スティーヴン・キング (著)「セル(上)(下)」★★
セル(上巻) セル(下巻)■内 容 バツイチ男の主人公クレイがボストンに滞在していたある日の午後3時3分。 携帯電話を使用していた人々が突然凶暴化して殺し合いを始め、自動車事故や飛行機墜落が相次いで街は修羅場と化した。 後に“パルス”と呼ばれた現象はあらゆる街で起こり、人々は携帯狂人へと変化していた・・・。 クレイは別居中の息子を案じて探索の旅を始めるが・・・・。■感想など 『呪われた町』を読んでからスティーヴン・キングとは四半世紀のお付き合い。 『シャイニング』『キャリー』『クージョ』『スタンド・バイ・ミー』『ミザリー』『ダーク・ハーフ』『ザ・スタンド』『IT』『ランゴリアーズ』『バトルランナー』『図書館警察』『ドロレス・クレイボーン』『デッド・ゾーン』『グリーン・マイル』などなど、出版されたら手にせずにはいられない時期があり、一時は小生が最も読みたい作家でした。 映像化された作品『ショーシャンクの空に』『スタンド・バイ・ミー』『グリーン・マイル』などの映画もお気に入り。 しかしながらさすがのキングも、最近は引き出しの中身を出し尽くした感があって”ハズレ”作品も出てきた感じ・・・この『セル』は、そのさいたるものでした。-◆- 主人公クレイが“パルス”によりカタストロフィに見舞われた街で出会った口ひげの小男トム、15歳の少女アリスとともに行方の分からなくなった息子を捜す旅を続けるのですが、ドキドキ・ワクワク感が薄く、いまいちメリハリがない。 クレイと旅の仲間の間の人間関係や息子への愛情についても『スタンド・バイ・ミー』『グリーン・マイル』などで感じた温かさは出ていません-◆- “パルス”で凶暴化した暴徒より、『シャイニング』のイカレたオジサン一人の方が怖かった。 『クージョ』の犬の一匹の方が怖かった。 『ミザリー』のオバサンの方が怖かった。 ”携帯狂人”なる集団は、既に手垢の付いたゾンビ風の設定で怖くない。 ”携帯狂人”の首領的存在も絶対的な強さや怖さを持っていない。 ホラーの帝王と呼ばれたキング作品とは思えないインパクトの無さ・・・。 そして“パルス”という現象の原因追及がないのが勿体ない。-◆- この作品はスティーヴン・キングによる『幼年期の終わり』だったのかなぁ。 かつての輝かしい諸作品と比べてしまうので、本作品では満足出来ませんでした。 残念。 ショーシャンクの空に / ティム・ロビンス