テーマ:ねぇ?マスター(348)
カテゴリ:BAR
ブログの友人、パブデ・ピカソさんが「理想のBARってなんだろ」というテーマで先日日記を記されていました。
まがりなりにもBAR通い約30年の歴史を重ねる僕ですから一応、「理想のBAR像」は持っています。ピカソさんの日記のコメント欄では、僕が考える理想のBARの条件として、以下のようなコメントを記しました(コメントで記した表現とは少し変わっていますが…)。 (1)人柄のいいバーテンダー(マスター)がいる (2)そのバーテンダーはトークがうまい、話していて楽しい (3)そのバーテンダーは腕(美味しい酒やカクテルをつくる技術等)がよくて、酒に関する知識も豊富なこと (4)従業員も含めて接客(マナー)が丁寧で親切 (5)シングルモルトも含め酒類の品揃えが充実していること (6)値段が良心的であること=チャージはないに越したことはない。あっても500円まで (7)小腹がすいた時、満たしてくれる(ささやかでもいいけれど)美味しいフードがあること (8)店の内装は落ち着いた雰囲気で、温かいライティングであること (9)BGMはジャズやソウル、ロックで、なおかつ静かめの音楽であること(できれば週に1度くらいは生演奏が聴けたらなおいい)。 9つの条件に、優先順位はあるようなないようなものです(強いて言えば番号順かも)。せっかくだから、僕も「理想のBAR」像について、ここでもう少しじっくり考えてみたいと思います(ピカソさん、書く「ネタ」をくださって有難う!)。 (1)の人柄。これは僕にとっては一番大切な条件です。10年、20年と通い続ける行きつけのBARは、ほぼ例外なしにマスターの人柄がいい店ばかりです。そうでなかったら、とうの昔に縁を切っていたでしょう。 しかし一方で、「人柄」は万人に共通する条件ではないかもしれません。人柄がいいか良くないかはマスターと客との相性みたいな部分も大きく、僕があるマスターに好感を抱いても別の客はそうは思わないケースもある訳で、難しいところです。 BARのマスターには、いわゆる「ひとくせ」ある方、偏屈な方、無愛想な方もなかにはいます。僕は苦手ですが、そういうタイプのマスターが苦にならない客も実際にいます。「頑固が名物」で、かえって人気のあるBAR(マスター)だってあります。だから、そういう「ひとくせマスター」のいるBARでも常連がいて、20年、30年と客が続いているケースも多いのです。BARという空間の面白い部分かもしれません。 (2)のトーク=話術。技術は一流だけど、物静かで寡黙なマスター(バーテンダー)もいます(とくに首都圏に多いような気がします)。「おしゃべりなバーテンダーは格好悪い」「むやみに客に話しかけるべきではない」という業界関係者もいます。でも僕個人は、トークの上手い、話していて楽しいマスターの方が好きです。 関西、とくに大阪では物静かなマスターは一般的に言って、好まれません。客もマスターにトークを求めます。自然と、マスターと客との「距離」が近いBARが多くなります(マスターに“いじられたい”客が多い?)。 大阪では、トークが上手いマスターのいるBARはいつも賑わっています(例えば、キタのBar「K」やBar「C」など)。漫才師の才能は必要ありませんが、トークは、とくに大阪のバーテンダーには必須科目です。多少のボケやツッコミができないとやっていけません(厳しいですねー)。 (3)はプロなら当たり前のことかもしれません。ただ、ベテラン・バーテンダーのつくるカクテルが必ず美味しいかは、断定的には言えません。中堅や若手のバーテンダーでも今日では、日々研鑽を積んで素晴らしいカクテルを生み出しています。最終的に美味しいかどうかは客である貴方が決めればいいことだと僕は思っています。 酒の知識に関して言えば、最近では、プロのバーテンダーも顔負けの素人の客がいます(僕も負けそうなくらいのマニアが…)。だから、プロがごく一部の知識を知らなかったとしても、恥ずべきことではありません。