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Bar UK Official HP & Blog(酒とPianoとエトセトラ)since 2004.11.

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2018/07/24
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 オランダ滞在4日目となりました。さて、オランダの美術館巡りでは、ゴッホと並んでもう一人、熱い思いを抱き続けてきた画家がいます。映像のような写実的な手法と綿密な空間構成、そして光と影を生かした巧みな質感表現を得意とした天才的アーチスト。それがヨハネス・フェルメール(Johnaness Vermeer<1632~1675>です(ちなみに英語だと「ヴァーミア」、オランダ語では「フェアミア」と発音します)。

 ハーグ郊外のデルフトという街に生まれたフェルメールは、父親が画商だったことからその影響を受けて絵を描き始めたとのことですが、若い頃の詳しいことはよく分かっていません。

 1653年、21歳の時、カタリーナ・ボルネスという女性と結婚。結婚後してまもなく、フェルメールは妻の実家で、裕福な母親とともに暮らしを始めます(左は、フェルメール自作の絵の中で、自画像と考えられている人物。引用元:Wikipedia<元の絵自体はドレスデンのアルテ・マイスター絵画館所蔵のフェルメール作「取り持ち女」=1656年作>)。

 フェルメールは、妻との間に15人もの子をもうけた(4人は夭折しましたが、それでも13人の大家族でした)子だくさんの家だったため、画業だけでは家族を養うことができませんでした。妻の実家に頼ったのは、主に経済的な理由だったと言われています。

 その後フェルメールは、1657年頃から、デルフトの醸造業者で投資家でもあるピーテル・ファン・ライフェンという生涯最大のパトロン(支援者)と出会います。ライフェンはフェルメールを支え続け、彼の作品を20点も購入したと伝わっています。現存する作品はわずか36~37点というフェルメールですが、寡作でもなんとか暮らしていけた背景には、ライフェンの援助が大きかったことでしょう。


 しかし1670年代になると、フェルメールにとって逆風の時代が始まります。第三次英蘭戦争の勃発でオランダの経済が低迷します。一方で、新しい画風の若手画家たちの台頭によって、フェルメールの人気も陰りを見せ始めます。この頃、パトロンのライフェンも亡くなり、戦争勃発以後、彼の作品は1点も売れなくなったといいます(写真は、フェルメールの故郷の街を描いた「デルフトの眺望」<1661年作>=マウリッツハウス美術館蔵)。

 フェルメールは1675年、43歳の若さでデルフトで死去します。義母マーリアは、フェルメールが残した莫大な借金・負債から11人の孫たちを守ろうと、その遺産を直接孫たちに渡したため、妻カタリーナの生活は困窮を極め、結局破産しました。カタリーナは、彼の死後12年経った1687年、56歳で死去しました。

 フェルメールは謎の多い人物ですが、その生涯の一部については、先般、映画化されています(2003年英国映画で、タイトルもそのまま「真珠の耳飾りの少女(Girl with a Pearl Earring)」)。コリン・ファースがフェルメール役を、スカーレット・ヨハンソンが絵のモデル「少女」役を演じて話題になりました。とても興味深い、いい映画なので、機会があればぜひご覧ください。



 さて、オランダ4日目はフェルメールの名作に会うために、オランダの政治・行政上の首都であるデン・ハーグ(Den Haag)へ。ここには3点のフェルメールを所蔵するマウリッツハウス美術館があります。デン・ハーグは、アムステルダム中央駅から列車で1時間弱です(電車は10~15分おきくらいに、たくさん出ているのでとても便利です)。
 なお、駅の切符自動販売機は、クレジットカードかコインでしか購入できません。なんとお札が使えないのです。デン・ハーグまでは往復で€23.4(約3050円)ですが、そんなにたくさん小銭(コイン)を持ち合わせているはずはありません。仕方なくカードで購入しましたが、JCBはダメでVISA、AMEXなど国際的に通用しやすい会社でないと買えません。
 ちなみに、オランダはカード社会がかなり進んでいて、カード支払いでなければ精算できないという店やレジも目立ちます。そのうちお札やコインは姿を消すのかもしれません。


 マウリッツハウス美術館は、「ビネンホフ(Binnenhof)」と呼ばれるオランダの立法・行政機関(国会議事堂、総理府など)の建物が集まる一角にあります(写真は、デン・ハーグ中央駅から美術館へ行く途中の光景。オープンカフェがたくさんあります)。


