カテゴリ:旅
黄金連休の間、人混みは嫌いなのでほとんど自宅か自宅周辺をうろうろしていたのですが、3日に連れ合いと唯一、日帰りで近場の旅に出かけて参りました。
行き先は播州赤穂。いちおう僕の住んでいるところと同じ兵庫県なんですが、ほとんど岡山県境そば。阪神間からはJRの各停と新快速を乗り継ぎ、約2時間かかります(写真左=JR赤穂駅前。大石内蔵助の銅像が迎えてくれます)。 なぜ赤穂を選んだのかは、あまり深い理由はありません。赤穂浪士の故郷として有名な地なのに、恥ずかしながら、関西に住んでいてまだ一度も訪れたことがなかったからです。昼頃、赤穂駅に到着。連休の観光地と言えば、どこも凄い混雑というイメージですが、赤穂駅前は観光客もまばらで閑散としていて、ちょっと拍子抜けでした。 赤穂と言えば、昔から塩田と製塩業で有名ですが、現在では昔ながらの塩田はありません。地元の有名な塩ブランドは今ではほとんど近代的な工場での生産です。塩にちなんだ土産物屋さんも多く、塩味饅頭という名産品もありました。 それはともかく、まずは腹ごしらえ。何を食べようかと迷った末に、地元の名物、穴重(ウナ重の穴子版)=写真右=にしました。赤穂城に行く道中(駅から15分ほどです)にある穴子料理のお店へ。 明石から加古川、赤穂にかけての瀬戸内は美味しい穴子が採れることで有名です。1200円也の穴重は、脂のよく乗った穴子が1匹乗っていてボリュームたっぷりで、文句なしに旨かったです。 食事も終えた僕らは赤穂城(写真左=城の大手門)へ。赤穂城はご存じのように元禄14年(1701年)のあの江戸城・松の廊下での吉良上野介への刃傷沙汰で、即日切腹させられた赤穂藩主・浅野内匠頭(たくみのかみ)が城主だった城です。 しかし、内匠頭の事件のために赤穂城は幕府に没収され、浅野家は断絶処分。家臣たちは路頭に迷うことになります。筆頭家老の大石内蔵助良雄はお家再興のため奔走しますが、その望みが断たれたと分かると、今度は主君の無念を晴らすために仇討ち(吉良邸討ち入り)を決意することになります。 城門をくぐるとすぐに、その大石内蔵助邸の長屋門(写真右)が目に入ります。主君の刃傷沙汰を知らせるために、江戸屋敷詰め家臣2人は、赤穂まで四日半という驚異的な早籠で駆け付けました。その江戸詰め家臣らが叩いたのがこの長屋門の扉だったといいます。 大石邸の建物はその後火事で焼けて、現存しているのは、残念ながらこの長屋門だけです。大石はここで、主君切腹の報をどんな思いで聞いたのでしょうか。 城内には、大石を祀った大石神社(明治になってから建立されたとか)というのもあり、その宝物館(写真左)には大石ら義士直筆の書状や討ち入りの際に使ったと言う采配、呼び笛等の遺品が展示されています。 駅への帰途には、四十七士の墓のある花岳寺(写真右下)に寄りました(東京の泉岳寺とは違って、こちらは遺髪だけという話ですが)。赤穂はとにかく忠臣蔵一色の町です。 仇討ちは、法治国家となった現代では法に背く行為で、「テロ」とも言われるでしょう。しかし、江戸の世では幕府の諸法度がすべてで、理不尽な行為に対して罰を与える公正・公平な仕組みはほとんどありませんでした。 あの時代、武士を生業(なりわい)として生きる場合、「主君への忠義」がもっとも大切な価値観の一つでした。「無念の死を遂げた主君の恨みを晴らすこと」は家臣の武士なら、まず実行すべき課題でした。 ただ、内匠頭の家臣すべてが討ち入りに参加したわけではありません。「お家再興」を優先し、仇討ちには反対した家臣も少なくありませんでした。残される家族(=自分が死ねば養う者がいなくなる)のことを思い、討ち入りに加わらなかった人たちも多かったわけで、必ずしも「忠義」が武士の最優先の価値観でなかったことも事実です。 それはともかく、(昨今の中東での自爆テロには何ら共感はできませんが)四十七人の士(さむらい)たちが、主君の無念を晴らすために自らの命を捧げた忠義には、純粋に心を打たれます(唯一、足軽だった寺坂吉右衛門にはお咎めはなく、生き延びましたが…)(写真左=土産に買って帰った「塩のぐい呑み」。これで日本酒を冷やで飲むと塩味が効いて、結構はまります)。 とくに、父内蔵助とともに討ち入りし、その後切腹した16歳の大石主税(ちから)や、もう一人18歳だった矢頭右衛門七らのことを思うと、「いま彼らよりずっと長く齢を重ねてしまった僕は、生き恥をさらさずに生きているだろうか」と、考えさせられたひとときでした。 PS.晩飯のことを書くのを忘れました。帰途、三宮で途中下車し、スペイン・バルでタパスをあれこれしっかり堪能してきました。もちろん、バルの後にはBARも1軒忘れずに立ち寄りました(^_^)v こちらもクリックして見てねー!→【人気ブログランキング】 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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