時々、カウンターで知識をひけらかすタイプの客がいますが、僕は「そういう客になりたくない。いつも謙虚で、プロには敬意を表する客でありたい」と思っています。 (4)は当然のことですね。言葉遣いも含め、接客がぞんざいな店には二度と行きたいとは思いません。客のいる目の前で、断りなくタバコに火を付けるマスターなんて、論外だと僕は思っています。大声で喋るグループ客や店内で携帯を平気で使う客には、すぐ注意をしてくれる店であってほしいです。 (5)はどの程度まで求めるのかという点がポイントです。モルトの場合、欲を言えばキリがありませんが、個人的には、シングルモルトのオフィシャルは少なくとも40銘柄は置いてほしい。カクテルも一応、スタンダードと言われるカクテルの7~8割はつくれる材料(リキュール等)は揃えておいてほしいです。2月25日の日記で書いたようなBARでは困ります。 (6)は(一部の金持ちは除いて)酒呑みなら誰しも同じ思いでしょう。ただ、「安かろう悪かろう」でも困ります。旨いモルトや美味しいカクテルには、それなりの対価が必要です。 また、何をもって「良心的」と言うのか、その客観的基準も難しいところです。ウイスキーなら一般的な小売り価格が分かりますから、それが一つの目安となります(市価の4倍、5倍もの料金を取る店を「良心的」と言うのは難しいでしょう)。 しかし、カクテルは技術料が当然入るので、客観的基準はあってないようなものです。要は、貴方がその料金に見合う「値打ち」があると思えば何ら問題ないのですが、それを判断できるまでには年季(経験)も要るので、BARに通い慣れていない方には正直言って難しいところかもしれません。 もっとも、僕の「懐」も無尽蔵ではありませんから、やはり良心的な店ほど足が向きます(オーセンティックBARを名乗りながら、チャージを3千~4千円も取って、会社役員や個人事業主のような金持ちしか相手をしない店もごく稀にありますが、そういう店には「BAR」を名乗ってほしくありません)。 (7)BARには本格的なフードは要らない。お酒を楽しむ場所だから、基本は「かわきもの」でいいと思う。空腹はBARに行く前に満たしておくべきだろう。でも、そんな僕でも、小腹がすいた時にBARに美味しい、温かい料理があれば嬉しい。贅沢は言わないが、カツサンドや簡単なパスタ、ピンチョス(バゲットの上にいろんなフードを乗せて一口で食べる品)のようなメニューがある店はとても有り難い。 (8)店の雰囲気は、個人的には英国調=パブ調のウッディな内装の店が理想です。ライティングは温かい暖色系で。でも、モノトーンを基調にした、やや暗いライティングの店にも長年通い続けているところがあります(マスターの人柄が最高やし!)。どちらの店も、落ち着いた雰囲気である点は共通しています。 (9)BARに合うBGMは、個人的にはやはりジャズやソウル、ロックのやや静かめの洋楽がベストだと思います。ジャズならピアノトリオや優しいヴォーカルものが一番好きです。邦楽はなぜかあまりマッチしないと感じるのは、やはりBAR文化が西洋起源のものだからでしょうか。 ただし、たまには(週に2~3回くらいは)生演奏の聴けるBARというのが究極の理想です。そんな店をいつか開けたらいいなぁというのが夢なんですが、こちらの方はさらにハードルは高そうです。 僕自身、上記の9つのすべての条件を満たす「理想のバー」にはまだ出合っていません。しかし、長年通い続けている行きつけのバーは、上の条件のうち、6つ~8つは満たしている店が多いことも事実です。いつか9つのすべてを兼ね備えたバーと出合いたい。そんな願いを抱いて、僕は今夜もバー巡りを続けています。 【おことわり】3枚の写真と日記の内容は直接関係ありません こちらもクリックして見てねー!→【人気ブログランキング】 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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