 マウリッツハウス美術館(写真の右端)は、もともと17世紀にブラジル総督オラニエ家のヨーハン・マウリッツ伯爵の私邸として建てられました。


 ルネサンス風の建物は2年間の改修工事を終えて、2014年に再オープンしました。内部も本来の色彩や装飾が復元されたそうです。


 それではマウリッツハウスが世界に誇る名画の中から少しご紹介します(ここもフラッシュをたかなければ撮影OKなのが嬉しいです)。これは言わずと知れた、世界中のフェルメール・ファンを魅了する代表作「真珠の耳飾りの少女」(1665年作。「青いターバンを巻いた少女」という別のタイトルもあるそうですが)。オープン間もない時間だったので、展示室には僕ら以外に誰もいません。名画を独占できる幸せは言葉にできません。
 ちなみに、フェルメールと言えば、この少女のターバンの色のような、「フェルメール・ブルー」とも呼ばれる独特の青色が特徴です。これは当時純金と同じくらい高価だったラピスラズリを原料とする「ウルトラマリン」です。この貴重な顔料を惜しみなく絵に使用できたのも、裕福な義母の援助のおかげとも言われています。



 このフェルメールは初めて観ました。「ダイアナとニンフ」。初期(1655~56年頃)の作品です。


 マウリッツハウスにもレンブラントの名作があります。彼の出世作となった「テュルプ博士の解剖学講義」(1632年作)。美術の教科書でもよく見かける代表作の一つです(少しピンボケですみません!)。


 こちらは「ビネンホフ」エリアに入る門。そばにパトカーは停まっていましたが、欧州の他の国にように衛兵はいません。


 ビネンホフの中の広場。現地の人に聞くと、「閣僚や国会議員も普通にうろうろ歩いています」とのこと。


 毎年9月の国会の開会式には、この広場で王と衛兵のパレードがあるそうです。なお、皆さんもよくご存知かと思いますが、有名な国際機関の一つ、国際司法裁判所はこのデン・ハーグの「平和宮」という建物内にあります(場所はビネンホフから少し離れた場所に位置していますが)。


 デン・ハーグには、オランダの名物料理「ニシンの塩漬け」の屋台があちこちにあります。そのまま手でつまんで食べたり、ホットドッグのようにパンにはさんで食べます。王室の人たちもお付きの人なしで買いに来るそうです(日本や英国と違って、基本、外出の際は警護<SP>なしで行動されるそうです。国民との垣根はほとんどなく、とてもオープンな王室なんだとか)。


 僕らは、パンにはさんだのを注文。刻んだタマネギが一緒に入っています。ニシンはあっさりした味付けで、磯の香りもしてとても美味しいです。ちなみに、比較的海に近いデン・ハーグにはカモメがよく飛んでいます。僕らはこの「ニシン・ドッグ」を買う際、「外で食べたら、カモメにニシンを狙われるから屋台の中で食べた方がいいよ」と言われました。
 なお、このニシンが水揚げされるのはデン・ハーグから北西へ5kmほど行ったところにあるスケベニンゲン(地元の日本人の方も「変な名前の町です」と言ってました(笑))という港町です。ニシン料理等のレストランもたくさんあって、夏の観光地としてオランダでは有名なんだとか。


 さて、マウリッツハウス美術館での鑑賞を終えて、僕らはデン・ハーグを少し散策しました。これはビネンホフのすぐそばにあるショッピング・アーケード「パッサージュ」。凄く歴史があるような雰囲気です。


 パッサージュを抜けた辺りにある、オランダ最大規模とかいう高級デパート「バイエンコルフ(De Bijenkorf)」にもお邪魔しましたが、やはりデパートの立派さ、品揃えの凄さでは日本の方が上かなという感じです。



 さて、デン・ハーグでの日程も終えて、早めにアムステルダムへ戻ることにしました。再び中央駅から約1時間電車に乗りますが、「少し小腹がすいたね」ということで、中央駅にあったオランダ名物のコロッケの自販機で2個買って、帰りの車内で食べようかと。
 味はよく分からなかったので、見かけの色で濃いものと薄いものをそれぞれ買いました。結論から言うと、想像してたよりもどちらも美味しかったですが、1個2€はちょっと高いかな。さてアムスに着いたら、また次の予定が待っています。

 <10回目に続く>

※過去の「旅報告」連載は、トップページ中ほどのリンク「旅は楽しい」からお読みになれます。


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Last updated  2022/11/05 10:19:20 AM
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うらんかんろ

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汪(ワン)@ Re:Bar UK写真日記(74)/3月16日(金)(03/16) お久しぶりです。 お身体は引き続き大切に…

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