カテゴリ:酒
うらんかんろが最近飲んだウイスキーの話題を2つ。
以前、08年6月22日の日記で紹介したアイラ島で8番目の蒸留所「キルホーマン(KILCHOMAN)」。そのキルホーマンからこのほど、ついに初のオフィシャル・モルトのボトルが発売されました=写真左。 2005年6月に操業を始めたキルホーマン蒸留所からは、これまでにもオフィシャルのニュー・ポット(3年未満熟成の酒)が、「ニュー・スピリッツ」という名前で3~4種類ほど発売されていましたが、今度はいよいよ「シングルモルト・ウイスキー」です。 英国の法律で、ウイスキーと名乗れるためには「最低3年間、熟成させなければならない」というルールがあります。すなわち、キルホーマンでようやく瓶詰めできる3年熟成のモルト・ウイスキーが誕生したということです。 うらんかんろはすでに「ニュー・スピリッツ」は味わい、そのクオリティを高く評価していました。だから、満を持して登場した「オフィシャル・モルト」には、個人的にも大きな期待を寄せていました。 46度で売り出された初のモルトは、ニュー・スピリッツの流れをくんで、ピートの効いたしっかりした味わいです。3年熟成にしてはボディはとてもしっかりしています。しかし、色合いを見て、僕は「えっ?」と不思議に思いました。3年にしては色がしっかりした琥珀色をしているのです。 あるBARのマスターさんに「3年でこんな濃い色が出るんですか?」と聞いてみました。するとマスター曰く。「おそらくは(カラメル色素で)色付けしているでしょう。3年じゃこんな色は出ません。ただ、色付けは(英国の)法律上認められているんです」と。 僕は考え込んでしまいました。キルホーマンはなぜ、3年熟成そのままの色でボトリングしなかったのか。色が薄くても、旨ければいいじゃないかと思います。カラメルの「化粧」を加えて熟成年数を多く見せることは、犯罪ではないのかもしれないけれど、僕は釈然としません。 ウイスキーでも「樽出し」とか「無濾過(ノン・チルフィルター)」とか、そういう「ありのまま」が好まれる時代です。だからキルホーマンも素直に、正直に、ありのままを出したほしかったと思うのは僕だけでしょうか。 ◇ ◇ ◇ もう一つの話題は、サントリーがついに国内発売に踏み切った「響12年」=写真右。チーフ・ブレンダーの興水精一さんをして「私の最高傑作」と言わしめたブレンディド・ウイスキーです。欧州で先行発売されたので、国内で飲めるのはいつかと心待ちにしていました。 これまで「響」は17年、21年、30年の3種しかありませんでした。ノンチル・フィルタードでアルコール度数55.5度の「響」もあります(ありました?)が、最近は姿を見ません。発売をやめたのでしょうか? オーセンティックBARでは、せいぜい「17年」が飲まれるくらいで、21年や30年は高嶺の花でした。お値段も結構する(普通1杯1500円前後はします)ので、僕自身も「17年を飲むくらいなら、モルトを飲む」ことが多かったのです。 しかし、手頃なお値段で飲める「響」が誕生するなら、それは嬉しいことです。「12年」は名前は同じ「響」ですが、これまでの「響」とは味の趣がかなり違います。「響」であって、「響」でない別のウイスキーのようです。 それは、興水さんも言うように、様々な個性的なモルトに、超長熟モルト(おそらく「ミズナラ樽のモルト」のことか)と梅酒樽熟成のモルトを少しずつブレンドし、さらに多彩なグレーン・ウイスキーで仕上げているためでしょう。 とくに、この梅酒樽熟成のモルトが効いています。舌の上でころがしても、テイスティング・グラスで味わっても、梅酒の甘い香りがほのかに立ち上ってきます。「12年」のキャラを決めるポイントになっていると言ってもいいでしょう。ほかにもプラムのような果実香やハチミツ香も漂います。 この絶妙の配合(ブレンド)が、「響12年」の芳醇で、フルーティで、ほのかに甘いキャラクターを形作っています。サントリーはなぜか、ハイボールで飲むのがおすすめだというポスターやチラシも作っていますが、僕はぜひストレートで、「12年」の素晴らしさを味わってほしいと思います。 こちらもクリックして見てねー!→【人気ブログランキング】 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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