルームフィールド、スティーブン・スティルスとのセッションをおさめた名盤「Super Session」=1968年発表)。 そして1968年、アルは、「ブラッド・スウェット&ティアーズ」という歴史に残るブラス・ロックのバンドの結成に参加し、デビュー・アルバム(写真左上)でも重要な役割を果たす。しかし、アルはこの1枚のアルバムでグループを脱退。また長い音楽遍歴の旅に出る。 70年代に入って、アトランタで「サウンド・オブ・サウス」というレコード会社を設立したアルは、その後、「レーナード・スキナード」というサザン・ロックのバンドをデビューさせたりしたが、80~90年代は目立った音楽活動は聞こえてこなかった(写真左=これもロック史に残る名盤の一つ「フィルモアの奇蹟」=1969年)。 アルは、大都会の陰影とか寂寥感を表現する音づくりがとても得意だ。ジャンル的にはロックに分類されているが、(聴けばよく分かると思うけれど)その独特のサウンドのなかには、ブルースやソウル、ジャズ、クラシックなどさまざまな音楽のエッセンスが溶け合っている。 好きな1曲なら必ずと言っていいほど、マイ・ピアノBar「M」で一度は弾き語ってみる僕だが、アルの曲はなかなか手強い。「ジョリー」はメジャー・コードの曲なのだが、確か歌い出しが4度のコードから始まる複雑なコード進行。ピアノ一本の伴奏だと、盛り上げるのが結構難しい。だから一度だけ歌って、今のところお蔵入り。 不思議なことに、半世紀近い音楽キャリアを持つアルは、なぜか一度も日本の土を踏んでいなかった(日本にもたくさんのファンがいるというのに…)。そのアルが03年、初めて来日し4カ所でコンサート(小さいクラブやホールだったが)を開いた(写真右=アル・クーパーをとりあえず知るにはこのベスト盤「Al's Big Deal」=1975年発表=がおすすめ。「Jolie」ももちろん収録!)。 僕は残念ながら行く機会を逃したが、おそらく往年の名曲の数々を初めて日本のファンの前で披露したのだろう。どなたかご覧になった方がいればどんな曲を歌ったのかなど聴いてみたいのだけれど…(ライブ映像がDVD化されないかなぁ…)。 アルは昨年には30年ぶりのソロ・アルバム「ブラック・コーヒー(Black Coffee)」(写真左)をリリースした。今年御歳、62歳になるが、音楽への情熱はまだまだ衰えていないようで、嬉しい。 こちらもクリックして見てねー!→【人気ブログランキング】 ************************************************************************ 【追記】昔(10数年前)弾いてみてあまり上手くいかなかった「Jolie」の弾き語りに、先日、マイ・ホームグラウンド・ピアノBar「M」で再度挑戦しました。すると、今回はなかなかうまくいきました。アップテンポにもうまく乗れたような感じ。歳月を経てピアノの技量が上がったのか? それとも、英語の歌の歌い方のコツをつかんだのか? キーはオリジナルと同じGmで歌いましたが、ちょっと高い感じだったのでFmかF#mに下げるかどうか、迷っているところです。さらに練習を重ねて完成させたい曲の一つです。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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