カテゴリ:旅行記 ブダペスト '09.12月
フロントのお兄さんにそう言って、私は一度 ホテルの部屋へと戻りました。 さぁ、もうすぐ夢の舞踏会。 2009年のクライマックスであり、華やかなる2010年の幕開けがあと数時間後に迫っているのです。 30分ほど横になって疲れを取り、軽くシャワーを浴びてから、ほんの少しだけドレスアップしました。 そして、もう一度だけ服装をチェックする為、私は鏡の前に立ちました。 じぃーーーっと、鏡に映る自分の姿を眺めていると、、、 この私が伝統あるブダペストのオペラ座の、ましてジルベスターガラコンサートにおいて、ボックス席に座るなんてそんなこと、 実はものすごく無謀であり、オペラ座の名誉すら傷つけることになるのではないか、、 まさかオペラ座の怪人でもあるまいし…、、、 臆病なもう一人の自分が頭をもたげ出しました。 トゥルルル・・・ 「タクシーが到着しましたよ。」 複雑な気分で外へ出ると、辺りは深い霧で覆われはじめ、すでに幻想的な雰囲気に包まれていました。 この日の為に買ったグレヴィの帽子を深く被り直し、「オペラ座まで。」 * 午後8時の開場には少し時間が早かったけれど、 さすがに外は冷え込み始め、私はオペラ座の重い正面扉を押してみました。 そこには大きなクリスマスツリーが飾られており、 高級そうな毛皮のコートを着た紳士淑女の皆さんが、すでに数人集まっていました。 私、場違い? そんな不安そうな顔をした私に、皆さんは優しく笑顔を向けて下さいます。 誰かが、あっ!と声を立てました。 ふりむくと、あっ! lots of Mozart(s)!(笑) 彼らは一人一人に「New Year's Eve Ball 2009 Budapest Opera」と書かれたゴールドの腕輪を巻いてくれ、チケットを確認していきます。 赤いビロードの絨毯が敷かれた階段を上り、クロークにコートを預けると、シャンパンが手渡されます。 今日だけモーツァルトに扮した彼らの一人が 私に深々とおじきをし、慣れないこの一観客をボックス席までエスコートして下さいました。 「こちらがあなたの6番ボックスです。」 扉を開くと、ワイングラスの並んだ小さな机が片隅に、そして舞台に面して並ぶ3つの席。 その最も右端が私の場所だと、彼はゆっくりと椅子を引いてくれました。 「さぁ、どうぞ。」 「クスヌム(ありがとう)。」 私はこの場所で浮いていないかしら…。 まだ少しだけ不安な気持ちが顔を出します。 だって、珍しくロングスカートを履いた私は、何度も何度もスカートの裾を踏んでは 躓いていましたから。(笑) それに、なんとまぁ豪華絢爛な世界なのでしょう。 ここが、あのウィーンよりもゴージャスなオペラ座なのね…。 まるで夢の中に迷い込んだよう。 いえ、夢でだって、こんな壮麗な世界に足を踏み入れたことはありません。。。 よ~く見ると、派手に着飾ったドレスを身につけている人は主に平土間席へ、 ボックス席には、シンプルながらもかなり高価であろうドレスに身を包んだ、年齢層の高い紳士淑女が現れました。 ふと隣りのボックスに目をやると、白髪の洒落たおじさまと ちょうど目が合いました。 「君のカメラを貸してごらん。」 オペラ座の美しい内装に、ひたすらカメラを構える私を、彼はずっと見ていたのでしょう。 いきなり、そう英語で声を掛けてきたのです。 一瞬、゛なんなの?"と躊躇している私に、彼は「君はフランス語しか喋れないのかい?」 「まぁ。ふふふ。^^」 そしてカメラを手渡すと、ボックス席に座る私の姿をカメラに収めてくれました。 ちょっと疲れが顔に出ていたのが残念ですけど、その貴重な写真は私にとって宝物♪^^ 今だから恥ずかしげもなく言えますけど、 そのおじさまったら、とても渋くて味のある素敵な男性だったのですもの! きっと、お若い頃はかなりのハンサムであったに違いありません。 今のお年でだって、彼に誘われれば、私はそのまま(しっぽを振って!・笑)付いていったことでしょう。(*^^*) けれど残念なことに、彼の後ろには少し頑固そうな奥さまが、背筋を伸ばして整然とご鎮座あそばされておりました。(爆!) さぁ、まずはヨハン・シュトラウス2世のオペレッタ「こうもり」の始まりです。 その舞台の途中でさえ、煌びやかなオペラ座の内装と、ボックス越しにウィンクを投げてくれる そのおじさまにクラクラしどうしのpicchukoなのでした。^^ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2010.03.10 05:11:36
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